デートの約束はしっかりと
デートの約束はしっかりと・2
「……なんであんたらそんなにボロボロなんだ」
「オマエのせいだけど」
「ジャックさんのせいですし――ここにいる愉快犯のせいです」
「おやおや、酷い言いよう」
苛立ちげに指を指してくるフロイドに、ジェイドを引っ張るアズール。それに一人愉快そうに笑うジェイド。その三人揃ってどこかよれたというか疲れた様子だった。ジェイドが何かやらかしたのは想像しやすいが自分ということにジャックは顔を顰める。
「なんで俺のせいなんだよ」
「ウニちゃんがオレの約束をアズールの約束とブッキングしたから」
「違う。僕の約束が先でお前が後だ。だから、お前の約束が僕の約束とブッキングしたんだ」
「うるせぇ」
「うるさくない。僕は正しいことを言っているんだ」
二人がバチバチ火花を散らすのを見てジャックはジェイドを見る。やはり一人愉しそうだか――もしかしてジェイドは二人の約束が被っているのを知って放課後誘いに来たのか。
じっと見ていればジェイドと目が合って切れ長の瞳がキュッと楽しげに下がる。
「はぁ。あんたも性格悪いな」
「ふふ。いやですね。僕は一人仲間外れされるのが嫌だったですよ」
アズールの手が離れたことをいいことに滑るようにジャックの隣にやって来るジェイド。彼は非常に愉しそうに眉を下げている。それに反してジャックは眉を吊り上げる。
「あんたなぁ」
「でも、仲間外れが嫌というのは本当です」
先ほどまでの胡散臭い表情とうってかわった表情を見せるジェイド。ジャックは何か言葉を発しようと口を開くけれどそれより前にフロイドが「あーッッ! ずるいッ!」と声を上げた。それにジェイドの意識が向いて開きかけた口も自然と閉じた。ついでに、何を言おうとしたかも忘れた。
「ウニちゃんのそれおいしそぉ。一口ちょうだい」
「またかよ」
結局全員でぐるぐるショップ巡りになった。今はアズールとジェイドが気になっていたというカフェに来ている。真剣に食べ物や飲み物を吟味する二人を前にフロイドは飽きたのかジャックに絡んで来る。にしても、フロイドはさっき屋台で買ったチュロスを半分も持っていったのだ。だのに、また強請るのかこの男は。
フロイドの手元を見れば頼んだはずのケーキがなくなっている。
「先輩、もう食べたのかよ」
「そーだよ。だって、これっぽっちしかねぇんだから」
指で先ほどのケーキの大きさを表すフロイド。確かに小さかったけれどもう少し目の二人のように味わえないものか。
ジャックは溜息をついて自分のケーキを小さく切る。そして「ほら」と渡そうとしたがその前にフロイドが「あ」と口をカパリと開けた。
「……食わせろってか」
「あー」
「せめて、うんとかすんとかで返事しろよな」
ったく、横着しやがって。なんて思いながらフォークで一口に切ったケーキを指して大きな口を開けるフロイドにやる。その瞬間、故郷の弟や妹を思い出すくらいにはそのときのフロイドは年上に感じさせないほど幼かった。
閉じられた口からするりとフォークを抜いてもぐもぐ口を動かすフロイドを見る。彼もまたモストロ・ラウンジの運営に関わっているから舌はいい方だろう。このケーキはお眼鏡にかなったのか。
ごくんと飲み込んだフロイドは「んー」と唸る。お気に召さなかったのか。これで機嫌が悪くなるのだけはやめてほしいとハラハラしながら見ていると今度はフロイドがこちらを見た。その眼差しは飽きたとかの機嫌の悪さもなくどこか真面目だった。
意外な眼差しにどうしたと思う前に唇をひと舐めするとフロイドの口が開いた。
「ウニちゃんはこういうのがスキ?」
「ハーツラビュル寮のクリーム中心のケーキよりは好きだ」
「へぇ。わかった。じゃ、もぉ一口ちょーだい」
「あ」と口を開けるフロイドにジャックは反射的にケーキを切って上げてしまった。今度はゆっくりと咀嚼しながら飲み込んだ。そして、またこちらを見るから「またか?」と切ろうとしたときだった。
「今度は二人で来ようね」
これまた真剣な様子にジャックは切る手を止めて見る。あまりの真剣な表情に思わずうなずく。だが、それにフロイドは満足したのかまた口を開いた。結局ケーキを半分近く持っていかれてしまった。ただ、その代わりカフェを出た後にあった屋台で肉を驕ってくれたので許したジャックだった。
「……なんであんたらそんなにボロボロなんだ」
「オマエのせいだけど」
「ジャックさんのせいですし――ここにいる愉快犯のせいです」
「おやおや、酷い言いよう」
苛立ちげに指を指してくるフロイドに、ジェイドを引っ張るアズール。それに一人愉快そうに笑うジェイド。その三人揃ってどこかよれたというか疲れた様子だった。ジェイドが何かやらかしたのは想像しやすいが自分ということにジャックは顔を顰める。
「なんで俺のせいなんだよ」
「ウニちゃんがオレの約束をアズールの約束とブッキングしたから」
「違う。僕の約束が先でお前が後だ。だから、お前の約束が僕の約束とブッキングしたんだ」
「うるせぇ」
「うるさくない。僕は正しいことを言っているんだ」
二人がバチバチ火花を散らすのを見てジャックはジェイドを見る。やはり一人愉しそうだか――もしかしてジェイドは二人の約束が被っているのを知って放課後誘いに来たのか。
じっと見ていればジェイドと目が合って切れ長の瞳がキュッと楽しげに下がる。
「はぁ。あんたも性格悪いな」
「ふふ。いやですね。僕は一人仲間外れされるのが嫌だったですよ」
アズールの手が離れたことをいいことに滑るようにジャックの隣にやって来るジェイド。彼は非常に愉しそうに眉を下げている。それに反してジャックは眉を吊り上げる。
「あんたなぁ」
「でも、仲間外れが嫌というのは本当です」
先ほどまでの胡散臭い表情とうってかわった表情を見せるジェイド。ジャックは何か言葉を発しようと口を開くけれどそれより前にフロイドが「あーッッ! ずるいッ!」と声を上げた。それにジェイドの意識が向いて開きかけた口も自然と閉じた。ついでに、何を言おうとしたかも忘れた。
「ウニちゃんのそれおいしそぉ。一口ちょうだい」
「またかよ」
結局全員でぐるぐるショップ巡りになった。今はアズールとジェイドが気になっていたというカフェに来ている。真剣に食べ物や飲み物を吟味する二人を前にフロイドは飽きたのかジャックに絡んで来る。にしても、フロイドはさっき屋台で買ったチュロスを半分も持っていったのだ。だのに、また強請るのかこの男は。
フロイドの手元を見れば頼んだはずのケーキがなくなっている。
「先輩、もう食べたのかよ」
「そーだよ。だって、これっぽっちしかねぇんだから」
指で先ほどのケーキの大きさを表すフロイド。確かに小さかったけれどもう少し目の二人のように味わえないものか。
ジャックは溜息をついて自分のケーキを小さく切る。そして「ほら」と渡そうとしたがその前にフロイドが「あ」と口をカパリと開けた。
「……食わせろってか」
「あー」
「せめて、うんとかすんとかで返事しろよな」
ったく、横着しやがって。なんて思いながらフォークで一口に切ったケーキを指して大きな口を開けるフロイドにやる。その瞬間、故郷の弟や妹を思い出すくらいにはそのときのフロイドは年上に感じさせないほど幼かった。
閉じられた口からするりとフォークを抜いてもぐもぐ口を動かすフロイドを見る。彼もまたモストロ・ラウンジの運営に関わっているから舌はいい方だろう。このケーキはお眼鏡にかなったのか。
ごくんと飲み込んだフロイドは「んー」と唸る。お気に召さなかったのか。これで機嫌が悪くなるのだけはやめてほしいとハラハラしながら見ていると今度はフロイドがこちらを見た。その眼差しは飽きたとかの機嫌の悪さもなくどこか真面目だった。
意外な眼差しにどうしたと思う前に唇をひと舐めするとフロイドの口が開いた。
「ウニちゃんはこういうのがスキ?」
「ハーツラビュル寮のクリーム中心のケーキよりは好きだ」
「へぇ。わかった。じゃ、もぉ一口ちょーだい」
「あ」と口を開けるフロイドにジャックは反射的にケーキを切って上げてしまった。今度はゆっくりと咀嚼しながら飲み込んだ。そして、またこちらを見るから「またか?」と切ろうとしたときだった。
「今度は二人で来ようね」
これまた真剣な様子にジャックは切る手を止めて見る。あまりの真剣な表情に思わずうなずく。だが、それにフロイドは満足したのかまた口を開いた。結局ケーキを半分近く持っていかれてしまった。ただ、その代わりカフェを出た後にあった屋台で肉を驕ってくれたので許したジャックだった。