あなたのカノジョになりたいの
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◇ 夢主視点
「へぇ。兄ちゃん随分いい身なりしてんじゃねぇか?」
「その制服……金持ち学校の○○高校のだろ?」
「なら! 財布が分厚くなるくらいおこづかい貰ってんだろ?」
わたしの目の前に誰がどう見ても柄の悪い男が三人いる。でも、ヤクザというには年若いまだ少年と青年のはざまにいるだろう人たち。不良という言葉がしっくりと来る。
冷静にわたしは男たちを観察しているけれど――隣にいる男の子は違う。
横目で見ても分かるほどに鞄の紐を持つ手が震えているし、顔を見れば完全に強張っている。汗も酷い。
その様子にわたしは出そうになった溜息を飲み込む。口では「ぼくが羽美子ちゃんを護るから!」とか言っていたくせに。口から出まかせよね。
「ぼ、ぼ、ぼくっ」
お。そんな戦慄いている唇を必死に動かして何を言おうとしているのかしら。わたしは少し不安そうな表情を作りながらそっとカレの腕に触れると。
「ッ! か、かのじょのほうがお金持ちですッッッッッ!」
腕を振り上げてわたしの手から逃れて叫んだ。そして、わたしを見ることなく表通りに出る方角へと走り去っていった。すごい一度も振り返ることもなカッた。
ちょっと根性なさすぎるでしょう。というか、ここにいる女の子が〝わたし〟じゃなくて普通の女の子ならその子可哀想すぎるわよ。
去って行ったカレが完全にいなくなってわたしは柄の悪い男三人組を見る。
そこには先ほどの意地の悪い顔はなかった。ただ、お三方とも同じ呆れたというか可哀想な人を見る顔をしていた。
「ちょっとその顔は失礼ですよ」
両手を腰に添えてムンとお三方を睨み上げる。すると、それぞれ顔を見合わせてから代表するように真ん中にいる〝ハシモトさん〟が「だってさ」と口を開いた。
「羽美子さん、これで今週もう三人目だぜ?」
「むっ。もうそんなですか?」
「っす。つか、今月あと一人で十人っすよ」
「え!」
ハシモトさんの右隣の〝モリさん〟が指折り数えながら教えてくれた。わたしも思わず数えれば確かに今逃げて行ったカレで九人目だ。指折り数えていた手が震えだす。
「ど、どうしましょう!」
「いや、どうしようって、普通に今まで通り総長の所に通えばよくねぇっすか」
一番呆れてすでに興味を失ったような顔をしている〝スズキさん〟が言う。
わたしはスズキさんの口から出た〝総長〟という言葉に一人呻く。そもそもわたしがこうして彼氏をとっかえひっかえしているのはその総長さんの所為なのに。
溜息を零してつい項垂れてしまう。
そりゃわかっているわ。わたしみたいに二つとはいえ年下の見た目が中学生の女の子に興味がないことは。でも、それでも、あの方がくれたこの機会を逃したくない。
「莞爾さんが他の男と付き合って経験ができたら彼女にしてくださるっていったんだもの」
だから毎日のように通っていた莞爾さんのところに行くのもやめて好きでもない男の子と付き合っているのに。けど、わたしだってただで付き合うのはイヤだった。だから、こうしてこのお三方に頼んで色々男の子を試しているけれど9連敗中。いいところのお坊ちゃんのせいね。
「はぁ。空手やってるぅとか、柔道やっているぅとか、皆口ばっかり」
やっぱりどこからどうみても強い莞爾さんのような方が一番。だのに、なんでこう理想としている想い人とお付き合いできないのかしら。
「ねぇねぇ。お三方は呪華武の幹部でいらっしゃるんでしょう? 莞爾さんをどうしたら射止めることができるでしょう?」
縋る思いでお三方に訊ねるけれど――皆同じ方向に揃って首を傾げた。全然可愛くないわ。ワンちゃんやネコちゃんがすれば可愛いのに。
「総長のオンナって皆ナイスバディな大人の女だったしな」
「ナイスバディじゃなくても年上だった気がするな」
「あと、モデルみたいに高身長だったわな」
「ああ~」と揃える声に泣きたくなるわ。というかもう泣きそう。
でも、自分の見目と年齢が莞爾さんのタイプではないのは重々承知の上。だって、好きなんだもの。それに好み云々も彼氏ができて経験できればわからないじゃない。そう。変わるわ。
「とりあえず、次もすぐに彼氏を作ってみせるわ。なので次もお願いします」
「羽美子さん、まだ度胸試しするの」
「はい。じゃなきゃ、わたしの彼氏として認められません」
キリとした表情で返すとお三方に揃って微妙な顔をされた。もう。失礼よ。
とりあえず、今週はもう彼氏作りはやめよう。次の彼氏は来週にしよう、と決めて腕時計を見る。
「あ。こんな時間」
「習い事?」
「はい。今日はお琴なんです」
ハシモトさんに言えばまた何とも言えない顔をされた。どうせまた心の中で「お嬢様趣味」とか思っているんでしょうね。いいじゃない。お琴。ちょっと爪があれだけど。
「一緒に行く?」
「あ、平気です。表通りにもうタカハシが迎えに来ていますから」
すると今度はお三方揃って微妙な顔をした。もう、お嬢様って言われる部類だから仕方ないじゃないッ!
「また今度よろしくお願いします! あ、これでご飯でも食べてください」
「別にいいんだけど、ま、ありがたく貰っておくよ」
鞄から封筒を取り出してハシモトさんに渡す。ハシモトさんは苦笑を浮かべながら受け取ってくれた。最初は断われていたアルバイト料も今はこうして受け取ってくれるから嬉しい。
「ほら、羽美子さん、時間だよ」
「うん。じゃ、またね」
お三方に手を振ってそのまま表通りに出た。
「へぇ。兄ちゃん随分いい身なりしてんじゃねぇか?」
「その制服……金持ち学校の○○高校のだろ?」
「なら! 財布が分厚くなるくらいおこづかい貰ってんだろ?」
わたしの目の前に誰がどう見ても柄の悪い男が三人いる。でも、ヤクザというには年若いまだ少年と青年のはざまにいるだろう人たち。不良という言葉がしっくりと来る。
冷静にわたしは男たちを観察しているけれど――隣にいる男の子は違う。
横目で見ても分かるほどに鞄の紐を持つ手が震えているし、顔を見れば完全に強張っている。汗も酷い。
その様子にわたしは出そうになった溜息を飲み込む。口では「ぼくが羽美子ちゃんを護るから!」とか言っていたくせに。口から出まかせよね。
「ぼ、ぼ、ぼくっ」
お。そんな戦慄いている唇を必死に動かして何を言おうとしているのかしら。わたしは少し不安そうな表情を作りながらそっとカレの腕に触れると。
「ッ! か、かのじょのほうがお金持ちですッッッッッ!」
腕を振り上げてわたしの手から逃れて叫んだ。そして、わたしを見ることなく表通りに出る方角へと走り去っていった。すごい一度も振り返ることもなカッた。
ちょっと根性なさすぎるでしょう。というか、ここにいる女の子が〝わたし〟じゃなくて普通の女の子ならその子可哀想すぎるわよ。
去って行ったカレが完全にいなくなってわたしは柄の悪い男三人組を見る。
そこには先ほどの意地の悪い顔はなかった。ただ、お三方とも同じ呆れたというか可哀想な人を見る顔をしていた。
「ちょっとその顔は失礼ですよ」
両手を腰に添えてムンとお三方を睨み上げる。すると、それぞれ顔を見合わせてから代表するように真ん中にいる〝ハシモトさん〟が「だってさ」と口を開いた。
「羽美子さん、これで今週もう三人目だぜ?」
「むっ。もうそんなですか?」
「っす。つか、今月あと一人で十人っすよ」
「え!」
ハシモトさんの右隣の〝モリさん〟が指折り数えながら教えてくれた。わたしも思わず数えれば確かに今逃げて行ったカレで九人目だ。指折り数えていた手が震えだす。
「ど、どうしましょう!」
「いや、どうしようって、普通に今まで通り総長の所に通えばよくねぇっすか」
一番呆れてすでに興味を失ったような顔をしている〝スズキさん〟が言う。
わたしはスズキさんの口から出た〝総長〟という言葉に一人呻く。そもそもわたしがこうして彼氏をとっかえひっかえしているのはその総長さんの所為なのに。
溜息を零してつい項垂れてしまう。
そりゃわかっているわ。わたしみたいに二つとはいえ年下の見た目が中学生の女の子に興味がないことは。でも、それでも、あの方がくれたこの機会を逃したくない。
「莞爾さんが他の男と付き合って経験ができたら彼女にしてくださるっていったんだもの」
だから毎日のように通っていた莞爾さんのところに行くのもやめて好きでもない男の子と付き合っているのに。けど、わたしだってただで付き合うのはイヤだった。だから、こうしてこのお三方に頼んで色々男の子を試しているけれど9連敗中。いいところのお坊ちゃんのせいね。
「はぁ。空手やってるぅとか、柔道やっているぅとか、皆口ばっかり」
やっぱりどこからどうみても強い莞爾さんのような方が一番。だのに、なんでこう理想としている想い人とお付き合いできないのかしら。
「ねぇねぇ。お三方は呪華武の幹部でいらっしゃるんでしょう? 莞爾さんをどうしたら射止めることができるでしょう?」
縋る思いでお三方に訊ねるけれど――皆同じ方向に揃って首を傾げた。全然可愛くないわ。ワンちゃんやネコちゃんがすれば可愛いのに。
「総長のオンナって皆ナイスバディな大人の女だったしな」
「ナイスバディじゃなくても年上だった気がするな」
「あと、モデルみたいに高身長だったわな」
「ああ~」と揃える声に泣きたくなるわ。というかもう泣きそう。
でも、自分の見目と年齢が莞爾さんのタイプではないのは重々承知の上。だって、好きなんだもの。それに好み云々も彼氏ができて経験できればわからないじゃない。そう。変わるわ。
「とりあえず、次もすぐに彼氏を作ってみせるわ。なので次もお願いします」
「羽美子さん、まだ度胸試しするの」
「はい。じゃなきゃ、わたしの彼氏として認められません」
キリとした表情で返すとお三方に揃って微妙な顔をされた。もう。失礼よ。
とりあえず、今週はもう彼氏作りはやめよう。次の彼氏は来週にしよう、と決めて腕時計を見る。
「あ。こんな時間」
「習い事?」
「はい。今日はお琴なんです」
ハシモトさんに言えばまた何とも言えない顔をされた。どうせまた心の中で「お嬢様趣味」とか思っているんでしょうね。いいじゃない。お琴。ちょっと爪があれだけど。
「一緒に行く?」
「あ、平気です。表通りにもうタカハシが迎えに来ていますから」
すると今度はお三方揃って微妙な顔をした。もう、お嬢様って言われる部類だから仕方ないじゃないッ!
「また今度よろしくお願いします! あ、これでご飯でも食べてください」
「別にいいんだけど、ま、ありがたく貰っておくよ」
鞄から封筒を取り出してハシモトさんに渡す。ハシモトさんは苦笑を浮かべながら受け取ってくれた。最初は断われていたアルバイト料も今はこうして受け取ってくれるから嬉しい。
「ほら、羽美子さん、時間だよ」
「うん。じゃ、またね」
お三方に手を振ってそのまま表通りに出た。
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