名探偵のお気に入り
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太ったかもしれない。
モデルらしく体型維持のためにヨガに筋トレにストレッチと汗を流し続ける弥海砂をモニター越しに監視しながらふと思った。
Lはお菓子しか食べない。しかし彼曰く頭を使ってカロリー消費しているから問題ないらしい。確かに彼はガリガリだ。触れば意外とがっしりしていることがわかるけど、見た目は線が細い。
私は基本的にフルーツしか食べない。普通に好きだからというのと効率的にエネルギーを得るためで、少なくともLよりは栄養も取れているはず。ワイミーズハウスにいた頃はバランスの取れた食事が振舞われていてそれを残すこともなかったけれど、Lの元で過ごしている期間はフルーツとLのお菓子のおこぼれしか食べないし、Lと暮らし出したここ2年程は本当にそのふたつしか食べてないに等しかった。
そんな生活をしていても頭を使っているからかブクブク太ることはないけど、でも。
Lの体型に比べたら自分は些かふっくらしすぎている気がする。それもここ数年で確実に丸みを帯びてきた。
それは幼かった女児が成長期で女性になる過程のごく当たり前な変化だったのだけれど、ある考えに至った少女はそのことに気付けない。
太った。確実に。
自分の柔らかな腹を触る。決して出ているとかないけど、引き締まっているわけでもない。Lの引き締まった腹を思い出し青ざめた少女は薄暗くひとりぼっちのモニタールームで煌々と輝く画面を見た。誰もいないと知りながら辺りを確かめるようにキョロキョロしたあと、モニターの向こうで筋トレをしている女性の真似をおもむろに始めた。
「……具合でも悪いんですか?」
そう問われ顔を上げると、いつも通り弥の手付かずのケーキを自分の方へ手繰り寄せるためにテーブルに手をついて乗り出していたLと目が合った。
私の前には手付かずの、キャラメリゼされた焼き色が食欲をそそるバナナのタルトタタン。それに合わせるように甘ったるい匂いを発するキャラメルフレーバーの紅茶。キャラメルとバナナなんて王道の組み合わせだ。大好物のひとつでもある。
紅茶の方は甘ったるい匂いがするだけで無糖だし味は普通のストレートティーだから口をつけていたけれど、カロリーが計り知れないタルトタタンの方は手が付けられないでいた。
いつもならLと同じスピードで食べ終わり、弥の分を取り合うように半分こするのだが。
自分の前へ弥の皿を置くとフォークを柔らかなバナナへ差し入れながらもう一度「お腹が痛いとか?」と聞いてきた。
「……ううん、お腹が空いてないだけだよ」
そう言って紅茶を飲む。
ただでさえ甘ったるい匂いがしているのに、目の前の男はこちらを凝視しながらカップの横にあったキャラメルの包みをいくつも開けてボトボトと紅茶へ放り込んだ。当然硬さのあるキャラメルがすぐに溶けるわけもなく、熱いカップの中でぐんにゃりとくっつきあいながら積み重なった。それを見て弥からウェっと声が上がる。
「ゲー…竜崎さんマジ?砂糖がわりにしても入れすぎだしキャラメルってそうやって食べるものじゃないでしょ」
さもドン引きですという顔をして紅茶を啜った彼女は「でもこんなに甘い匂いがするのに味は苦いのヘンだよね」と口を尖らせた。
「……ちゃんと苦味のある紅茶だからタルトタタンにも合うんじゃないかな」
「そうかもしれないけどミサ紅茶しか飲んでないし〜。ケーキ食べないからただ苦いだけ」
「じゃあケーキも食べれば良いじゃないですか」
「太るから食べないって言ってるでしょ!!それにもうミサの分竜崎さんが食べちゃってるじゃない!」
月のフォローも虚しく紅茶を苦いと愚痴るミサとLで言い争いみたいになってしまった。
すっかり二つ目のケーキを食べ尽くしたLは目の前の私の手付かずの皿をじっと見つめた。指を咥えて凝視され、気まずくなって皿をずいと押しやる。
「食べて良いよ」
「本当にどうしたんですか?」
「本当にお腹すいてないの、だから」
丁度良いタイミングで腹の虫が鳴き叫んだ。
部屋に静けさが訪れる。
ああ、恥ずかしい。こんなことなら腹痛とかにしておけば良かった。
「……………空腹ではないようですが?」
「お、おかしいな、あはは」
我ながら誤魔化すの下手すぎた。
「……………キティちゃん、今朝グレープフルーツ半分しか食べてなかったけど、あれから何も食べてないわけじゃないよね?昼はミサがサラダとお豆腐食べてる間何も食べてなかったけど」
「ま、まさか!スイカを食べたよ」
「さっき食べてたカットスイカのことですか?3センチ四方のブロックを2つしか口にしなかったでしょう」
「よ、よく見てるね…」
「やはり具合が悪いのでは?いつもの貴女なら大玉ひと玉くらい1人で食べるでしょう」
「人を大食いみたいに!」
とにかくケーキの気分じゃないの、そうだなイチゴとかならと妥協案を出している間にジャラジャラ音を立てながらLがこちらのソファまで来て無理やり横に座ってきた。おかげでテーブルの上をピンと張られた鎖が縦断し対角線上に座っていた夜神月は手首を引っ張られて腕が上がってしまっている。
「え、なに狭…んぐっ!?」
「口内炎が出来ているわけでもなさそうですね」
突如口に指を突っ込まれて目を白黒させれば気にせず両手で口内を押し広げ無遠慮に頰の裏側の柔らかく敏感なところを指が探し物をするように這った。
舌を押すように指を押し付けられて鼻にかかったような妙な声が出てしまい赤面する。あんまり口内を荒らさないで欲しい。なんだかぞわぞわしてきた。
Lの奇行を仰け反ってソファの反対端まで身を寄せてドン引きしていた弥がグレープフルーツ…スイカ…イチゴ…と呟く声が聞こえる。
「あ、もしかしてダイエットしてるの?」
「え゛」
「だってそのフルーツラインナップ、ダイエットに効果的だし」
そうなんでしょ?と首を傾げる金髪に頼むからそれ以上何も言うなという視線を投げたら「やっぱり〜☆」と笑われてしまった。ちくしょう殴りたい。
口内を好き放題荒らしていた指が引き抜かれホッとする間も無くガシッと両頬を捕まれ顔を固定される。今度はなんだ!?と思っていると目をギョロリと見開いたままLの顔が近づいてきて慌てて顔を押して阻止する。
「ななななななにを始めたの!?!?」
「キスしてあげます」
「なんで!?!?」
「食事制限よりカロリー消費の方が効果的です、1分間キスをしたとして消費されるカロリーは6kcal程、1時間キスをし続ければ360kcalも消費することになります。これはウォーキング約3時間分の消費カロリーに匹敵します。では」
「ではじゃないよ!!!!1時間もキスし続けるつもり!?!?死んじゃう!!!!」
「人はキスでは死にませんよ」
「息出来なくて死んじゃうよ!!!!」
力では勝てず肩を押しているのも虚しくグイグイ顔を寄せてくるLがもう目と鼻の先だ。誰でも良いから助けて!顔が固定されているので目線だけでキョロキョロすれば「いつもこうなるのよね、他所でやってよ」と言い放ったミサの声が背後からする。おまえのせいだけど!?助けを求めてバッと夜神月の方を見れば手錠で引っ張られて片腕を前に伸ばした変なポーズなまま反対の手で顔を覆っていた。見ないふり決め込まないで助けて!!
「いっ1時間もキスし続けたら1時間もそのままの姿勢になるけど良いの!?」
「……僕に言っているのか?良い訳ないだろう、しかもそんなに休憩しているほど暇じゃない、大概にしろ竜崎」
深く溜息をついた夜神月は伸ばしていた腕を勢いよく上へあげた。
引っ張られて頰を固定していたLの片腕も上に上がる。
それを不服そうに目で追って溜息をついたLは私の鼻先にちゅっとキスを落とすと顔を離した。
「そうですね、そんなに離席しては皆さんに悪いですしキスは今夜寝る時までお預けにします」
「結局するの!?」
「勿論です。ダイエットしてるのでしょう?手伝ってあげるのだから感謝して下さいね」
「手伝ってなんて言ってないよね!?」
「だいたい何故ダイエットなんか…全く必要ないじゃないですか」
この世からナマエの体積が減るだけじゃないですか、そんなの嫌ですなんて言い出したことへときめく間も無く、頰を掴んだままだった片手を降ろして確かめるように腰から脇腹を撫でさすりそのまま自然に胸まで手のひらを滑らせるとむにっと鷲掴んだ。
「ほら、必要ないどころかもう少し太っても良いぐらいですよ」
そう言いながらやわやわと胸を揉まれてあまりの事態にぽかんとしていた私は我にかえるなりこの変態蛙の肩へ思いっきり足をめり込ませて蹴っ飛ばした。
「ばっバカァーーーーーーッ」
「ウワッ竜崎さん最低さすが変態」
「痛っ!?!?」
引っ張られてガッシャンとテーブルの上に乗り上げてしまい溢れた紅茶だらけになった夜神月の恨めしい視線もなんのその、蹴られて後ろへひっくり返っていたLがゆらりと起き上がり弥の方へ後退って逃げていた私の腕を引っ掴んで自分の方へ抱き寄せると一回は一回ですよと言いながら長い舌で唇をこじ開け口内を好き放題暴れ回るものだから息は出来ないし背後の弥は何か叫んでいるし机の上でうつ伏せに倒れていた月が手錠ごとLを引っ張り寄せて殴りつけそのまま大乱闘になってしまった。
家具も食器も薙ぎ倒しながら転げ回る男2人にキャーキャー怯える弥に抱き着かれながら、すっかりキャラメル味になってしまった口内を忘れるように唇に手を当てて、もう二度とダイエットはしまいと固く決心した。
キャラメル味のキスで(そしてまたキスをする10題【確かに恋だった】)
モデルらしく体型維持のためにヨガに筋トレにストレッチと汗を流し続ける弥海砂をモニター越しに監視しながらふと思った。
Lはお菓子しか食べない。しかし彼曰く頭を使ってカロリー消費しているから問題ないらしい。確かに彼はガリガリだ。触れば意外とがっしりしていることがわかるけど、見た目は線が細い。
私は基本的にフルーツしか食べない。普通に好きだからというのと効率的にエネルギーを得るためで、少なくともLよりは栄養も取れているはず。ワイミーズハウスにいた頃はバランスの取れた食事が振舞われていてそれを残すこともなかったけれど、Lの元で過ごしている期間はフルーツとLのお菓子のおこぼれしか食べないし、Lと暮らし出したここ2年程は本当にそのふたつしか食べてないに等しかった。
そんな生活をしていても頭を使っているからかブクブク太ることはないけど、でも。
Lの体型に比べたら自分は些かふっくらしすぎている気がする。それもここ数年で確実に丸みを帯びてきた。
それは幼かった女児が成長期で女性になる過程のごく当たり前な変化だったのだけれど、ある考えに至った少女はそのことに気付けない。
太った。確実に。
自分の柔らかな腹を触る。決して出ているとかないけど、引き締まっているわけでもない。Lの引き締まった腹を思い出し青ざめた少女は薄暗くひとりぼっちのモニタールームで煌々と輝く画面を見た。誰もいないと知りながら辺りを確かめるようにキョロキョロしたあと、モニターの向こうで筋トレをしている女性の真似をおもむろに始めた。
「……具合でも悪いんですか?」
そう問われ顔を上げると、いつも通り弥の手付かずのケーキを自分の方へ手繰り寄せるためにテーブルに手をついて乗り出していたLと目が合った。
私の前には手付かずの、キャラメリゼされた焼き色が食欲をそそるバナナのタルトタタン。それに合わせるように甘ったるい匂いを発するキャラメルフレーバーの紅茶。キャラメルとバナナなんて王道の組み合わせだ。大好物のひとつでもある。
紅茶の方は甘ったるい匂いがするだけで無糖だし味は普通のストレートティーだから口をつけていたけれど、カロリーが計り知れないタルトタタンの方は手が付けられないでいた。
いつもならLと同じスピードで食べ終わり、弥の分を取り合うように半分こするのだが。
自分の前へ弥の皿を置くとフォークを柔らかなバナナへ差し入れながらもう一度「お腹が痛いとか?」と聞いてきた。
「……ううん、お腹が空いてないだけだよ」
そう言って紅茶を飲む。
ただでさえ甘ったるい匂いがしているのに、目の前の男はこちらを凝視しながらカップの横にあったキャラメルの包みをいくつも開けてボトボトと紅茶へ放り込んだ。当然硬さのあるキャラメルがすぐに溶けるわけもなく、熱いカップの中でぐんにゃりとくっつきあいながら積み重なった。それを見て弥からウェっと声が上がる。
「ゲー…竜崎さんマジ?砂糖がわりにしても入れすぎだしキャラメルってそうやって食べるものじゃないでしょ」
さもドン引きですという顔をして紅茶を啜った彼女は「でもこんなに甘い匂いがするのに味は苦いのヘンだよね」と口を尖らせた。
「……ちゃんと苦味のある紅茶だからタルトタタンにも合うんじゃないかな」
「そうかもしれないけどミサ紅茶しか飲んでないし〜。ケーキ食べないからただ苦いだけ」
「じゃあケーキも食べれば良いじゃないですか」
「太るから食べないって言ってるでしょ!!それにもうミサの分竜崎さんが食べちゃってるじゃない!」
月のフォローも虚しく紅茶を苦いと愚痴るミサとLで言い争いみたいになってしまった。
すっかり二つ目のケーキを食べ尽くしたLは目の前の私の手付かずの皿をじっと見つめた。指を咥えて凝視され、気まずくなって皿をずいと押しやる。
「食べて良いよ」
「本当にどうしたんですか?」
「本当にお腹すいてないの、だから」
丁度良いタイミングで腹の虫が鳴き叫んだ。
部屋に静けさが訪れる。
ああ、恥ずかしい。こんなことなら腹痛とかにしておけば良かった。
「……………空腹ではないようですが?」
「お、おかしいな、あはは」
我ながら誤魔化すの下手すぎた。
「……………キティちゃん、今朝グレープフルーツ半分しか食べてなかったけど、あれから何も食べてないわけじゃないよね?昼はミサがサラダとお豆腐食べてる間何も食べてなかったけど」
「ま、まさか!スイカを食べたよ」
「さっき食べてたカットスイカのことですか?3センチ四方のブロックを2つしか口にしなかったでしょう」
「よ、よく見てるね…」
「やはり具合が悪いのでは?いつもの貴女なら大玉ひと玉くらい1人で食べるでしょう」
「人を大食いみたいに!」
とにかくケーキの気分じゃないの、そうだなイチゴとかならと妥協案を出している間にジャラジャラ音を立てながらLがこちらのソファまで来て無理やり横に座ってきた。おかげでテーブルの上をピンと張られた鎖が縦断し対角線上に座っていた夜神月は手首を引っ張られて腕が上がってしまっている。
「え、なに狭…んぐっ!?」
「口内炎が出来ているわけでもなさそうですね」
突如口に指を突っ込まれて目を白黒させれば気にせず両手で口内を押し広げ無遠慮に頰の裏側の柔らかく敏感なところを指が探し物をするように這った。
舌を押すように指を押し付けられて鼻にかかったような妙な声が出てしまい赤面する。あんまり口内を荒らさないで欲しい。なんだかぞわぞわしてきた。
Lの奇行を仰け反ってソファの反対端まで身を寄せてドン引きしていた弥がグレープフルーツ…スイカ…イチゴ…と呟く声が聞こえる。
「あ、もしかしてダイエットしてるの?」
「え゛」
「だってそのフルーツラインナップ、ダイエットに効果的だし」
そうなんでしょ?と首を傾げる金髪に頼むからそれ以上何も言うなという視線を投げたら「やっぱり〜☆」と笑われてしまった。ちくしょう殴りたい。
口内を好き放題荒らしていた指が引き抜かれホッとする間も無くガシッと両頬を捕まれ顔を固定される。今度はなんだ!?と思っていると目をギョロリと見開いたままLの顔が近づいてきて慌てて顔を押して阻止する。
「ななななななにを始めたの!?!?」
「キスしてあげます」
「なんで!?!?」
「食事制限よりカロリー消費の方が効果的です、1分間キスをしたとして消費されるカロリーは6kcal程、1時間キスをし続ければ360kcalも消費することになります。これはウォーキング約3時間分の消費カロリーに匹敵します。では」
「ではじゃないよ!!!!1時間もキスし続けるつもり!?!?死んじゃう!!!!」
「人はキスでは死にませんよ」
「息出来なくて死んじゃうよ!!!!」
力では勝てず肩を押しているのも虚しくグイグイ顔を寄せてくるLがもう目と鼻の先だ。誰でも良いから助けて!顔が固定されているので目線だけでキョロキョロすれば「いつもこうなるのよね、他所でやってよ」と言い放ったミサの声が背後からする。おまえのせいだけど!?助けを求めてバッと夜神月の方を見れば手錠で引っ張られて片腕を前に伸ばした変なポーズなまま反対の手で顔を覆っていた。見ないふり決め込まないで助けて!!
「いっ1時間もキスし続けたら1時間もそのままの姿勢になるけど良いの!?」
「……僕に言っているのか?良い訳ないだろう、しかもそんなに休憩しているほど暇じゃない、大概にしろ竜崎」
深く溜息をついた夜神月は伸ばしていた腕を勢いよく上へあげた。
引っ張られて頰を固定していたLの片腕も上に上がる。
それを不服そうに目で追って溜息をついたLは私の鼻先にちゅっとキスを落とすと顔を離した。
「そうですね、そんなに離席しては皆さんに悪いですしキスは今夜寝る時までお預けにします」
「結局するの!?」
「勿論です。ダイエットしてるのでしょう?手伝ってあげるのだから感謝して下さいね」
「手伝ってなんて言ってないよね!?」
「だいたい何故ダイエットなんか…全く必要ないじゃないですか」
この世からナマエの体積が減るだけじゃないですか、そんなの嫌ですなんて言い出したことへときめく間も無く、頰を掴んだままだった片手を降ろして確かめるように腰から脇腹を撫でさすりそのまま自然に胸まで手のひらを滑らせるとむにっと鷲掴んだ。
「ほら、必要ないどころかもう少し太っても良いぐらいですよ」
そう言いながらやわやわと胸を揉まれてあまりの事態にぽかんとしていた私は我にかえるなりこの変態蛙の肩へ思いっきり足をめり込ませて蹴っ飛ばした。
「ばっバカァーーーーーーッ」
「ウワッ竜崎さん最低さすが変態」
「痛っ!?!?」
引っ張られてガッシャンとテーブルの上に乗り上げてしまい溢れた紅茶だらけになった夜神月の恨めしい視線もなんのその、蹴られて後ろへひっくり返っていたLがゆらりと起き上がり弥の方へ後退って逃げていた私の腕を引っ掴んで自分の方へ抱き寄せると一回は一回ですよと言いながら長い舌で唇をこじ開け口内を好き放題暴れ回るものだから息は出来ないし背後の弥は何か叫んでいるし机の上でうつ伏せに倒れていた月が手錠ごとLを引っ張り寄せて殴りつけそのまま大乱闘になってしまった。
家具も食器も薙ぎ倒しながら転げ回る男2人にキャーキャー怯える弥に抱き着かれながら、すっかりキャラメル味になってしまった口内を忘れるように唇に手を当てて、もう二度とダイエットはしまいと固く決心した。
キャラメル味のキスで(そしてまたキスをする10題【確かに恋だった】)