かがやける日々の正体
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◆ 夢主視点
ふっと意識が浮上して目が覚めた。まだ眠気で重い瞼をゆっくりと上げる。
パチパチと繰り返し眠気を逃がすように動かす。その動きのお陰でぼんやりとしていた意識も景色も徐々にクリアになっていくと――。
見慣れない天井があった。
天井は自室 よりも高い気がする――と思って自分がいる部屋を思い出す。
「うそ……」
思い出した衝撃で意識がはっきりとすると同時にジェマは上体を起こして横を見る。すると、そこには昨日夫となったレオナが眠っていた。
その寝姿に乱れた様子はない。もちろん、今ジェマ自身も乱れたところは一切ない。そもそも昨夜レオナと肌を重ねた記憶は一切ない。あるのはただひたすら眠かっただけ。
「さいあく」
あまりの失態にジェマは自分の顔を両手で覆う。
まさか大事な結婚式の夜。初夜を寝落ちしてしまうなんて。それもレオナが来る前に寝落ちしてしまった。なんて失態だろう。
――こんな、こんな、初夜ってないわ。
なんて恥ずかしい。もう顔向けできない。今日から新しい生活だというのになんてことか。もう逃げ出してしまおうかしら、なんて考えていると人が動く気配がした。
その気配にジェマの身体は素早く反応してレオナに背を向ける。流石にまだ顔向けできない。レオナならきっと呆れてしまうだろう理由でもジェマにとってはとても情けない理由だ。
きゅっと身体を丸くさせて愛おしい人が寝るように祈るが――。
「ジェマ」
起き抜けの掠れた低い声に耳が動いてしまう。それでもジェマは振り向きたいのにそれを我慢して背を向け続ける。
「ジェマ」
ベッドが弾むと身体を越えるような気配を感じた。より近くなった気配にさらに身体を丸めると息を吹きかけるように名前が呼ばれた。
「ッ」
耳元で呼ばれたことで閉じていた目を開いてしまった。しまった、と思ったら身体が後ろに引かれて背中に別の熱を感じる。
咄嗟に逃げようとするけれどそれを阻むように足を絡めとられてしまった。
「起きてんだろ」
「……はぃ」
観念して肩越しに振り返ると身体が少し離れる。足に絡みついていたレオナの足も退けられてジェマは恥ずかしながら振り返る。
「なに寝たふりしてんだ」
吊り上がった眉が片方上がる。それを見てジェマは自分の寝落ちを恥じていたことを話す。案の定、レオナは呆れを孕んだ声で「なんだ」と返した。そう。レオナにとっては「なんだ」と思うけれどジェマにとっては違う。
「……シたかったのか?」
ぐいっと身体を寄せ見当違いなことを言ってくるレオナを少し睨む。
ジェマの反応にレオナは「だろうな」と言って笑いながら手を伸ばしてくる。大きな手はそのままジェマの髪に触れて指に巻き付ける。
「なにかしたいことがあったのか?」
「……できればお話がしたかったです」
「話し?」
不思議そうな顔をするレオナに頷いて髪を弄る手に触れるそのまま長く節だった指に指を絡める。
「はい。せっかく特別な夜だったので」
「特別、か」
「はい。だって、結婚式の夜は今後もう来ないのですよ」
「まぁ、そうだな」
先ほど自分がした返答のミスに気付いたのだろう。そして、ジェマが何を言ったのか分かったのだろう。敏い人だなと思いながらキュッと手を握る。
「特別な夜に寝落ちしたのが惜しいのです」
「疲れてたんだ。仕方ねぇだろ」
空いている逞しい腕が身体に回る。それに合わせるように手を離すとそのままレオナの手はジェマの頬に向かう。
体温の高い手のひらが頬に触れてじんわりと熱が移っていく。
「疲れていたとしても言葉を交わしたかったです」
だってほんとうに特別な夜で、今後二度と迎えない夜だったのだから。
改めて考えるとさらに気分が落ち込んでいく。
「なら、仕切り直しするか」
レオナの言葉にジェマは「ぇ、」と顔を上に向ける。
ふっと意識が浮上して目が覚めた。まだ眠気で重い瞼をゆっくりと上げる。
パチパチと繰り返し眠気を逃がすように動かす。その動きのお陰でぼんやりとしていた意識も景色も徐々にクリアになっていくと――。
見慣れない天井があった。
天井は
「うそ……」
思い出した衝撃で意識がはっきりとすると同時にジェマは上体を起こして横を見る。すると、そこには昨日夫となったレオナが眠っていた。
その寝姿に乱れた様子はない。もちろん、今ジェマ自身も乱れたところは一切ない。そもそも昨夜レオナと肌を重ねた記憶は一切ない。あるのはただひたすら眠かっただけ。
「さいあく」
あまりの失態にジェマは自分の顔を両手で覆う。
まさか大事な結婚式の夜。初夜を寝落ちしてしまうなんて。それもレオナが来る前に寝落ちしてしまった。なんて失態だろう。
――こんな、こんな、初夜ってないわ。
なんて恥ずかしい。もう顔向けできない。今日から新しい生活だというのになんてことか。もう逃げ出してしまおうかしら、なんて考えていると人が動く気配がした。
その気配にジェマの身体は素早く反応してレオナに背を向ける。流石にまだ顔向けできない。レオナならきっと呆れてしまうだろう理由でもジェマにとってはとても情けない理由だ。
きゅっと身体を丸くさせて愛おしい人が寝るように祈るが――。
「ジェマ」
起き抜けの掠れた低い声に耳が動いてしまう。それでもジェマは振り向きたいのにそれを我慢して背を向け続ける。
「ジェマ」
ベッドが弾むと身体を越えるような気配を感じた。より近くなった気配にさらに身体を丸めると息を吹きかけるように名前が呼ばれた。
「ッ」
耳元で呼ばれたことで閉じていた目を開いてしまった。しまった、と思ったら身体が後ろに引かれて背中に別の熱を感じる。
咄嗟に逃げようとするけれどそれを阻むように足を絡めとられてしまった。
「起きてんだろ」
「……はぃ」
観念して肩越しに振り返ると身体が少し離れる。足に絡みついていたレオナの足も退けられてジェマは恥ずかしながら振り返る。
「なに寝たふりしてんだ」
吊り上がった眉が片方上がる。それを見てジェマは自分の寝落ちを恥じていたことを話す。案の定、レオナは呆れを孕んだ声で「なんだ」と返した。そう。レオナにとっては「なんだ」と思うけれどジェマにとっては違う。
「……シたかったのか?」
ぐいっと身体を寄せ見当違いなことを言ってくるレオナを少し睨む。
ジェマの反応にレオナは「だろうな」と言って笑いながら手を伸ばしてくる。大きな手はそのままジェマの髪に触れて指に巻き付ける。
「なにかしたいことがあったのか?」
「……できればお話がしたかったです」
「話し?」
不思議そうな顔をするレオナに頷いて髪を弄る手に触れるそのまま長く節だった指に指を絡める。
「はい。せっかく特別な夜だったので」
「特別、か」
「はい。だって、結婚式の夜は今後もう来ないのですよ」
「まぁ、そうだな」
先ほど自分がした返答のミスに気付いたのだろう。そして、ジェマが何を言ったのか分かったのだろう。敏い人だなと思いながらキュッと手を握る。
「特別な夜に寝落ちしたのが惜しいのです」
「疲れてたんだ。仕方ねぇだろ」
空いている逞しい腕が身体に回る。それに合わせるように手を離すとそのままレオナの手はジェマの頬に向かう。
体温の高い手のひらが頬に触れてじんわりと熱が移っていく。
「疲れていたとしても言葉を交わしたかったです」
だってほんとうに特別な夜で、今後二度と迎えない夜だったのだから。
改めて考えるとさらに気分が落ち込んでいく。
「なら、仕切り直しするか」
レオナの言葉にジェマは「ぇ、」と顔を上に向ける。