星に煌めきを戻す方法
星に煌めきを戻す方法・5
奴が現れなくなって一月たった。そこで傍とジャックは奴の所属寮がわからなかった。いつもジャックと相対するときベストも寮章も着けていなかった。見た目と口調からして上級生だとは思った。自分では調査は無理だとスタンプが溜まったのでアズールに調査を依頼すると――。
「ジャックさん、その方はすでに昨年度退学していますよ」
依頼をした直後に眉を顰めたアズールにそう返された。「え」と困惑に後ろに立っているリーチ兄弟を見ればフロイドはわからないという感じだった。だが、ジェイドは神妙な顔で「僕もそう記憶しています」と返した。
「え、でも、待てよ。俺は確かに話したんだが……」
なら、あれは誰だとゾッと背中に恐怖が這いあがる。ゴーストにしてもはっきりとしていたし。人間だと思うけれどこの学園に関係者ではない人間が早々入れるわけがない。
「ジャックさん、随分お疲れのようですね」
「……そうなのかもな」
珍しく嫌味のないアズールの言葉にジャックは最近癖になりつつあるこめかみを揉む。そういえば最近頭痛もなく穏やかな夜と朝を迎えている。なら、もういいかもしれないが――。
「やられっぱなしかぁ、クソ」
「アハハッ! ウニちゃんってばマジでそれしか頭にねぇのな!」
キャラキャラ笑うフロイドを睨んでから諦めの溜息をつく。
「ジャックくん、追跡調査いたしますか?」
「いや、いい」
ジェイドの言葉に首を横に振る。ただ、学園に在籍するなら一発かますつもりだっただけだ。だが、もうここにいない――もしくはいない相手を探すつもりはない。
「そうですか。では、このポイントカードはどうぞ」
「ああ」
アズールからポイントカードを受け取ってモストロ・ラウンジを後にする。そして、鏡を通り抜け鏡舎に立ったジャック。
「一体何だったのか」
あれはナイトレイブンカレッジに執着する亡霊だったのだろうか。ならば、何故自分なんかに絡んだのだろうか。わからないままの謎をつい考えていると――。
「お! ジャックじゃないか!」
「カリム先輩」
スカラビア寮の鏡からにゅっと体半分出した状態のカリムを見る。「何してんすか」と訊ねながら近づけば「よいしょっ」とカリムが出て来る。
「教室に課題を忘れて取りに戻ろうと思ってな」
「またっすか。気を付けた方がいいっすよ」
「そうだな。あ~オレってやつはダメだよなぁ」
突然のネガティブ発言を発するカリムに目を剥く。このキラキラした人でもこういうこと言うのか、と。いつも何でも前向きな人かと思っていた。意外なカリムの一面にジャックは「ぁあ~」と声を出して頭を掻く。
「そんなことねぇっすよ。なら、エースやデュースなんかもっとダメな奴っす」
「……その二人と比べてもなぁ」
遠くを見やるカリムにジャックは思わず吹き出す。カリムでもあの二人はやっぱりあれそれな感じなのか。
「くっくくっ。そ、そうっすね。すいません」
「ぇ、あ、いや! いいよ! それにあの二人もいつも一生懸命だもんな! いや、今のはオレがいけねぇ!」
先輩としてあるまじき発言だった、と叫ぶカリムにジャックはやっぱりカリムはカリムだと思った。だから、あのとき手を差し伸べてくれたことは救いだった。
「先輩はすごい人っすよ」
「ん? それはレオナやヴィルよりもか?」
「え、いや、それは」
土俵違うな、と思ったのがすぐに言葉に出てしまった。それでもカリムはあはははと笑い飛ばした。
「悪い、悪い! あの二人はすげぇもんな! オレなんか足元にも及ばねぇし」
「いや、だって、先輩だって、そんなすげぇっす! 人柄とか!」
すると今度はカリムが大声をあげて笑った。
「それレオナが聞いたら怒るやつだろ!」
「いや、あの人たぶん怒んねぇっす!」
大丈夫という自信にまたカリムが涙を浮かべて笑う。そして、若干肩で息をすると「ありがとうな」と感謝の言葉をかけられた。何故と首を傾げるとカリムはニヒと笑った。
「じゃ、時間もあるし行くな」
「っす」と頭を下げるとカリムは一度こちらを振り返って太陽のように笑って。
「ジャック、また宴やろうな」
と言った。それにジャックは自然と尻尾を動かして「はい!」と答えていた。
奴が現れなくなって一月たった。そこで傍とジャックは奴の所属寮がわからなかった。いつもジャックと相対するときベストも寮章も着けていなかった。見た目と口調からして上級生だとは思った。自分では調査は無理だとスタンプが溜まったのでアズールに調査を依頼すると――。
「ジャックさん、その方はすでに昨年度退学していますよ」
依頼をした直後に眉を顰めたアズールにそう返された。「え」と困惑に後ろに立っているリーチ兄弟を見ればフロイドはわからないという感じだった。だが、ジェイドは神妙な顔で「僕もそう記憶しています」と返した。
「え、でも、待てよ。俺は確かに話したんだが……」
なら、あれは誰だとゾッと背中に恐怖が這いあがる。ゴーストにしてもはっきりとしていたし。人間だと思うけれどこの学園に関係者ではない人間が早々入れるわけがない。
「ジャックさん、随分お疲れのようですね」
「……そうなのかもな」
珍しく嫌味のないアズールの言葉にジャックは最近癖になりつつあるこめかみを揉む。そういえば最近頭痛もなく穏やかな夜と朝を迎えている。なら、もういいかもしれないが――。
「やられっぱなしかぁ、クソ」
「アハハッ! ウニちゃんってばマジでそれしか頭にねぇのな!」
キャラキャラ笑うフロイドを睨んでから諦めの溜息をつく。
「ジャックくん、追跡調査いたしますか?」
「いや、いい」
ジェイドの言葉に首を横に振る。ただ、学園に在籍するなら一発かますつもりだっただけだ。だが、もうここにいない――もしくはいない相手を探すつもりはない。
「そうですか。では、このポイントカードはどうぞ」
「ああ」
アズールからポイントカードを受け取ってモストロ・ラウンジを後にする。そして、鏡を通り抜け鏡舎に立ったジャック。
「一体何だったのか」
あれはナイトレイブンカレッジに執着する亡霊だったのだろうか。ならば、何故自分なんかに絡んだのだろうか。わからないままの謎をつい考えていると――。
「お! ジャックじゃないか!」
「カリム先輩」
スカラビア寮の鏡からにゅっと体半分出した状態のカリムを見る。「何してんすか」と訊ねながら近づけば「よいしょっ」とカリムが出て来る。
「教室に課題を忘れて取りに戻ろうと思ってな」
「またっすか。気を付けた方がいいっすよ」
「そうだな。あ~オレってやつはダメだよなぁ」
突然のネガティブ発言を発するカリムに目を剥く。このキラキラした人でもこういうこと言うのか、と。いつも何でも前向きな人かと思っていた。意外なカリムの一面にジャックは「ぁあ~」と声を出して頭を掻く。
「そんなことねぇっすよ。なら、エースやデュースなんかもっとダメな奴っす」
「……その二人と比べてもなぁ」
遠くを見やるカリムにジャックは思わず吹き出す。カリムでもあの二人はやっぱりあれそれな感じなのか。
「くっくくっ。そ、そうっすね。すいません」
「ぇ、あ、いや! いいよ! それにあの二人もいつも一生懸命だもんな! いや、今のはオレがいけねぇ!」
先輩としてあるまじき発言だった、と叫ぶカリムにジャックはやっぱりカリムはカリムだと思った。だから、あのとき手を差し伸べてくれたことは救いだった。
「先輩はすごい人っすよ」
「ん? それはレオナやヴィルよりもか?」
「え、いや、それは」
土俵違うな、と思ったのがすぐに言葉に出てしまった。それでもカリムはあはははと笑い飛ばした。
「悪い、悪い! あの二人はすげぇもんな! オレなんか足元にも及ばねぇし」
「いや、だって、先輩だって、そんなすげぇっす! 人柄とか!」
すると今度はカリムが大声をあげて笑った。
「それレオナが聞いたら怒るやつだろ!」
「いや、あの人たぶん怒んねぇっす!」
大丈夫という自信にまたカリムが涙を浮かべて笑う。そして、若干肩で息をすると「ありがとうな」と感謝の言葉をかけられた。何故と首を傾げるとカリムはニヒと笑った。
「じゃ、時間もあるし行くな」
「っす」と頭を下げるとカリムは一度こちらを振り返って太陽のように笑って。
「ジャック、また宴やろうな」
と言った。それにジャックは自然と尻尾を動かして「はい!」と答えていた。
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