雌の生態
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
◇ 夢主視点
朝目が覚めると目の前に竜胆様の寝顔があった。寝ぼけているのかと思って目を何度か瞬かせるが一向に消えない。
じゃあ本物なのかしら。覚醒してくると目の前の竜胆様の瞼がピクと痙攣した。それを起きるとぼんやりと見ていれば竜胆様の瞼がゆっくりと上がった。寝起きの焦点の合わない瞳が現れた。
竜胆様も私と同じように何度か瞬きをすると徐々に覚醒した目になって来る。
「……はよ」
「おはようございます」
「ん」
そのままくわっと大きな欠伸をするのっそりと起き上がる。すると、蘭様と分けた入れ墨が姿を現した。その姿をぼんやりと見上げていると名前を呼ばれた。
流石にそのままでは失礼だなと思って返事をしながら上体を起こした。
「はい。なんでしょうか?」
寝起きに昨夜の話はないだろうけれど何だろうか。お互い寝起きの雰囲気で出来る話ってなにかしらと竜胆様を見つめれば――。
「オレもさ、オマエのこと好きだから」
「は……」
一気に意識が鮮明に覚醒した。けれど、竜胆様はまだ微睡みにいるのかまだ眠そうだ。なら冗談。いや、昨夜の蘭様のことがあるから嘘ではない。
「ぁ、えっと」
二度目の告白も昨夜と同じで言葉は形にならなかった。蘭様が言う「オレら」というのは本当だった。でも、だからってどうすればいいか分からないままだった。
今、もし答えを求められたら?
どうしよう。私は思わず竜胆様を見てしまう。
先ほどの微睡みにいた瞳は今やはっきりとしていて私を見据えていた。その瞳と目が合っても私は何も言えずに口を噤み竜胆様に甘えた。
「オレはさ、オマエと恋人になりたい」
「恋人、ですか……」
「うん」
幼く頷く竜胆様に私は再び困惑する。だって、恋人にするのだって愛人のときみたく軽く昇格と言えばいい。蘭様もそうだ。だのに、どうしておっしゃらないのかしら。
「恋人になれっていえばオマエはなるだろ」
軽薄さのない真剣な表情に私は声を出して返事をできなかった。ただ、私はお二人が望むなら、と頷く。すると竜胆様の眉根がキュッと寄った。
「それじゃいけねぇんだよ」
「ですが、私はお二人に拾われてお二人のものです」
「そうだな。でもさ、恋人ってやっぱり違うじゃん」
膝を抱えて首を傾げる竜胆様の長い後ろ髪がさらりと流れる。その一連の流れを見ながら私は押し黙る。違うというのは愛人とは違う特別ということだろう。
「まぁ。反社が何言うんだって思うけれど恋人は特別だろ」
竜胆様がそういうことを考えていたことが意外だった。だから、プローチをしていたのだろうか。一応、あれは私を口説き落とすための、と考えると恥ずかしくて顔が熱くなりそうだった。
「なぁ、橙子」
「はい」
「オレらのことどう思う?」
蘭様のときにはなかった告白の答えを求められた。ここで機転が利く人間は上手く応えるんだろう。私も本来はもっと上手くやって恋人にすんなり納まるべきだった。だのに、自分の機微の悪さがここに来て足を引っ張っている。
じっと黙って答えを待つ竜胆様のためにも色好い答えをしたい。したいのだけれど嘘は着けない。いつの間にか噛んでいた奥歯をゆっくりと離して口を開く。
「特別、だとは思っています」
「うん。それは命の恩人として、だろ」
「はい。でも、それを抜いてもたぶん……特別です」
これが精いっぱいの私の現状での答え。
竜胆様は膝を抱えるのをやめて胡坐をかくと腕を組んだ。考えているというポーズをするけれど腕組みをすぐにやめた。
「はぁ、今はそれまでか」
溜息と共に吐き出された言葉。
それまでかは、分からない。私だって私の感情の行方が分からない。だって、今まで意識しないように自分自身を律して来たんだもの。だのに、今になってあれが本気のアプローチだと言われてしまったらどうしたらいいか分からない。
なにせ私を所有するお二人が私の感情を求めて来るのだから。もう勘違いしないように律することもできない。じゃあ、受け止められるのかというと男性との経験の少ない私はできるか分からない。
お二人には申し訳ないけど多忙になっていることをありがたく思う。それでもぐるぐる思考回路を巡らせているとベッドが跳ねた気がする。はっと視線をあげると目の前に竜胆様が迫っていた。もとより近かった距離だったがあのやり取りからのこの距離は厳しい。
「ぁ」
視線を逸らしてしまおうかと実行する前に顎を掴まれると唇が重なった。さらにそれから顎を下に引っ張られ口が開くと舌が挿し込まれる。腰を抱き寄せられて身体が上半身裸の竜胆様に触れる。薄いパジャマの布越しでも分かる筋肉と熱に先のことを考えるとけど、あっけなく終わりを迎えた。
「はい。終わり」
「んぐッ!」
「んむっ」
第三者の声と共に竜胆様の舌が口の中から引き抜かれた。
なに、といつの間にか閉じていた目を開くと――竜胆様の首に蘭様の腕が回っていた。さらにその回した腕の手首をもう片方で押さえている。どうやら蘭様が竜胆様を落とそうしているご様子だった。いや、それよりも。
「蘭様もいらっしゃったんですか?」
「そ。竜胆と反対側で寝てたんだけど、今日は入りが早いから先に起きてシャワー浴びてたところ」
にっこり口角を上げて微笑む蘭様の髪はよく見ればまだ濡れている。これでは蘭様のさらさらの髪が痛むのでは――じゃなくて。
「あの、蘭様、竜胆様が落ちてしまいます」
「え~よくね?」
「ぐ、ぅっ、ぁ゛にぎッ!」
竜胆様は自力で蘭様の腕からもがき出た。やはり少し締まっていたのか喉を手のひらで擦っている。大丈夫かしら。
「ごほっ、ったく、んだよ」
「そのままお楽しみ時間に入りそうだったから止めただけだけど?」
「ダメじゃん」と窘める蘭様に竜胆様は鋭く舌を鳴らす。あ、やっぱり、そのままするつもりだったのね。いや、でも、あの流れでどうしてそうなるのかしら。
「オレこれから仕事だし、オマエも昼から仕事だろ。ちゃっちゃと準備しろよ」
「まだ時間あんじゃん」
「する時間もねぇけどな」
お二人の間で少し重い空気が流れかけるけれど竜胆様が「わかった」と言ってベッドから降りた。私もその流れで降りると蘭様が近づいて来た。
「今日は腰立つんだな」
「ッ!」
耳元で意地悪な囁きをされた。
羞恥心から離れようとしたけれど、すぐに蘭様の長い腕に捕まってしまった。
「逃げるなよ」
「べつに逃げたのではなく離れようとしただけで」
「だから、それが逃げるじゃねぇか」
「なぁ」と深く抱きしめられながら囁かれた声に何も言い返せない。
「暫く時間もあっからちゃんと考えろよ」
「え、どう――んむ」
身体が離されるついでに上を向くとキスされた。そのまま角度を変え、舌を挿し込まれる。竜胆様のことは止めたのにと思いながら慣らされた身体は徐々に力が抜けていく。
「んぅ……はっ、はぁ、はぁ」
キスが終わって唇が離れると昨夜と同じように腰が立たなくなってしまった。
「昨日と同じだな」
「はっ、も、ちがっ、はぁ、はぁっ」
くすくす笑われながら蘭様に寄り掛かるように立って息が整うのを待つ。でも、その間も蘭様が悪戯してくるから結局シャワーを浴び終わった竜胆様が現れるまで息絶え絶えとなった。
「兄貴もオレのこと言えないじゃん」
「でも、オレはしようと思ってねぇし」
「も、もう、いいですから」
私を挟んで言い争わないで、ついでに私もシャワーを浴びに行かせて。
振り返ればこの日が三人で和やかに過ごした最期のひと時だったかもしれない。
それほど嵐が裏の世界で巻き起こった。
**タイトル**
お題配布サイト『alkalism』様から
お題『free titles』より
朝目が覚めると目の前に竜胆様の寝顔があった。寝ぼけているのかと思って目を何度か瞬かせるが一向に消えない。
じゃあ本物なのかしら。覚醒してくると目の前の竜胆様の瞼がピクと痙攣した。それを起きるとぼんやりと見ていれば竜胆様の瞼がゆっくりと上がった。寝起きの焦点の合わない瞳が現れた。
竜胆様も私と同じように何度か瞬きをすると徐々に覚醒した目になって来る。
「……はよ」
「おはようございます」
「ん」
そのままくわっと大きな欠伸をするのっそりと起き上がる。すると、蘭様と分けた入れ墨が姿を現した。その姿をぼんやりと見上げていると名前を呼ばれた。
流石にそのままでは失礼だなと思って返事をしながら上体を起こした。
「はい。なんでしょうか?」
寝起きに昨夜の話はないだろうけれど何だろうか。お互い寝起きの雰囲気で出来る話ってなにかしらと竜胆様を見つめれば――。
「オレもさ、オマエのこと好きだから」
「は……」
一気に意識が鮮明に覚醒した。けれど、竜胆様はまだ微睡みにいるのかまだ眠そうだ。なら冗談。いや、昨夜の蘭様のことがあるから嘘ではない。
「ぁ、えっと」
二度目の告白も昨夜と同じで言葉は形にならなかった。蘭様が言う「オレら」というのは本当だった。でも、だからってどうすればいいか分からないままだった。
今、もし答えを求められたら?
どうしよう。私は思わず竜胆様を見てしまう。
先ほどの微睡みにいた瞳は今やはっきりとしていて私を見据えていた。その瞳と目が合っても私は何も言えずに口を噤み竜胆様に甘えた。
「オレはさ、オマエと恋人になりたい」
「恋人、ですか……」
「うん」
幼く頷く竜胆様に私は再び困惑する。だって、恋人にするのだって愛人のときみたく軽く昇格と言えばいい。蘭様もそうだ。だのに、どうしておっしゃらないのかしら。
「恋人になれっていえばオマエはなるだろ」
軽薄さのない真剣な表情に私は声を出して返事をできなかった。ただ、私はお二人が望むなら、と頷く。すると竜胆様の眉根がキュッと寄った。
「それじゃいけねぇんだよ」
「ですが、私はお二人に拾われてお二人のものです」
「そうだな。でもさ、恋人ってやっぱり違うじゃん」
膝を抱えて首を傾げる竜胆様の長い後ろ髪がさらりと流れる。その一連の流れを見ながら私は押し黙る。違うというのは愛人とは違う特別ということだろう。
「まぁ。反社が何言うんだって思うけれど恋人は特別だろ」
竜胆様がそういうことを考えていたことが意外だった。だから、プローチをしていたのだろうか。一応、あれは私を口説き落とすための、と考えると恥ずかしくて顔が熱くなりそうだった。
「なぁ、橙子」
「はい」
「オレらのことどう思う?」
蘭様のときにはなかった告白の答えを求められた。ここで機転が利く人間は上手く応えるんだろう。私も本来はもっと上手くやって恋人にすんなり納まるべきだった。だのに、自分の機微の悪さがここに来て足を引っ張っている。
じっと黙って答えを待つ竜胆様のためにも色好い答えをしたい。したいのだけれど嘘は着けない。いつの間にか噛んでいた奥歯をゆっくりと離して口を開く。
「特別、だとは思っています」
「うん。それは命の恩人として、だろ」
「はい。でも、それを抜いてもたぶん……特別です」
これが精いっぱいの私の現状での答え。
竜胆様は膝を抱えるのをやめて胡坐をかくと腕を組んだ。考えているというポーズをするけれど腕組みをすぐにやめた。
「はぁ、今はそれまでか」
溜息と共に吐き出された言葉。
それまでかは、分からない。私だって私の感情の行方が分からない。だって、今まで意識しないように自分自身を律して来たんだもの。だのに、今になってあれが本気のアプローチだと言われてしまったらどうしたらいいか分からない。
なにせ私を所有するお二人が私の感情を求めて来るのだから。もう勘違いしないように律することもできない。じゃあ、受け止められるのかというと男性との経験の少ない私はできるか分からない。
お二人には申し訳ないけど多忙になっていることをありがたく思う。それでもぐるぐる思考回路を巡らせているとベッドが跳ねた気がする。はっと視線をあげると目の前に竜胆様が迫っていた。もとより近かった距離だったがあのやり取りからのこの距離は厳しい。
「ぁ」
視線を逸らしてしまおうかと実行する前に顎を掴まれると唇が重なった。さらにそれから顎を下に引っ張られ口が開くと舌が挿し込まれる。腰を抱き寄せられて身体が上半身裸の竜胆様に触れる。薄いパジャマの布越しでも分かる筋肉と熱に先のことを考えるとけど、あっけなく終わりを迎えた。
「はい。終わり」
「んぐッ!」
「んむっ」
第三者の声と共に竜胆様の舌が口の中から引き抜かれた。
なに、といつの間にか閉じていた目を開くと――竜胆様の首に蘭様の腕が回っていた。さらにその回した腕の手首をもう片方で押さえている。どうやら蘭様が竜胆様を落とそうしているご様子だった。いや、それよりも。
「蘭様もいらっしゃったんですか?」
「そ。竜胆と反対側で寝てたんだけど、今日は入りが早いから先に起きてシャワー浴びてたところ」
にっこり口角を上げて微笑む蘭様の髪はよく見ればまだ濡れている。これでは蘭様のさらさらの髪が痛むのでは――じゃなくて。
「あの、蘭様、竜胆様が落ちてしまいます」
「え~よくね?」
「ぐ、ぅっ、ぁ゛にぎッ!」
竜胆様は自力で蘭様の腕からもがき出た。やはり少し締まっていたのか喉を手のひらで擦っている。大丈夫かしら。
「ごほっ、ったく、んだよ」
「そのままお楽しみ時間に入りそうだったから止めただけだけど?」
「ダメじゃん」と窘める蘭様に竜胆様は鋭く舌を鳴らす。あ、やっぱり、そのままするつもりだったのね。いや、でも、あの流れでどうしてそうなるのかしら。
「オレこれから仕事だし、オマエも昼から仕事だろ。ちゃっちゃと準備しろよ」
「まだ時間あんじゃん」
「する時間もねぇけどな」
お二人の間で少し重い空気が流れかけるけれど竜胆様が「わかった」と言ってベッドから降りた。私もその流れで降りると蘭様が近づいて来た。
「今日は腰立つんだな」
「ッ!」
耳元で意地悪な囁きをされた。
羞恥心から離れようとしたけれど、すぐに蘭様の長い腕に捕まってしまった。
「逃げるなよ」
「べつに逃げたのではなく離れようとしただけで」
「だから、それが逃げるじゃねぇか」
「なぁ」と深く抱きしめられながら囁かれた声に何も言い返せない。
「暫く時間もあっからちゃんと考えろよ」
「え、どう――んむ」
身体が離されるついでに上を向くとキスされた。そのまま角度を変え、舌を挿し込まれる。竜胆様のことは止めたのにと思いながら慣らされた身体は徐々に力が抜けていく。
「んぅ……はっ、はぁ、はぁ」
キスが終わって唇が離れると昨夜と同じように腰が立たなくなってしまった。
「昨日と同じだな」
「はっ、も、ちがっ、はぁ、はぁっ」
くすくす笑われながら蘭様に寄り掛かるように立って息が整うのを待つ。でも、その間も蘭様が悪戯してくるから結局シャワーを浴び終わった竜胆様が現れるまで息絶え絶えとなった。
「兄貴もオレのこと言えないじゃん」
「でも、オレはしようと思ってねぇし」
「も、もう、いいですから」
私を挟んで言い争わないで、ついでに私もシャワーを浴びに行かせて。
振り返ればこの日が三人で和やかに過ごした最期のひと時だったかもしれない。
それほど嵐が裏の世界で巻き起こった。
**タイトル**
お題配布サイト『alkalism』様から
お題『free titles』より
5/5ページ