同じで違う少年
同じで違う少年
小さな女の子が二人仲良く楽しそうに雪の中で遊んでいる。
ひとりの女の子が〝雪〟が当たり気を失った。
仲が良かった女の子たちは一枚のドアを隔てて離れ離れになる。
憂い顔の二人は、それぞれ成長し再会を果たすが――。
そこで映像がプツリと途切れて目が覚めた。
「またこの夢か……」
目覚めた瞬間には朧げになっていく夢。夢とはそういうものなのだけれど――今回の夢はいつもよりも気にかかることが多い。
「おんなのこ……エルサせんぱいに似てたな」
ユウが通うことになった魔法を学ぶ学校に在学している唯一の女子生徒。雪と緑の国のお姫様。とても綺麗で優しい3年生の先輩。
夢に出て来た女の子の一人に先輩はよく似ていた。いや、あの女の子が先輩似ているのか。ああ。でも、そうだ。最後の方に出て来た成長して大人になった女の子はほんとうによく先輩に似ていた。むしろ。そう生き写しのように。
「ン゛ァ゛~~~ッ」
すっきりしない気持ちで上体を起こし鳥の巣のようになっている頭を搔く。
チラリと横目で確認すればまだグリムも寝ている。だがカーテンから洩れる光は白く朝を迎えていることが分かる。
「おきるか……」
ふぁ、と大きく欠伸をひとつして体を伸ばす。ボキと骨が鳴る音を聞くと薄っすら残っていた夢がさらに薄くなった。
「ハァ。なんなんだろ」
その独り言に誰も答えることはなかった。
今日は夢のせいなのか何だかすっきりしない。体調が明らかに悪い。もうグリムの我が儘にさえユウは答える気力もなく「あ~そうだね。そうだね」と適当に返事をする始末。
適当に怠そうに過ごしていると流石にランチの頃にはマブであるエースとデュースに心配されることになった。
「やぁ~。なんか夢見が悪くってさぁ……」
なんか怠い。身体もなんか怠くて重い。その声は何だかか細くて一段と賑やかで喧騒に溢れる食堂では溶けて消えていきそうだった。
もういいや、と一応買ったランチのパンを親分であるグリムに差し出してうつ伏せになる。何だか食堂にさえ来ない方がよかった気がする。
「子分。大丈夫か?」
「ん~だるい」
「そればっかじゃん」
「流石に保健室に行った方がいいんじゃないか?」
グリム、エース、デュースの心配する声にさえもう返事が面倒くさい。
唸るようにただ返事をしたときだった。熱の籠った食堂の空気がすぅっと冷えて心地よいものになった気がした。そして、それはユウの近くにまでやって来て――。
「ユウ? どうしたの? 顔色が酷いわ」
涼しくて柔らかな品のある声と共に頬にひんやりとしたものが触れた。それはとても気持ちよくて体に粘っこく纏わりついていたものがスッと去ったような気がした。
「きもちぃ……」
とろりと身体の力が抜けると何だか瞼が重くなった気がした。そして、遠くの方で名前を呼ばれた気がしたけれどずぅんと深くユウの意識は下へ下へと落ちていった。
小さな女の子が二人仲良く楽しそうに雪の中で遊んでいる。
ひとりの女の子が〝雪〟が当たり気を失った。
仲が良かった女の子たちは一枚のドアを隔てて離れ離れになる。
憂い顔の二人は、それぞれ成長し再会を果たすが――。
そこで映像がプツリと途切れて目が覚めた。
「またこの夢か……」
目覚めた瞬間には朧げになっていく夢。夢とはそういうものなのだけれど――今回の夢はいつもよりも気にかかることが多い。
「おんなのこ……エルサせんぱいに似てたな」
ユウが通うことになった魔法を学ぶ学校に在学している唯一の女子生徒。雪と緑の国のお姫様。とても綺麗で優しい3年生の先輩。
夢に出て来た女の子の一人に先輩はよく似ていた。いや、あの女の子が先輩似ているのか。ああ。でも、そうだ。最後の方に出て来た成長して大人になった女の子はほんとうによく先輩に似ていた。むしろ。そう生き写しのように。
「ン゛ァ゛~~~ッ」
すっきりしない気持ちで上体を起こし鳥の巣のようになっている頭を搔く。
チラリと横目で確認すればまだグリムも寝ている。だがカーテンから洩れる光は白く朝を迎えていることが分かる。
「おきるか……」
ふぁ、と大きく欠伸をひとつして体を伸ばす。ボキと骨が鳴る音を聞くと薄っすら残っていた夢がさらに薄くなった。
「ハァ。なんなんだろ」
その独り言に誰も答えることはなかった。
今日は夢のせいなのか何だかすっきりしない。体調が明らかに悪い。もうグリムの我が儘にさえユウは答える気力もなく「あ~そうだね。そうだね」と適当に返事をする始末。
適当に怠そうに過ごしていると流石にランチの頃にはマブであるエースとデュースに心配されることになった。
「やぁ~。なんか夢見が悪くってさぁ……」
なんか怠い。身体もなんか怠くて重い。その声は何だかか細くて一段と賑やかで喧騒に溢れる食堂では溶けて消えていきそうだった。
もういいや、と一応買ったランチのパンを親分であるグリムに差し出してうつ伏せになる。何だか食堂にさえ来ない方がよかった気がする。
「子分。大丈夫か?」
「ん~だるい」
「そればっかじゃん」
「流石に保健室に行った方がいいんじゃないか?」
グリム、エース、デュースの心配する声にさえもう返事が面倒くさい。
唸るようにただ返事をしたときだった。熱の籠った食堂の空気がすぅっと冷えて心地よいものになった気がした。そして、それはユウの近くにまでやって来て――。
「ユウ? どうしたの? 顔色が酷いわ」
涼しくて柔らかな品のある声と共に頬にひんやりとしたものが触れた。それはとても気持ちよくて体に粘っこく纏わりついていたものがスッと去ったような気がした。
「きもちぃ……」
とろりと身体の力が抜けると何だか瞼が重くなった気がした。そして、遠くの方で名前を呼ばれた気がしたけれどずぅんと深くユウの意識は下へ下へと落ちていった。