適切な距離って
◆ フロイド視点
テツギョちゃん先輩は距離を保てって言うけれど大概だよなぁ。
中庭でテツギョちゃん先輩が仲良くなっていった1年どもと一緒にいる。レジャーシートを広げてバスケットまであってまるでピクニックみたい。けれど、まだそのバスケットは開いていないみたい。難しい顔をしている1年生の傍にぴったりくっついて何か教えている。
身体はギリギリくっついていないかもしれないけれど肩が触れ合うような距離。オレには距離間がどうのこうのって言っていたのに自分はどうなのって話。なんか狡くね。
邪魔してやるかと思ったけれど、今は気分じゃない。止めていた足を動かして気分の変わる場所へと向かった。
あれからテツギョちゃん先輩と他のヒトとの距離間を観察してみた。アズールやジェイドはもちろん。仲がいいウミガメくんやハナダイくん。金魚ちゃんも、ベタちゃん先輩も。ああ、ウミウシ先輩に、一応ホテルイカ先輩も。あと、要注意のトド先輩との。
「どいつもこいつもちけぇじゃん」
とくにトド先輩との距離間なんなだよ。意味分かんねぇ。
観察を終えた談話室。テツギョちゃん先輩と一緒にいた。ふと思い出すのはオレが近づかない限りテツギョちゃんとの距離はつかず離れずの距離だ。その距離間も苛立つ。
もう何だか一言いいたくなってきた。
「テツギョちゃん先輩」
「あら、どうしたの? もしかして美味しくなかった」
綺麗に整えた眉がへにゃっとなる。それを見て文句を言う口が止まり、代わりに「うまかった」と答える。勢いがそがれたからテツギョちゃん先輩が入れてくれた紅茶を飲み干す。紅茶もタルトケーキに合っていて美味い。
たまにテツギョちゃん先輩はデザートや軽食を作ってくれる。その場にいないと食べられないレアものとか寮生の間では噂になっている。それを確実に食べられるのがアズールと、ジェイドと、オレだからあんまり気にしたことはない。
「よかった。ふふ、フロイドに褒められるのは嬉しいわ」
雪のように白い頬が薄っすらと色づく。これに調子が狂ったことが何度あったことか。文句を言おうとした口もすっかりやる気を失くしている。でも、やっぱり一言いいたい。
「テツギョちゃん先輩も距離間たいがいだよね」
「そう……? これでもちゃんとしているつもりなのだけれど」
難しい顔で言うテツギョちゃん先輩に信じられない気持ちになる。
「マジかよ。しんじらんねぇ~」
「ぇ、そ、そんなに? ちゃんと適切な距離だと思うのだけれど」
今度は困惑に眉が下がる。これに心底呆れた気持ちになる。同時にピンと閃きが頭に浮かぶ。
「ならさぁ、オレが近いとき教えてあげるぅ」
オレからの提案にテツギョちゃん先輩は一瞬目を見開いてから「でも、」と言う。それを何とか言いくるめる。あんまりにもあっさりと言いくるめられてちょっと心配になるからやっぱり色々教えてやった方がいいかも。
「あは♪ これからめっちゃたのしみぃ」
油断してテツギョちゃん先輩の傍にいる奴らの顔が今から見もの。
想像しただけでも面白くて愉しくなってきた!
その後、フロイドの巻き起こすちょっとした騒動で何かが起きる――かも?
2025.04.13 ピクシブ先行公開
2025.04.19 サイト公開
テツギョちゃん先輩は距離を保てって言うけれど大概だよなぁ。
中庭でテツギョちゃん先輩が仲良くなっていった1年どもと一緒にいる。レジャーシートを広げてバスケットまであってまるでピクニックみたい。けれど、まだそのバスケットは開いていないみたい。難しい顔をしている1年生の傍にぴったりくっついて何か教えている。
身体はギリギリくっついていないかもしれないけれど肩が触れ合うような距離。オレには距離間がどうのこうのって言っていたのに自分はどうなのって話。なんか狡くね。
邪魔してやるかと思ったけれど、今は気分じゃない。止めていた足を動かして気分の変わる場所へと向かった。
あれからテツギョちゃん先輩と他のヒトとの距離間を観察してみた。アズールやジェイドはもちろん。仲がいいウミガメくんやハナダイくん。金魚ちゃんも、ベタちゃん先輩も。ああ、ウミウシ先輩に、一応ホテルイカ先輩も。あと、要注意のトド先輩との。
「どいつもこいつもちけぇじゃん」
とくにトド先輩との距離間なんなだよ。意味分かんねぇ。
観察を終えた談話室。テツギョちゃん先輩と一緒にいた。ふと思い出すのはオレが近づかない限りテツギョちゃんとの距離はつかず離れずの距離だ。その距離間も苛立つ。
もう何だか一言いいたくなってきた。
「テツギョちゃん先輩」
「あら、どうしたの? もしかして美味しくなかった」
綺麗に整えた眉がへにゃっとなる。それを見て文句を言う口が止まり、代わりに「うまかった」と答える。勢いがそがれたからテツギョちゃん先輩が入れてくれた紅茶を飲み干す。紅茶もタルトケーキに合っていて美味い。
たまにテツギョちゃん先輩はデザートや軽食を作ってくれる。その場にいないと食べられないレアものとか寮生の間では噂になっている。それを確実に食べられるのがアズールと、ジェイドと、オレだからあんまり気にしたことはない。
「よかった。ふふ、フロイドに褒められるのは嬉しいわ」
雪のように白い頬が薄っすらと色づく。これに調子が狂ったことが何度あったことか。文句を言おうとした口もすっかりやる気を失くしている。でも、やっぱり一言いいたい。
「テツギョちゃん先輩も距離間たいがいだよね」
「そう……? これでもちゃんとしているつもりなのだけれど」
難しい顔で言うテツギョちゃん先輩に信じられない気持ちになる。
「マジかよ。しんじらんねぇ~」
「ぇ、そ、そんなに? ちゃんと適切な距離だと思うのだけれど」
今度は困惑に眉が下がる。これに心底呆れた気持ちになる。同時にピンと閃きが頭に浮かぶ。
「ならさぁ、オレが近いとき教えてあげるぅ」
オレからの提案にテツギョちゃん先輩は一瞬目を見開いてから「でも、」と言う。それを何とか言いくるめる。あんまりにもあっさりと言いくるめられてちょっと心配になるからやっぱり色々教えてやった方がいいかも。
「あは♪ これからめっちゃたのしみぃ」
油断してテツギョちゃん先輩の傍にいる奴らの顔が今から見もの。
想像しただけでも面白くて愉しくなってきた!
その後、フロイドの巻き起こすちょっとした騒動で何かが起きる――かも?
2025.04.13 ピクシブ先行公開
2025.04.19 サイト公開
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