私たち恋愛初心者
Name Change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夢主視点
ついに夏休みに入った。ジェイドを解放しようと旅行に誘ったら了承を貰えた。泊まる場所は両親が所有している別宅だから問題ないからゆっくりと観光もできる。
ジェイドはいつも通り変わらない澄ました顔をしているように見えて違った。どこかワクワクしたような感じでとても可愛らしかった。
きっと初めて来た街だからはしゃいでいるのだろう。ジェイドのそんな可愛らしい姿は初めてでこれが最後になるだろうから目に焼き付けておこう。
そのせいだろうか今日はすごくジェイドと目が合う。そして、目が合う度に彼の目尻と口角が和らいだように見えた。目の錯覚かもしれないが、その姿に心臓が何度も跳ねた。
明日でさよならをするのに危険極まりない。でも、私はジェイドから目をそらすことはできなかった。
夜は食材を街で買って家で料理することにした。流石というようにジェイドは手際よく料理を作っていく。私は手伝えることをしようとしたら――。
「あなたが作った料理が食べてみたいです」
と言われてしまった。それに私は眉を下げた。
料理が作れないわけではないけれどジェイドやフロイドのように本格的なものは作れない。
「貴方が作った料理に合うようなものは作れないわ」
「気にしませんよ」
「でも、ほんとに簡単なものしか作れないのよ」
「はい。なんでも構いません。僕はあなたの料理が食べたいので」
柔らかく微笑んでいうものだから断れなかった。
流石にそこまで合わせが不味くならないように残った食材で作ったけれど――たいしたものは作れなかった。
それでもジェイドは嬉しそうに切れ長の目尻を和らげた。それがまた意外であると同時にキュンとした。心臓がうるさかった。
私の料理を一人で平らげたジェイドは嬉しそうに「おいしかったです」と言った。今まで見たことがない表情だった。
「よかった」
安心しながらも「全然よくないわぁ」と心の中の私が叫ぶ。その通り全然良くない。明日バイバイってするつもりの好きな人の新しい表情が見られたんだもの。全然良くないわ。苦しくてしかたないわ。
二人食事を終えて、二人で片づけをした頃には夜も更けていた。ゆっくりとした時間が流れるのが居たたまれなかった。
「ジェイド。先にシャワー浴びていいわよ」
「いえ、あなたが先で構わないですよ」
「ダメ。貴方の方がゲストなんだから」
「ほら先に行って」とジェイドの背中を押して無理矢理先にシャワーを浴びさせた。その間に私は着替えを取りに部屋に戻った。
部屋に戻ったついでに身に着けたアクセサリーを取って旅行用のジュエリーケースに入れる。ふと、耳から外したピアスを見る。
薄いピンク色の珊瑚のピアスはジェイドからの誕生日プレゼントだった。シンプルだけど可愛らしいピアスは私のお気に入りでデートでも頻繁に着けている。だから今日も身に着けていたのだけれど――。
「プレゼントのアクセサリーって返した方がいいのかしら?」
指輪を返すだの。別れたあとに売っただの。別れた恋人同士のあれやこれや聞いたことがある。リングやネックレスとかならいいけれど、ピアスってどうなのかしら。
「そのときに聞けばいいわよね……」
でも、このピアスが手元からなくなるのは寂しい。ジェイドとの思い出を持って行かれてしまうみたいだから。私はその寂しさを閉じ込めるようにジュエリーケースの蓋を閉じた。
着替えの服を持って下に降りるとちょうどシャワーを終えたジェイドがいた。初めて見るジェイドのパジャマ姿にまじまじと見てしまう。
「……なにか可笑しなところでも?」
「そんなことないわ。ただ、初めて見るからついね」
「ごめんね」と彼の顔を見ながら言う。ふと彼の白い頬が薄っすらと赤くなっていた。シャワーを浴びた後だからだと思うがそれも新鮮であり、なんか気持ちがソワソワしてしまう。
「私も入って来るね」
「はい……あの、レティシア」
「なぁに?」
珍しく伺うようなジェイドに私も足を止める。彼はしばし視線をさ迷わせるというこれまた珍しい仕草をした後に「お茶でも、」と告げた。
「この後、よかったら一緒にお茶でもいかがですか」
「まぁ。いいわね!」
だから街で茶葉を買っていたのか。てっきりお土産だと思っていた。でも、最後の夜にジェイドと遅くまで過ごせるのは嬉しい。
「なら僕が準備しておきますね」
「ありがとう。ティーポットの場所は分かる?」
「はい。先ほど見つけましたので」
「じゃあ。準備お願いします」
「はい」
ほっとしたような安心したようなジェイド。何かあったのかなと思いながらも私は訊かずにシャワー室に向かった。だって、訊いたところで私には意味がないのだから。たぶん、と言い聞かせた。
シャワーを浴びえるときどうしても色々考えてしまう。おかげで身体を洗うまで時間がかかってしまった。
髪を乾かしながら鏡に映る自分を見る。
「うん。おかしくないわよね」
気合を入れて購入したネグリジェ。せっかくだから少しでも可愛いと思ってほしくてレースが使われた可愛らしいものを選んだ。露出は控えめの長いワンピースタイプ。デコルテも足もほとんど出てない。あるとしたら夏用だから腕が出ているくらい。別になんら問題はない、はず。
今回のネグリジェはデートの時に来ていく服と同じくらい迷った。ほんとジェイド関連のことは自信が持てない。最後まで本当に持てなかった。
「最後くらい可愛いって思ってくれるかしら」
そう思ってくれたらいいなと思いながら髪の毛が乾かし終わった。
ソワソワ、ドキドキしながらジェイドが待つリビングへ辿り着いた。すると、扉の空いたリビングからふわりと鼻をリンゴに似た甘い香りがした。爽やかな香りに誘われるようにリビングへと足を踏み入れた。
私に背を向ける形でジェイドがいた。気配に敏感なジェイドらしくない。もしかして眠ってしまったのかしら。
不安なままジェイドに近づいて――。