名探偵のお気に入り
はじめにお名前変換してください
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
高校というものに少しの間通ってみて知ったゲームがある。
人差し指を立てた状態で後ろから肩を叩くと振り向いた相手の頰に指が食い込む、という悪戯だ。
単純でくだらないからこそ、気軽にやり合えるし満面の笑みでやられると引っかかった方もつられて笑顔になってしまう。
初めは知らなかったので簡単に引っかかり、指を刺してきた相手に何するんだと思ったものだが、自分がやる側に回ると振り向いた瞬間の指が食い込んだ相手の間抜け面がなんとも癖になる。これは流行るわけだ、と思った。
そんなことを退学して少し経った頃に思い出した。
ちょうど今、私は座っているエルの背後に立っている。
これはチャンスではないか?
引きこもりのエルのことだ、そんな悪戯されたことないに決まってるしどんな反応返されるか興味深い。そう考え出すともう止められなかった。
ワクワクした気持ちをおさえてそうっとエルに近づく。
人差し指を立てて、ぽんぽんと軽く肩を叩いた。
ぷに。
エルの硬めの頰に指が食い込む。
無防備に振り向いたエルは黙って私を見上げ、指などまるでないかのように頰にめり込ませたまま更に振り向いてきたので私の指は頰圧により曲がってはいけない方向に曲がった。
「いたたたたたごめ、ごめん、やめ、」
「何かご用ですか?」
「ごめ、ごめん、なんでもないです!!!」
慌てて手を離し負傷しかけた指を反対の手で握り込んでさする。頰で指折られるかと思った。負けず嫌いに悪戯するとろくなことない!学びました。
それから数日後。
普段私に用がある時は必ず名前を呼ぶ彼が、突然背後から肩を叩いてきた。
ははーん、仕返しだな?一回は一回というやつだな?この私が引っかかるとでも?
そのまま振り向けば指が刺さるとわかっていた私は、叩かれた左肩を見向きもせず右側に振り向いた。
こうすれば指を回避できることを高校で習ったのだ。伊達に引っかかってない。経験者を甘くみるなよ!
右側に振り向いた私の頰には当然、指は刺さらなかった。
刺さらなかったけども。
振り向いた先にはエルの顔が待ち受けており、突然のドアップにびっくりして顔を引く前に唇が押し付けられてしまった。ぐぐっと数秒押し付けられた唇が離れ、鼻先と鼻先がくっついたままの距離で目を合わせてきたエルが「私を出し抜こうなんて百年早いですよ」と言ってもう一度今度は一瞬触れるだけのキスをして、ちゅっとリップ音を鳴らして離れた。
呆然とする私を見下ろした顔はそれはもう得意げで満足そうで腹の立つほどのドヤ顔というやつだった。
本当に、本当に、負けず嫌いに悪戯するとろくなことにならない!!!!!!
そう言おうとしたはずなのに、あまりの展開に混乱した私は「うぇえぇえ、好きぃ………」と思ってることと言っていることが逆に口から出てしまった。
その様に軽く笑ったエルはすごくすごく優しい顔をして私の頭を撫で、そのままするりと頰に手を添えて「ほら、2回は2回ですよ」なんて言うものだから、私はもう抗うことも出来ずに目を閉じて背伸びをし、愛しい彼の薄い唇へ2回キスを落とした。
残念ながらべた惚れ(初々しい恋10題【確かに恋だった】)
人差し指を立てた状態で後ろから肩を叩くと振り向いた相手の頰に指が食い込む、という悪戯だ。
単純でくだらないからこそ、気軽にやり合えるし満面の笑みでやられると引っかかった方もつられて笑顔になってしまう。
初めは知らなかったので簡単に引っかかり、指を刺してきた相手に何するんだと思ったものだが、自分がやる側に回ると振り向いた瞬間の指が食い込んだ相手の間抜け面がなんとも癖になる。これは流行るわけだ、と思った。
そんなことを退学して少し経った頃に思い出した。
ちょうど今、私は座っているエルの背後に立っている。
これはチャンスではないか?
引きこもりのエルのことだ、そんな悪戯されたことないに決まってるしどんな反応返されるか興味深い。そう考え出すともう止められなかった。
ワクワクした気持ちをおさえてそうっとエルに近づく。
人差し指を立てて、ぽんぽんと軽く肩を叩いた。
ぷに。
エルの硬めの頰に指が食い込む。
無防備に振り向いたエルは黙って私を見上げ、指などまるでないかのように頰にめり込ませたまま更に振り向いてきたので私の指は頰圧により曲がってはいけない方向に曲がった。
「いたたたたたごめ、ごめん、やめ、」
「何かご用ですか?」
「ごめ、ごめん、なんでもないです!!!」
慌てて手を離し負傷しかけた指を反対の手で握り込んでさする。頰で指折られるかと思った。負けず嫌いに悪戯するとろくなことない!学びました。
それから数日後。
普段私に用がある時は必ず名前を呼ぶ彼が、突然背後から肩を叩いてきた。
ははーん、仕返しだな?一回は一回というやつだな?この私が引っかかるとでも?
そのまま振り向けば指が刺さるとわかっていた私は、叩かれた左肩を見向きもせず右側に振り向いた。
こうすれば指を回避できることを高校で習ったのだ。伊達に引っかかってない。経験者を甘くみるなよ!
右側に振り向いた私の頰には当然、指は刺さらなかった。
刺さらなかったけども。
振り向いた先にはエルの顔が待ち受けており、突然のドアップにびっくりして顔を引く前に唇が押し付けられてしまった。ぐぐっと数秒押し付けられた唇が離れ、鼻先と鼻先がくっついたままの距離で目を合わせてきたエルが「私を出し抜こうなんて百年早いですよ」と言ってもう一度今度は一瞬触れるだけのキスをして、ちゅっとリップ音を鳴らして離れた。
呆然とする私を見下ろした顔はそれはもう得意げで満足そうで腹の立つほどのドヤ顔というやつだった。
本当に、本当に、負けず嫌いに悪戯するとろくなことにならない!!!!!!
そう言おうとしたはずなのに、あまりの展開に混乱した私は「うぇえぇえ、好きぃ………」と思ってることと言っていることが逆に口から出てしまった。
その様に軽く笑ったエルはすごくすごく優しい顔をして私の頭を撫で、そのままするりと頰に手を添えて「ほら、2回は2回ですよ」なんて言うものだから、私はもう抗うことも出来ずに目を閉じて背伸びをし、愛しい彼の薄い唇へ2回キスを落とした。
残念ながらべた惚れ(初々しい恋10題【確かに恋だった】)