愛の献身
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◆ クルーウェル視点
顔を熱で赤らめながらも穏やかな寝息を零す彼女を見て一息つく。キュッと握られていた手は緩やかに解けている。そこから自分の手をそっと抜き取って立ち上がる。
ランプの淡い明かりに照らされている彼女はしっとりと汗をかいていた。あらかじめ濡らしていたタオルを手に取る。汗に張り付く前髪を払って優しく拭う。他にも気になるところを拭って細い首が目に入る。額と同じく汗で髪の毛が張り付いている。その様に魅入られるがすぐに振り払うように一度、二度と、瞬きをして汗を拭う。
気になるところは拭えたとランプの傍にタオルを置いてまた椅子に座る。
「はぁ~、やったぞ」
俺様、すごい。さすがデイヴィス・クルーウェル様だ。すごい、すごい。慣れない看病頑張っている。
自分で自分を鼓舞する。今俺が出来る最低限のことは出来ている。それも彼女に心配されないようにスマートに出来ている。流石、俺。
「けど、輝石の国の菓子か……」
課題が出て来た。弱った彼女がご要望のモノはネット検索すれば出て来るだろう。だが、本当に望むものが出来るか謎だ。それに材料が手に入るかわからない。今はネットのお蔭か各国で様々な材料が手に入るようになっている。幸い俺の実家は中心街から言うほど離れていない。なければ買いに行けるが――。
チラリと眠る彼女を見る。弱った彼女を一人置いておきたくない。目が覚めたときに俺がいないと不安になるだろう。部屋に入ったときの安堵した表情を思い出す。あの顔は本人も自覚はなかっただろう。それに寝る間際の手を握って欲しいという幼児のようなお願い。寂しがり屋なのだろう。普段の彼女からは想像できないけれど。
太腿に手を置いて前かがみになって彼女を見つめる。穏やかな寝息はここに運び込んだ時より大分よくなった。
「診療所が空いていればな」
実は家のすぐ傍に診療所がある。だが、ウィンターホリデーということかはたまた都合が悪かったのか医者は留守だった。他も、似たり寄ったりだった。だから、そのまま実家に彼女を連れ込んだ。
「頑張ったよな」
本当に俺は頑張った。誰が何と言うがクルーウェル様は頑張った。
好きな女を助けたい一心だった。これ以上風邪が悪化しないようにあらゆる魔法を駆使した。その過程で湧き出たあらゆる欲を抑え込んで看病の態勢整えた。お蔭でブロットが少々溜まったが、今彼女は穏やかに眠れるようになるまでになったのでよしだ。
「俺様、すごーい」
最後にもう一度自分を褒めてから椅子から立ち上がってバキバキの身体を伸ばす。そして、乱れた髪を手櫛で直ししながらもうひと働きと気合を入れる。
「準備出来なかったら仕方ない」
まずは調べて出来るか。薔薇の王国である俺にとって彼女の国の文化は知らないことがある。だから調べて可能か不可能か決める。それから彼女が普段から好んでいるものを用意する。そうすれば薬も飲めるだろう。
身体も解し終わり最後にもう一度寝顔を見るとやっぱり欲がムクリと起き上がる。健やかに寝息を零す小さな艶やかな唇。先ほど水を飲んだからだろうかすっかりと潤んでいる。
普段であれば雰囲気を作ってキスをするけれど彼女は今風邪で寝込んでいるし、何より眠っている。眠っている女に手を出すのは紳士として引っかかるが――我慢していた欲が悪戯に囁く。
〝少しくらいいいじゃないか〟
甘言。なんとも甘い響きか。それでも最後の紳士の良心が引き留める。
〝彼女はまだ風邪を引いている〟
寝込んでいるじゃないかと言う。俺はやっぱりそうだよなと前髪を掻き上げて欲を抑え込んだ。それでもやっぱりちょっぴりと触れたい気持ちが勝ってしまい――。
――チュ
少しだけという小さな欲に負けて先ほど露わにした額に口づける。そして、パッと離れる。唇で触れた額はまだ熱かった。罪悪感がムクムク起きるのですぐに彼女から離れることにした。やっぱり自分の中にいる紳士の言う通りにすればよかった。悔やまれる。
音もなく閉じた部屋の扉に額をくっつけて「ばかやろう」と囁く。
もうこんなことはしない。絶対に悪い甘言に惑わされない。固く誓った俺は気を取り直し彼女の食べたい物を用意するために動き出した。
顔を熱で赤らめながらも穏やかな寝息を零す彼女を見て一息つく。キュッと握られていた手は緩やかに解けている。そこから自分の手をそっと抜き取って立ち上がる。
ランプの淡い明かりに照らされている彼女はしっとりと汗をかいていた。あらかじめ濡らしていたタオルを手に取る。汗に張り付く前髪を払って優しく拭う。他にも気になるところを拭って細い首が目に入る。額と同じく汗で髪の毛が張り付いている。その様に魅入られるがすぐに振り払うように一度、二度と、瞬きをして汗を拭う。
気になるところは拭えたとランプの傍にタオルを置いてまた椅子に座る。
「はぁ~、やったぞ」
俺様、すごい。さすがデイヴィス・クルーウェル様だ。すごい、すごい。慣れない看病頑張っている。
自分で自分を鼓舞する。今俺が出来る最低限のことは出来ている。それも彼女に心配されないようにスマートに出来ている。流石、俺。
「けど、輝石の国の菓子か……」
課題が出て来た。弱った彼女がご要望のモノはネット検索すれば出て来るだろう。だが、本当に望むものが出来るか謎だ。それに材料が手に入るかわからない。今はネットのお蔭か各国で様々な材料が手に入るようになっている。幸い俺の実家は中心街から言うほど離れていない。なければ買いに行けるが――。
チラリと眠る彼女を見る。弱った彼女を一人置いておきたくない。目が覚めたときに俺がいないと不安になるだろう。部屋に入ったときの安堵した表情を思い出す。あの顔は本人も自覚はなかっただろう。それに寝る間際の手を握って欲しいという幼児のようなお願い。寂しがり屋なのだろう。普段の彼女からは想像できないけれど。
太腿に手を置いて前かがみになって彼女を見つめる。穏やかな寝息はここに運び込んだ時より大分よくなった。
「診療所が空いていればな」
実は家のすぐ傍に診療所がある。だが、ウィンターホリデーということかはたまた都合が悪かったのか医者は留守だった。他も、似たり寄ったりだった。だから、そのまま実家に彼女を連れ込んだ。
「頑張ったよな」
本当に俺は頑張った。誰が何と言うがクルーウェル様は頑張った。
好きな女を助けたい一心だった。これ以上風邪が悪化しないようにあらゆる魔法を駆使した。その過程で湧き出たあらゆる欲を抑え込んで看病の態勢整えた。お蔭でブロットが少々溜まったが、今彼女は穏やかに眠れるようになるまでになったのでよしだ。
「俺様、すごーい」
最後にもう一度自分を褒めてから椅子から立ち上がってバキバキの身体を伸ばす。そして、乱れた髪を手櫛で直ししながらもうひと働きと気合を入れる。
「準備出来なかったら仕方ない」
まずは調べて出来るか。薔薇の王国である俺にとって彼女の国の文化は知らないことがある。だから調べて可能か不可能か決める。それから彼女が普段から好んでいるものを用意する。そうすれば薬も飲めるだろう。
身体も解し終わり最後にもう一度寝顔を見るとやっぱり欲がムクリと起き上がる。健やかに寝息を零す小さな艶やかな唇。先ほど水を飲んだからだろうかすっかりと潤んでいる。
普段であれば雰囲気を作ってキスをするけれど彼女は今風邪で寝込んでいるし、何より眠っている。眠っている女に手を出すのは紳士として引っかかるが――我慢していた欲が悪戯に囁く。
〝少しくらいいいじゃないか〟
甘言。なんとも甘い響きか。それでも最後の紳士の良心が引き留める。
〝彼女はまだ風邪を引いている〟
寝込んでいるじゃないかと言う。俺はやっぱりそうだよなと前髪を掻き上げて欲を抑え込んだ。それでもやっぱりちょっぴりと触れたい気持ちが勝ってしまい――。
――チュ
少しだけという小さな欲に負けて先ほど露わにした額に口づける。そして、パッと離れる。唇で触れた額はまだ熱かった。罪悪感がムクムク起きるのですぐに彼女から離れることにした。やっぱり自分の中にいる紳士の言う通りにすればよかった。悔やまれる。
音もなく閉じた部屋の扉に額をくっつけて「ばかやろう」と囁く。
もうこんなことはしない。絶対に悪い甘言に惑わされない。固く誓った俺は気を取り直し彼女の食べたい物を用意するために動き出した。
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