こころの隅に錆を飼う
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
◆ 蘭視点
多くの社会人が疲れ切った顔で帰路につく時間。それらの人間を横目にしながらオレはあいつの護衛に電話をかける。ワンコール鳴ると護衛は電話に出て『はい』と重苦しい声で答えた。
「橙子はどう?」
『……今までとだいぶ違います』
「違う?」
何だと瞬きをする。電話の向こうにいる男は『はい』と答えて橙子の様子を伝えて来た。
曰く、縁のある場所を巡っているのは同じらしい。けど浴びるように酒を飲んでいる様子ではなく、足もしっかりしていると言う。
「なんだ。元気なのかよ」
せっかく竜胆と頑張って仕事を片付けて来たってのに。肩透かしを食らった面白くない気分だった。
『はい。ですが、この時間は去年だったら帰る時間なんですが――麻布台ではなく赤坂に向かっているようです』
「赤坂?」
下町方面から麻布台に真っ直ぐに帰らずに態々赤坂に寄り道か。あそこもクラブも沢山あるから飲み足りねぇっていうならおかしくない行動だ。
「どの当たりだ」
『たぶん駅に向かってますね』
その当たりなら梵天の傘下の店もある。というか六本木やその周辺は梵天直属ではなくともオレと竜胆個人で繋がっているバーもクラブも店だってたくさんある。そこに行ってくれりゃ融通も利くし行動が楽だ。
『入店する前に回収しますか?』
心配げな男の声にオレは「いや、いい」と返す。去年と違う行動をしているなら何か目的があって行動しているのかもしれない。それにここで他人が介入してストレス発散できないのも可哀想だ。
「とりあえず後を追え。で、店に入ったらまた連絡しろ」
『はい。分かりました』
返事を聞いて切る。スマホをジャケットに仕舞いながら大人しくしていた弟を見る。
「あいつ、赤坂いんの?」
竜胆は不可解というような顔で首を傾げる。「飲み足りねぇのかもな」と肩を竦める。だって、酒飲んで態々ショッピングもねぇだろ。
「酔ってる感じ?」
「いや、そうでもねぇみてぇ」
言えば竜胆も「なんだ」という顔をする。そういうところオレらよく似てるよな。けど、様子が違う橙子というのも気になる。
許しを乞う時の様子を見ればあいつの身体にはまだあのクズが躾けた痕が残っている。竜胆は面白くねぇと黙って苛立っていたがオレだって同じ。もう半年もオレらに愛人として飼われているのに前の飼い主の痕が残ってるなんて気持ち悪ぃだろ。けど、この機会に掻き消すチャンスだ。
「ま、とりあえず見に行こうぜ」
「そうだな」
竜胆も頷いてオレは運転手に目的地を告げると静かに発進した。
「さて、一体どうなってんだろうな」
それはそれで楽しみなんだよな。
多くの社会人が疲れ切った顔で帰路につく時間。それらの人間を横目にしながらオレはあいつの護衛に電話をかける。ワンコール鳴ると護衛は電話に出て『はい』と重苦しい声で答えた。
「橙子はどう?」
『……今までとだいぶ違います』
「違う?」
何だと瞬きをする。電話の向こうにいる男は『はい』と答えて橙子の様子を伝えて来た。
曰く、縁のある場所を巡っているのは同じらしい。けど浴びるように酒を飲んでいる様子ではなく、足もしっかりしていると言う。
「なんだ。元気なのかよ」
せっかく竜胆と頑張って仕事を片付けて来たってのに。肩透かしを食らった面白くない気分だった。
『はい。ですが、この時間は去年だったら帰る時間なんですが――麻布台ではなく赤坂に向かっているようです』
「赤坂?」
下町方面から麻布台に真っ直ぐに帰らずに態々赤坂に寄り道か。あそこもクラブも沢山あるから飲み足りねぇっていうならおかしくない行動だ。
「どの当たりだ」
『たぶん駅に向かってますね』
その当たりなら梵天の傘下の店もある。というか六本木やその周辺は梵天直属ではなくともオレと竜胆個人で繋がっているバーもクラブも店だってたくさんある。そこに行ってくれりゃ融通も利くし行動が楽だ。
『入店する前に回収しますか?』
心配げな男の声にオレは「いや、いい」と返す。去年と違う行動をしているなら何か目的があって行動しているのかもしれない。それにここで他人が介入してストレス発散できないのも可哀想だ。
「とりあえず後を追え。で、店に入ったらまた連絡しろ」
『はい。分かりました』
返事を聞いて切る。スマホをジャケットに仕舞いながら大人しくしていた弟を見る。
「あいつ、赤坂いんの?」
竜胆は不可解というような顔で首を傾げる。「飲み足りねぇのかもな」と肩を竦める。だって、酒飲んで態々ショッピングもねぇだろ。
「酔ってる感じ?」
「いや、そうでもねぇみてぇ」
言えば竜胆も「なんだ」という顔をする。そういうところオレらよく似てるよな。けど、様子が違う橙子というのも気になる。
許しを乞う時の様子を見ればあいつの身体にはまだあのクズが躾けた痕が残っている。竜胆は面白くねぇと黙って苛立っていたがオレだって同じ。もう半年もオレらに愛人として飼われているのに前の飼い主の痕が残ってるなんて気持ち悪ぃだろ。けど、この機会に掻き消すチャンスだ。
「ま、とりあえず見に行こうぜ」
「そうだな」
竜胆も頷いてオレは運転手に目的地を告げると静かに発進した。
「さて、一体どうなってんだろうな」
それはそれで楽しみなんだよな。