刻々と変わりゆくもの
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◆ 竜胆視点
橙子の体調が良くなるまで夜の予定がほぼないことに気づいた。あいつがオレたちのところに来てからそう言えばあまり夜遊び歩くことが減った気がする。久々にできた空き時間をどうしようかと兄貴に言えば笑われた。
「そんなん前みたいに遊べばいいんじゃねぇの?」
「久々に女漁りにでも行けよ」そう言って兄貴は気に入っているバーに一人行っちまった。せっかく、一緒に飲もうと思ったのに。けど、もうお互い三十路手前だしどこでも一緒に行かなくてもいいか。
オレもオレで気に入っているクラブに行って女の物色をしに行った。
会員制のクラブにはやっぱりいい女がたくさんいる。その中には堅気側の女もいるがそういう女もたまに抱くといい。でも、今日はそこそこ遊び慣れている女がいいな。
いい女いねぇかな、と視線を巡らせているとパチと女と目が合った。目があった女は艶っぽい唇で微笑んだ。よし。あの女にしよう、と微笑み返した。
女はオレの笑みを理解したのか立ち上がってこっちに来る。オレは逆に座ったままこっちまで来るのを待つ。普通の男だったらきっと近づくだろう。けど、オレはそんなことハニトラ仕掛ける以外しない。ま、そうしなくても女は来るしな。
「こんばんは」
こうしてな、と心な中で嗤いながら隣に座る女に受けそうな表情を作る。途端、女の目元が赤らんだ気がした。いい反応を見て「何か飲む?」と訊く。そうしたらもう大抵の女はオレの誘いを断らない。たまに駆け引きして愉しませてくれる女もいるけれど目の前の女は違った。あっさりとオレに落ちてくれた。つまんねぇ。
あっさり落ちた女はやっぱりつまらなかった。別にセックスに慣れていないわけではねぇんだけど事後だというのに腰が重い。それが心地よい倦怠感じゃなくて、不完全燃焼のようなそんな感じ。最悪な気分だ。
「帰るわ」
未だにベッドで横になっている女の驚く声を聞きながら降りて服を着る。後ろではまだ引き留めたいと必死そうな女の声が聞こえる。可愛い女なら後々のことを考えて相手すっけど今日はなし。もうこいつとはねぇ。だのに後ろにいる女は物分かりが悪かった。
チッ。ハズした。ネクタイは面倒だと掴んで、ジャケットを脇に抱えて振り返る。
まだベッドで胸を隠している女はオレの視線に僅かな期待を見せる。ウザぇ。
「次、見かけても声かけてくんじゃねぇぞ」
釘刺すなんてめんどくせぇえ。けど、オレの喉にある入れ墨も、身体に入った入れ墨も見てんだ。どういう人間かはバカでも分かんだろう。この女がバカじゃなければな。
適当に金を置いてホテルを出る。にしても、出すもん出したはずなのにスッキリしやしねぇ。
「かえっか」
どうせ兄貴もどっかで女引っかけているだろうし、見舞いだっていう時間でもない。ならもうオレには家に帰る選択肢しかねぇ。
「ハァ」
家に帰ってシャワー浴びて寝よう。それしか選択肢がないのがちょっと虚しいと思った。
橙子の体調が良くなるまで夜の予定がほぼないことに気づいた。あいつがオレたちのところに来てからそう言えばあまり夜遊び歩くことが減った気がする。久々にできた空き時間をどうしようかと兄貴に言えば笑われた。
「そんなん前みたいに遊べばいいんじゃねぇの?」
「久々に女漁りにでも行けよ」そう言って兄貴は気に入っているバーに一人行っちまった。せっかく、一緒に飲もうと思ったのに。けど、もうお互い三十路手前だしどこでも一緒に行かなくてもいいか。
オレもオレで気に入っているクラブに行って女の物色をしに行った。
会員制のクラブにはやっぱりいい女がたくさんいる。その中には堅気側の女もいるがそういう女もたまに抱くといい。でも、今日はそこそこ遊び慣れている女がいいな。
いい女いねぇかな、と視線を巡らせているとパチと女と目が合った。目があった女は艶っぽい唇で微笑んだ。よし。あの女にしよう、と微笑み返した。
女はオレの笑みを理解したのか立ち上がってこっちに来る。オレは逆に座ったままこっちまで来るのを待つ。普通の男だったらきっと近づくだろう。けど、オレはそんなことハニトラ仕掛ける以外しない。ま、そうしなくても女は来るしな。
「こんばんは」
こうしてな、と心な中で嗤いながら隣に座る女に受けそうな表情を作る。途端、女の目元が赤らんだ気がした。いい反応を見て「何か飲む?」と訊く。そうしたらもう大抵の女はオレの誘いを断らない。たまに駆け引きして愉しませてくれる女もいるけれど目の前の女は違った。あっさりとオレに落ちてくれた。つまんねぇ。
あっさり落ちた女はやっぱりつまらなかった。別にセックスに慣れていないわけではねぇんだけど事後だというのに腰が重い。それが心地よい倦怠感じゃなくて、不完全燃焼のようなそんな感じ。最悪な気分だ。
「帰るわ」
未だにベッドで横になっている女の驚く声を聞きながら降りて服を着る。後ろではまだ引き留めたいと必死そうな女の声が聞こえる。可愛い女なら後々のことを考えて相手すっけど今日はなし。もうこいつとはねぇ。だのに後ろにいる女は物分かりが悪かった。
チッ。ハズした。ネクタイは面倒だと掴んで、ジャケットを脇に抱えて振り返る。
まだベッドで胸を隠している女はオレの視線に僅かな期待を見せる。ウザぇ。
「次、見かけても声かけてくんじゃねぇぞ」
釘刺すなんてめんどくせぇえ。けど、オレの喉にある入れ墨も、身体に入った入れ墨も見てんだ。どういう人間かはバカでも分かんだろう。この女がバカじゃなければな。
適当に金を置いてホテルを出る。にしても、出すもん出したはずなのにスッキリしやしねぇ。
「かえっか」
どうせ兄貴もどっかで女引っかけているだろうし、見舞いだっていう時間でもない。ならもうオレには家に帰る選択肢しかねぇ。
「ハァ」
家に帰ってシャワー浴びて寝よう。それしか選択肢がないのがちょっと虚しいと思った。