閉じ込めたいほど愛してる
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◆ 夢主視点
「ねぇねぇ。人魚の館だっけ? あれ、行ってみてぇんだけど」
横というよりも頭上から聞こえる声に渋々顔を上げる。すると、そこには楽しそうな恋人の顔。そのワクワクとした可愛い顔に絆されそうになるのをぐっと堪える。
「ダメ。そこは交流会で行けるエリアじゃないから」
あたしとフロイドがいる場所といる場所は図書館。学習部屋意外はなるべく静かにしなければいけない。それを思い出させるように小さめの声で告げる。きっと意味はないけれど。
「そう。ならいいや」
あまり自分がいる場所を意識していない普通の話し声にあたしは心の中でため息をつく。けど、彼の反応が意外で拍子抜けする。
フロイドは特に気を悪くした様子もなく、そして飽きた様子もなく、目の前の本棚から適当に本を取り出して開く。その横顔を見てみるとまだ楽しそうにも見える。
機嫌がだいぶいい。それがあたしに会えたからというなら嬉しい。嬉しいのだけれど――。
「フロイド。そろそろ戻ったらどう?」
今は交流会のグループ学習の時間。あたしとフロイドは別グループ。かつ、あたしは交流会の実行委員会の一人。今、あたしはグループ学習で必要な資料を集めているところ。ついでに委員会の報告書の作成もしている。
「フロイド」
反応のないフロイドの名前を呼ぶ。それが耳に届いたのかフロイドの横顔から少しだけ機嫌が悪くなったのが見て取れた。ちょっと不機嫌な顔で本を閉じてこっちを見る目は細い。
「オレさぁ、この交流会楽しみにしてたんだよねぇ」
本を適当に戻したフロイドがこちらににじり寄って来る。
にんまりと笑う目がまるで捕食者のように。いや、実際そうなのかもしれない。その捕食者に色を染めた瞳だけは今も慣れない。というか本能から恐ろしく感じる。
唾を飲み込んで目の前まで迫ったフロイドを見る。
「この交流会に選ばれるための選抜試験もさぁ珍しく頑張ったしぃ」
「そ、そう……」
この全国養成学校交流会はまず開催校以外に数校選ばれる。さらに開催校と参加校から参加者を募る。その際に選抜試験が行われる。他校に行くことからそれなりに厳しい。厳しいがこの交流会は人気で毎回各校倍率が高い。
その交流会にフロイドが率先として参加した理由が分からないほど馬鹿ではない。馬鹿ではないけれど、自信過剰みたいで何だか恥ずかしい。
だから言わずにいたけれど、この流れは――。
「オレが頑張った理由、分かる?」
「っ」
甘ったるい声で囁かれる。
これは卑怯だ。フロイドがあたしに言わせたいことはわかる。けれど、そんな、ほんとうかも分からない。でも、言わせたいなら当りということなのか。でも、と口をもごつかせていると――。
「ひぁ」
耳を甘噛みされた。その鋭い牙からもたらされる甘さに身体が反応してしまう。こういう触れ合いもここ最近全然していなかった。
フロイドはあたしの反応がいいことからそのまま耳を攻めてくる。あの薄い唇が、あの鋭い牙が、容赦なく攻めてきて腰が震えて、足の力が抜ける。
「ふっ、あいかわらず弱ぇな」
「っ、あ」
ちゅっとリップ音がして腰が砕けた。いつの間にか抱き込まれていたのか。目の前のフロイドに必死に抱き着く。フロイドはフロイドで慣れた様子でしっかりと腰を抱き込むけれど、それにさえ身体が反応してしまう。
「っ、も、もう!」
「あは。ヴァネッサがちゃんと答えてくんねぇからしかたねぇじゃん」
楽しそうな声と共に身体をギュッと抱きしめられた。機嫌が再び浮上したことに安心するけれど、同時にあたし自身も満たされる気分だけど――。
フロイドの手が妖しい動きになったのは流石に見過ごせない。
「フロイド。離してちょうだい」
「え~今めっちゃいい雰囲気だったじゃん」
「んっ、そうだけど、ダメ。今はダメ」
何とかフロイドの身体を押しやる。あっさりと離れていく。そのことは寂しいけれど本当にこれ以上はダメ。今は。
距離が出たことでフロイドの顔を見上げるとお預けをくらった子犬みたいな目をしていた。これはまた絆されそうになる目をして、もう!
「はぁ。交流会の最終日にパーティーがあるの覚えてる?」
「あ~そういえば最終日は式典服でとかなんとか言ってたっけ?」
「そう。そこで、その、そういう日は結構先生たち、脇が甘いのよ」
交流会で恋人になる人たちもいる。あたしとフロイドみたいに恋人っていうパターンもある。その日だけ少しだけ羽目を外してもいいという暗黙の了解みたいなのがある。もちろん、何かあったときのために色々先生が魔法を張り巡らしているけれど。それでも恋人同士二人きりになれる。
「へぇ。なら、その日までお預けってこと?」
「そうなるけど、イヤ?」
フロイドを見上げるとにんまりと笑っている。その反応に安心していいのか複雑だけれど、どうやら大丈夫みたい。反応に胸を撫で下ろしながらひとつ付け加える。
「だからフロイドも交流会頑張ってちょうだい」
「うん♪ わかったぁ」
ルンルンとした声に安堵していると唇に柔らかい感触と同時にリップ音がした。
目の前に再び迫ったフロイドの目が笑う。
「これくらいはいいよね」
といってまた可愛らしいリップ音がした。これはもう仕方ない。少し付き合うことにした。だって、あたしもやっぱり寂しかったから。
* * *
フロイドが面倒くさい交流会に参加してくれてまで会いに来てくれたのは嬉しかった。
本当だったら彼の誕生日前の休暇で一緒に過ごす予定だった。けれど、あたしが風邪を引いてさらに拗らせて一緒にいることができなかった。
風邪が治った後も交流会の実行委員の仕事が忙しくて結局交流会まで会うことができなかった。けれど、交流会の合間も結局あの図書館であった日以降は中々会うことができなかった。そして、交流会最終日を迎え、パーティーの時間となった。
勉強から解放された学生の喧騒と優雅な音楽が遠くから聞こえる。実行委員がパーティーを抜け出すのは気が引けるが――やはりあたしもフロイドが恋しい。
実行委員会の仕事を少しの間引き受けてくれたのは同じく実行委員に選ばれていたレティシアだった。ジェイドがいないからといったけれどあとでお礼をしないと。
「早く行かないと」
時間がない。式典用のドレスの裾を掴みフロイドとの約束の場所へと向かう。
カツカツという音だけが廊下に響く。早く、早く、と小走りとなり息を上げながら向かっているうちに人の声が聞こえる。
嘘、と思って足音を消してゆっくりと進む。そして、待ち合わせ場所の井戸に人影がふたつあった。一つは背の高い人影と、その傍に小柄な人影のもの。
胸が騒めく。あの背の高い人影はフロイドだという確信があった。ということは、あの人影は――。
ぼんやりとその光景を見えていると小柄な方が去って行く。あたしの方には来ることなく別の方向へと。
それに思わず安堵してしまったことが情けない。はぁ、と息をついて背の高い人影へと足を進める。
「フロイド」
後ろから名前を呼ぶ。振り返ったフロイドは少し眉を顰めていた。
「おせぇよ」
「ごめん」
苛立った声に思わず謝る。たぶん、さっきのアレに苛立っているのだろう。あたしがもう少し早く来ればここをさっさと退散できたはずだ。
「ごめん」
もう一度謝るとフロイドの顔が何だか微妙に歪む。苛立ちとは違うような、そのような。微妙な顔だった。
「あ~もういいよ。オレもごめん。なんかさっきめんどくせぇ奴に絡まれたからさぁ」
告白かなんらか交流を深めようとした相手をそう言うとは。でもヴァネッサもこいう特別な雰囲気がする際は相当絡まれるのでフロイドの気持ちも分かる。
「そっか。大変だったのね。それよりあたしも遅くなってごめん」
「だぁから、もういいし。でさ、どっか行くの?」
首を傾げるフロイドに頷いて大きな手を取る。握ろうとするとするりと長い指があたしの指に絡んだ。自然な流れにいつも感心してしまう。
絡んだ手をキュッと握りそのまま手を引く。
「こっち来て」
井戸からさらに奥へと向かう。本来はこの先には交流会で参加している他校の生徒は原則的には入れない――この学校の生徒と一緒でなければ。
これはちょっとした裏技。ちなみに何かあったときように色々仕掛けはあるらしい。それは流石に先輩から引き継がれてはいない。
「この先、オレが入っていいの?」
「あたしと一緒なら今日限定で出入り可能」
だから二人きりになるには十分。
井戸のあった場所から再び廊下へと戻る。そして、階段を上り密やかな部屋へと入る。部屋に明かりはない。魔法でともせるけれど、それが不十分というほど月明かりが部屋の中を照らしていた。
「ね。フロイド、こっち来て」
その月明りが入る窓にあたしはフロイドの手を引く。窓まで来ると外には学園を囲う森とその向こうには海が見える。その海は月明りに照らされている。
「ふふ。今さら海なんてって思うけれど、こうして上から見る海ってやっぱり新鮮よね」
とはいえ、ナイトレイブンカレッジも似たような環境だから見慣れているか。つまらないものを見せてしまったな。一言謝ろうかとフロイドの方を見ると思いのほか彼は近いところにいた。
「わっ、ちょ」
近いと思う前に腰が抱き寄せられる。そして、式典服のフードで月明りが遮断された。彼の左右色の異なる瞳。金色の瞳が暗闇の中で月のように輝いている。夜空に輝く月と同じその瞳に吸い寄せられるように唇が重なった。
「ねぇねぇ。人魚の館だっけ? あれ、行ってみてぇんだけど」
横というよりも頭上から聞こえる声に渋々顔を上げる。すると、そこには楽しそうな恋人の顔。そのワクワクとした可愛い顔に絆されそうになるのをぐっと堪える。
「ダメ。そこは交流会で行けるエリアじゃないから」
あたしとフロイドがいる場所といる場所は図書館。学習部屋意外はなるべく静かにしなければいけない。それを思い出させるように小さめの声で告げる。きっと意味はないけれど。
「そう。ならいいや」
あまり自分がいる場所を意識していない普通の話し声にあたしは心の中でため息をつく。けど、彼の反応が意外で拍子抜けする。
フロイドは特に気を悪くした様子もなく、そして飽きた様子もなく、目の前の本棚から適当に本を取り出して開く。その横顔を見てみるとまだ楽しそうにも見える。
機嫌がだいぶいい。それがあたしに会えたからというなら嬉しい。嬉しいのだけれど――。
「フロイド。そろそろ戻ったらどう?」
今は交流会のグループ学習の時間。あたしとフロイドは別グループ。かつ、あたしは交流会の実行委員会の一人。今、あたしはグループ学習で必要な資料を集めているところ。ついでに委員会の報告書の作成もしている。
「フロイド」
反応のないフロイドの名前を呼ぶ。それが耳に届いたのかフロイドの横顔から少しだけ機嫌が悪くなったのが見て取れた。ちょっと不機嫌な顔で本を閉じてこっちを見る目は細い。
「オレさぁ、この交流会楽しみにしてたんだよねぇ」
本を適当に戻したフロイドがこちらににじり寄って来る。
にんまりと笑う目がまるで捕食者のように。いや、実際そうなのかもしれない。その捕食者に色を染めた瞳だけは今も慣れない。というか本能から恐ろしく感じる。
唾を飲み込んで目の前まで迫ったフロイドを見る。
「この交流会に選ばれるための選抜試験もさぁ珍しく頑張ったしぃ」
「そ、そう……」
この全国養成学校交流会はまず開催校以外に数校選ばれる。さらに開催校と参加校から参加者を募る。その際に選抜試験が行われる。他校に行くことからそれなりに厳しい。厳しいがこの交流会は人気で毎回各校倍率が高い。
その交流会にフロイドが率先として参加した理由が分からないほど馬鹿ではない。馬鹿ではないけれど、自信過剰みたいで何だか恥ずかしい。
だから言わずにいたけれど、この流れは――。
「オレが頑張った理由、分かる?」
「っ」
甘ったるい声で囁かれる。
これは卑怯だ。フロイドがあたしに言わせたいことはわかる。けれど、そんな、ほんとうかも分からない。でも、言わせたいなら当りということなのか。でも、と口をもごつかせていると――。
「ひぁ」
耳を甘噛みされた。その鋭い牙からもたらされる甘さに身体が反応してしまう。こういう触れ合いもここ最近全然していなかった。
フロイドはあたしの反応がいいことからそのまま耳を攻めてくる。あの薄い唇が、あの鋭い牙が、容赦なく攻めてきて腰が震えて、足の力が抜ける。
「ふっ、あいかわらず弱ぇな」
「っ、あ」
ちゅっとリップ音がして腰が砕けた。いつの間にか抱き込まれていたのか。目の前のフロイドに必死に抱き着く。フロイドはフロイドで慣れた様子でしっかりと腰を抱き込むけれど、それにさえ身体が反応してしまう。
「っ、も、もう!」
「あは。ヴァネッサがちゃんと答えてくんねぇからしかたねぇじゃん」
楽しそうな声と共に身体をギュッと抱きしめられた。機嫌が再び浮上したことに安心するけれど、同時にあたし自身も満たされる気分だけど――。
フロイドの手が妖しい動きになったのは流石に見過ごせない。
「フロイド。離してちょうだい」
「え~今めっちゃいい雰囲気だったじゃん」
「んっ、そうだけど、ダメ。今はダメ」
何とかフロイドの身体を押しやる。あっさりと離れていく。そのことは寂しいけれど本当にこれ以上はダメ。今は。
距離が出たことでフロイドの顔を見上げるとお預けをくらった子犬みたいな目をしていた。これはまた絆されそうになる目をして、もう!
「はぁ。交流会の最終日にパーティーがあるの覚えてる?」
「あ~そういえば最終日は式典服でとかなんとか言ってたっけ?」
「そう。そこで、その、そういう日は結構先生たち、脇が甘いのよ」
交流会で恋人になる人たちもいる。あたしとフロイドみたいに恋人っていうパターンもある。その日だけ少しだけ羽目を外してもいいという暗黙の了解みたいなのがある。もちろん、何かあったときのために色々先生が魔法を張り巡らしているけれど。それでも恋人同士二人きりになれる。
「へぇ。なら、その日までお預けってこと?」
「そうなるけど、イヤ?」
フロイドを見上げるとにんまりと笑っている。その反応に安心していいのか複雑だけれど、どうやら大丈夫みたい。反応に胸を撫で下ろしながらひとつ付け加える。
「だからフロイドも交流会頑張ってちょうだい」
「うん♪ わかったぁ」
ルンルンとした声に安堵していると唇に柔らかい感触と同時にリップ音がした。
目の前に再び迫ったフロイドの目が笑う。
「これくらいはいいよね」
といってまた可愛らしいリップ音がした。これはもう仕方ない。少し付き合うことにした。だって、あたしもやっぱり寂しかったから。
* * *
フロイドが面倒くさい交流会に参加してくれてまで会いに来てくれたのは嬉しかった。
本当だったら彼の誕生日前の休暇で一緒に過ごす予定だった。けれど、あたしが風邪を引いてさらに拗らせて一緒にいることができなかった。
風邪が治った後も交流会の実行委員の仕事が忙しくて結局交流会まで会うことができなかった。けれど、交流会の合間も結局あの図書館であった日以降は中々会うことができなかった。そして、交流会最終日を迎え、パーティーの時間となった。
勉強から解放された学生の喧騒と優雅な音楽が遠くから聞こえる。実行委員がパーティーを抜け出すのは気が引けるが――やはりあたしもフロイドが恋しい。
実行委員会の仕事を少しの間引き受けてくれたのは同じく実行委員に選ばれていたレティシアだった。ジェイドがいないからといったけれどあとでお礼をしないと。
「早く行かないと」
時間がない。式典用のドレスの裾を掴みフロイドとの約束の場所へと向かう。
カツカツという音だけが廊下に響く。早く、早く、と小走りとなり息を上げながら向かっているうちに人の声が聞こえる。
嘘、と思って足音を消してゆっくりと進む。そして、待ち合わせ場所の井戸に人影がふたつあった。一つは背の高い人影と、その傍に小柄な人影のもの。
胸が騒めく。あの背の高い人影はフロイドだという確信があった。ということは、あの人影は――。
ぼんやりとその光景を見えていると小柄な方が去って行く。あたしの方には来ることなく別の方向へと。
それに思わず安堵してしまったことが情けない。はぁ、と息をついて背の高い人影へと足を進める。
「フロイド」
後ろから名前を呼ぶ。振り返ったフロイドは少し眉を顰めていた。
「おせぇよ」
「ごめん」
苛立った声に思わず謝る。たぶん、さっきのアレに苛立っているのだろう。あたしがもう少し早く来ればここをさっさと退散できたはずだ。
「ごめん」
もう一度謝るとフロイドの顔が何だか微妙に歪む。苛立ちとは違うような、そのような。微妙な顔だった。
「あ~もういいよ。オレもごめん。なんかさっきめんどくせぇ奴に絡まれたからさぁ」
告白かなんらか交流を深めようとした相手をそう言うとは。でもヴァネッサもこいう特別な雰囲気がする際は相当絡まれるのでフロイドの気持ちも分かる。
「そっか。大変だったのね。それよりあたしも遅くなってごめん」
「だぁから、もういいし。でさ、どっか行くの?」
首を傾げるフロイドに頷いて大きな手を取る。握ろうとするとするりと長い指があたしの指に絡んだ。自然な流れにいつも感心してしまう。
絡んだ手をキュッと握りそのまま手を引く。
「こっち来て」
井戸からさらに奥へと向かう。本来はこの先には交流会で参加している他校の生徒は原則的には入れない――この学校の生徒と一緒でなければ。
これはちょっとした裏技。ちなみに何かあったときように色々仕掛けはあるらしい。それは流石に先輩から引き継がれてはいない。
「この先、オレが入っていいの?」
「あたしと一緒なら今日限定で出入り可能」
だから二人きりになるには十分。
井戸のあった場所から再び廊下へと戻る。そして、階段を上り密やかな部屋へと入る。部屋に明かりはない。魔法でともせるけれど、それが不十分というほど月明かりが部屋の中を照らしていた。
「ね。フロイド、こっち来て」
その月明りが入る窓にあたしはフロイドの手を引く。窓まで来ると外には学園を囲う森とその向こうには海が見える。その海は月明りに照らされている。
「ふふ。今さら海なんてって思うけれど、こうして上から見る海ってやっぱり新鮮よね」
とはいえ、ナイトレイブンカレッジも似たような環境だから見慣れているか。つまらないものを見せてしまったな。一言謝ろうかとフロイドの方を見ると思いのほか彼は近いところにいた。
「わっ、ちょ」
近いと思う前に腰が抱き寄せられる。そして、式典服のフードで月明りが遮断された。彼の左右色の異なる瞳。金色の瞳が暗闇の中で月のように輝いている。夜空に輝く月と同じその瞳に吸い寄せられるように唇が重なった。
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