最期を迎えるその日まで
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◆ 旦那様視点
行為を終えて意識を失ったように眠る彼女を見下ろすと感慨深さと多幸感があった。ない混ざるそれを胸にそっと押しとどめてベッドから降りる。
幼い頃、たった一度だけ父親の顔が見たくて向かった屋敷で見た女の子。裏の世界だというのに誰からも愛されて大切にされているのを体現している子がいた。自分の立場を考えれば羨む気持ちが出るけれどそれより先に女の子の愛らしさに僕は一目惚れした。自分は随分燃費がいいのか。その女の子お蔭で何とか生きていけた。
けれど、やっぱりもっと早く自分が動いていたらこの状況はもっと早く来ただろう。何より、彼女の向けるすべての感情が自分のものになったかもしれない。それだけは何度考えても悔やまれる。
さて、この幸せな気分のままシャワーを浴びようかと思ったけれど満たされた心と身体を洗い流すのは惜しい。それに今シャワーを浴びたら背中に出来た傷が痛むかもしれない。いや、別に痛んでも言いのだけれど――。
「ふふ」
痛い。初めて彼女が僕の背中に傷を着けた。今日のアレが効いたのかもしれない。
今日は彼女が僕の妻になって1年になる結婚記念日。自由時間も記念日のプレゼンとだったけれど、灰谷兄弟との再会も同じプレゼントだった。今日のために裏から手を回して兄弟がここで会談をするようにセッティングした。
愛する二人に会えて彼女はどうだっただろうか? 愛している女に会えた兄弟はどうだっただろうか?
二人と対面しているときの彼女の揺らぎを見ると――。
「ふっ、ふふ、はは」
醜い嫉妬で彼女を容易く傷つけた彼ら。お蔭でとんだ贈物を貰うことになった。
背中の傷の痛み。最高の贈物。正直、あと少しですべて梵天に譲渡が済む。その際に、彼女を彼らに戻そうと思ったけれど――惜しくなった。
「さて、どうしようか」
トントンと唇を叩いて考える仕草をするけれどひとつ案がある。
「子ども」
彼女がここまで許してくれたのなら僕の子どもをあの薄い腹に孕んでくれるかもしれない。彼女は優しいからたとえ愛した男の子でもなくとも子どもを愛しんでくれるはず。
「不服だけれどこれが一番か」
血の繋がりは僕にとって忌み嫌うところはある。でも、縛り付けるには血というのはうってつけだ。利用するのにとても手軽だ。なら血の繋がりを嫌っている場合ではない。
「さて、橙子さんが起きたら打診してみましょう」
灰谷兄弟のあの態度で傷心の今がつけいれどき。
「ふふ。僕も寝ようかな」
もちろん、彼女の横で。そう。誰に言うでもなく再び彼女が眠るベッドに横になった。
行為を終えて意識を失ったように眠る彼女を見下ろすと感慨深さと多幸感があった。ない混ざるそれを胸にそっと押しとどめてベッドから降りる。
幼い頃、たった一度だけ父親の顔が見たくて向かった屋敷で見た女の子。裏の世界だというのに誰からも愛されて大切にされているのを体現している子がいた。自分の立場を考えれば羨む気持ちが出るけれどそれより先に女の子の愛らしさに僕は一目惚れした。自分は随分燃費がいいのか。その女の子お蔭で何とか生きていけた。
けれど、やっぱりもっと早く自分が動いていたらこの状況はもっと早く来ただろう。何より、彼女の向けるすべての感情が自分のものになったかもしれない。それだけは何度考えても悔やまれる。
さて、この幸せな気分のままシャワーを浴びようかと思ったけれど満たされた心と身体を洗い流すのは惜しい。それに今シャワーを浴びたら背中に出来た傷が痛むかもしれない。いや、別に痛んでも言いのだけれど――。
「ふふ」
痛い。初めて彼女が僕の背中に傷を着けた。今日のアレが効いたのかもしれない。
今日は彼女が僕の妻になって1年になる結婚記念日。自由時間も記念日のプレゼンとだったけれど、灰谷兄弟との再会も同じプレゼントだった。今日のために裏から手を回して兄弟がここで会談をするようにセッティングした。
愛する二人に会えて彼女はどうだっただろうか? 愛している女に会えた兄弟はどうだっただろうか?
二人と対面しているときの彼女の揺らぎを見ると――。
「ふっ、ふふ、はは」
醜い嫉妬で彼女を容易く傷つけた彼ら。お蔭でとんだ贈物を貰うことになった。
背中の傷の痛み。最高の贈物。正直、あと少しですべて梵天に譲渡が済む。その際に、彼女を彼らに戻そうと思ったけれど――惜しくなった。
「さて、どうしようか」
トントンと唇を叩いて考える仕草をするけれどひとつ案がある。
「子ども」
彼女がここまで許してくれたのなら僕の子どもをあの薄い腹に孕んでくれるかもしれない。彼女は優しいからたとえ愛した男の子でもなくとも子どもを愛しんでくれるはず。
「不服だけれどこれが一番か」
血の繋がりは僕にとって忌み嫌うところはある。でも、縛り付けるには血というのはうってつけだ。利用するのにとても手軽だ。なら血の繋がりを嫌っている場合ではない。
「さて、橙子さんが起きたら打診してみましょう」
灰谷兄弟のあの態度で傷心の今がつけいれどき。
「ふふ。僕も寝ようかな」
もちろん、彼女の横で。そう。誰に言うでもなく再び彼女が眠るベッドに横になった。