貴方を想って手紙に綴る
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貴方を想って手紙に綴る・2
私はどうやらマレウス様の遊び相手に選ばれたようだ。各国を旅するドラゴンの一族の出身である私たち家族。定住することなく様々な国や地域を旅している。最近で長く街に留まったのは私が産まれるときくらいだ。
放浪が性分の私たち家族は一時茨の谷にお世話になることになった。私がマレウス様の遊び相手になり、両親もマレフィシア様の補佐をすることになる。それに色々あったらしいが知らない。その辺りは大人の領分だから。
とはいえ、茨の谷は妖精の国だと言ってもいい。奇特な人間以外は住むことはないだろう。それほど右を見ても、左を見ても妖精だ。だから、妖精の子どもだって普通にいる。彼の遊び相手にだってなるだろうと思ったのだけれど、彼と交流するうちにその考えは消え失せた。
「わわっ!」
制御できなかったマレウス様の力が私の方に飛んでくる。慌てて他所へと弾くと壁にぶつかり崩れる。もっとうまくいなせばよかった、と思いながらマレウス様を盗み見る。マレウス様はしょんぼりと見るからに落ち込んでいる。
マレウス様の魔力はドラゴンの中でも随一。私も魔力量の多い方だと思っていたけれど、その倍とは。これはそこら辺の妖精じゃ遊び相手にもならない。
とはいえ、マレウス様が落ち込むと空が少し不安定になる。
「ベアトリス。ごめん」
「謝らないでください。言ったでしょ、私も楽しすぎてやったことあります」
「でも、お前は笑っただけではならない」
それはそうだけれど。他の妖精から見たらそんなに変わらないんじゃないかな。でも、マレウス様は私よりも魔力が多いし制御が上手くいっていない。
どうしてなんだろう? と考えてもしかしてと普段のマレウス様の様子を思い出す。
「マレウス様は抑え過ぎなのかもしれないですね」
「抑え過ぎ?」
意味が分からないというように眉を寄せるマレウス様に私は頷く。
「はい。ダメだ、ダメだ、ダメだぁ~~からバン! みたいな感じかと」
「それは……だって、周りの皆は僕より力が弱い。だから僕が我慢するしかない」
「わかります。でも、我慢した結果が今のマレウス様なんです。だから、一度おもいっきり発散しましょう」
「ぇ?」というマレウス様の腕を掴む。
「マレウス様。外の誰もいないところに行きましょう」
「え、いや、僕は、護衛がいないと」
「その護衛は足手まといです。いいから」
「ベアトリス!」
マレウス様の腕を引いて部屋を出る。後ろから侍従だか侍女だかが何か叫んでいる。ガシャガシャ音が聞こえる。甲冑の音だろうか。
それを無視して中庭に出る。そして、マレウス様を見る。
「マレウス様。ドラゴンになって飛びます」
「え、飛ぶのか?」
「はい。いいですか。いきますよ」
「わ、ベアトリス!」
困惑するマレウス様を無視して、ドラゴンの姿に戻る。私のすぐ傍でマレウス様もドラゴンの姿に変わった気配を感じる。ならいい。
『いきます。私に続いてください』
『わかった』
そして、私たちは薄っすらと雲がはる空へと飛び立った。
両親に比べると小さなドラゴンでも他から見れば十分大きいのだろう。人里から離れたところまで飛ぶと大体山の方だ。
たぶん、人里はないだろうという山。ここまで大きな山なら平気だろう。たぶん!
一応、人影を確認してから後ろにいるマレウス様を見る。マレウス様は新鮮そうにあちら、こちらを見ている。
『マレウス様、大丈夫ですか?』
『ああ。だが、こんな飛んだのは初めてだ』
好奇心に満ちた声に私は勝手に飛び出してきたことに後悔の気持ちがなくなった。やっぱり、マレウス様は外を知ることも大切なのだ。閉じこもって我慢ばかりしていてはいけない。
『マレウス様、もう少しあちらに行きましょう』
『それは、いいが、離れすぎてないか?』
『いまさらです。それにちゃんと戻れますから』
魔法で目印も付けている。だから、もし何かあったら両親がかけつけられる。これは放浪癖のある一族に代々受け継がれている魔法。私のはまだちょっと不安定なときもあるけれど、これなら平気でしょう。
『マレウス様、あっち行ってみましょう』
ほら置いていきますよ、と言うように私は飛んでいく。マレウス様が慌てて着いて来るのが何だか楽しかった。
何だかそれが楽しくて私は旋回してマレウス様の後ろに行ってみる。それにマレウス様が慌てて止まって私を見る。その表情がまた面白くて私はまたマレウス様を越えようとする。それにマレウス様が追いかける。それを繰り返し追いかけっこ状態になる。
最初は戸惑っていたマレウス様も表情がどんどん明るくなっていく。どうやら意図が伝わったらしい。
はたから見ればバカバカしい行動もまだ幼いドラゴンの私たちには楽しかった。
そんな感じで追いかけっこしたり、自由に飛んでいるうちに星明りが見え始めた。
これにはマレウス様も不安そうだったから目印を辿り帰ると、途中に両親がドラゴンの姿で迎えてきていた。
私とマレウス様に「心配した」と言いながらいうほど心配している感じがない。もしかしてだいぶ前から見守れていたのかもしれない。
両親が返るとお母様が前を、お父様が私とマレウス様を挟んで後ろを飛ぶ。
隣を飛ぶマレウス様が何だかふわふわしていた。何だか護ってあげたくなるお顔をしている。
『ベアトリス』
『は、はい』
ぼんやりと見ているとマレウス様がふわふわした声で名前を呼んでくる。
蛍ように淡く光る瞳と見つめ合うことになる。その淡い蛍火のような瞳はとても魅力的私は好きだと思った。
『今日は楽しかった。ありがとう。また一緒に飛ぼう』
嬉しさが隠しきれない声に私の心臓はドキドキした。そして、私もまた飛びたいと思った。
『はい。また飛びましょう』
けれど、その約束は遠い未来の話となってしまった。
私はどうやらマレウス様の遊び相手に選ばれたようだ。各国を旅するドラゴンの一族の出身である私たち家族。定住することなく様々な国や地域を旅している。最近で長く街に留まったのは私が産まれるときくらいだ。
放浪が性分の私たち家族は一時茨の谷にお世話になることになった。私がマレウス様の遊び相手になり、両親もマレフィシア様の補佐をすることになる。それに色々あったらしいが知らない。その辺りは大人の領分だから。
とはいえ、茨の谷は妖精の国だと言ってもいい。奇特な人間以外は住むことはないだろう。それほど右を見ても、左を見ても妖精だ。だから、妖精の子どもだって普通にいる。彼の遊び相手にだってなるだろうと思ったのだけれど、彼と交流するうちにその考えは消え失せた。
「わわっ!」
制御できなかったマレウス様の力が私の方に飛んでくる。慌てて他所へと弾くと壁にぶつかり崩れる。もっとうまくいなせばよかった、と思いながらマレウス様を盗み見る。マレウス様はしょんぼりと見るからに落ち込んでいる。
マレウス様の魔力はドラゴンの中でも随一。私も魔力量の多い方だと思っていたけれど、その倍とは。これはそこら辺の妖精じゃ遊び相手にもならない。
とはいえ、マレウス様が落ち込むと空が少し不安定になる。
「ベアトリス。ごめん」
「謝らないでください。言ったでしょ、私も楽しすぎてやったことあります」
「でも、お前は笑っただけではならない」
それはそうだけれど。他の妖精から見たらそんなに変わらないんじゃないかな。でも、マレウス様は私よりも魔力が多いし制御が上手くいっていない。
どうしてなんだろう? と考えてもしかしてと普段のマレウス様の様子を思い出す。
「マレウス様は抑え過ぎなのかもしれないですね」
「抑え過ぎ?」
意味が分からないというように眉を寄せるマレウス様に私は頷く。
「はい。ダメだ、ダメだ、ダメだぁ~~からバン! みたいな感じかと」
「それは……だって、周りの皆は僕より力が弱い。だから僕が我慢するしかない」
「わかります。でも、我慢した結果が今のマレウス様なんです。だから、一度おもいっきり発散しましょう」
「ぇ?」というマレウス様の腕を掴む。
「マレウス様。外の誰もいないところに行きましょう」
「え、いや、僕は、護衛がいないと」
「その護衛は足手まといです。いいから」
「ベアトリス!」
マレウス様の腕を引いて部屋を出る。後ろから侍従だか侍女だかが何か叫んでいる。ガシャガシャ音が聞こえる。甲冑の音だろうか。
それを無視して中庭に出る。そして、マレウス様を見る。
「マレウス様。ドラゴンになって飛びます」
「え、飛ぶのか?」
「はい。いいですか。いきますよ」
「わ、ベアトリス!」
困惑するマレウス様を無視して、ドラゴンの姿に戻る。私のすぐ傍でマレウス様もドラゴンの姿に変わった気配を感じる。ならいい。
『いきます。私に続いてください』
『わかった』
そして、私たちは薄っすらと雲がはる空へと飛び立った。
両親に比べると小さなドラゴンでも他から見れば十分大きいのだろう。人里から離れたところまで飛ぶと大体山の方だ。
たぶん、人里はないだろうという山。ここまで大きな山なら平気だろう。たぶん!
一応、人影を確認してから後ろにいるマレウス様を見る。マレウス様は新鮮そうにあちら、こちらを見ている。
『マレウス様、大丈夫ですか?』
『ああ。だが、こんな飛んだのは初めてだ』
好奇心に満ちた声に私は勝手に飛び出してきたことに後悔の気持ちがなくなった。やっぱり、マレウス様は外を知ることも大切なのだ。閉じこもって我慢ばかりしていてはいけない。
『マレウス様、もう少しあちらに行きましょう』
『それは、いいが、離れすぎてないか?』
『いまさらです。それにちゃんと戻れますから』
魔法で目印も付けている。だから、もし何かあったら両親がかけつけられる。これは放浪癖のある一族に代々受け継がれている魔法。私のはまだちょっと不安定なときもあるけれど、これなら平気でしょう。
『マレウス様、あっち行ってみましょう』
ほら置いていきますよ、と言うように私は飛んでいく。マレウス様が慌てて着いて来るのが何だか楽しかった。
何だかそれが楽しくて私は旋回してマレウス様の後ろに行ってみる。それにマレウス様が慌てて止まって私を見る。その表情がまた面白くて私はまたマレウス様を越えようとする。それにマレウス様が追いかける。それを繰り返し追いかけっこ状態になる。
最初は戸惑っていたマレウス様も表情がどんどん明るくなっていく。どうやら意図が伝わったらしい。
はたから見ればバカバカしい行動もまだ幼いドラゴンの私たちには楽しかった。
そんな感じで追いかけっこしたり、自由に飛んでいるうちに星明りが見え始めた。
これにはマレウス様も不安そうだったから目印を辿り帰ると、途中に両親がドラゴンの姿で迎えてきていた。
私とマレウス様に「心配した」と言いながらいうほど心配している感じがない。もしかしてだいぶ前から見守れていたのかもしれない。
両親が返るとお母様が前を、お父様が私とマレウス様を挟んで後ろを飛ぶ。
隣を飛ぶマレウス様が何だかふわふわしていた。何だか護ってあげたくなるお顔をしている。
『ベアトリス』
『は、はい』
ぼんやりと見ているとマレウス様がふわふわした声で名前を呼んでくる。
蛍ように淡く光る瞳と見つめ合うことになる。その淡い蛍火のような瞳はとても魅力的私は好きだと思った。
『今日は楽しかった。ありがとう。また一緒に飛ぼう』
嬉しさが隠しきれない声に私の心臓はドキドキした。そして、私もまた飛びたいと思った。
『はい。また飛びましょう』
けれど、その約束は遠い未来の話となってしまった。