短編
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「太るよ」
「頭使ってたら太りません」
こういうとこが嫌いなんです
嘘 大好きです
ホンネとタテマエ
「はい、差し上げます」
「…嫌がらせ?」
モニターをずっと見ながら一人であらゆるお菓子を串刺しにしていて、何本も作ってるのを眺めていたら何を思ったのか一本くれた。
ぶっちゃけ甘いだけの洋菓子が得意でない私にはただの嫌がらせだ。
Lもさ、知ってるはずなんだけど。忘れたとは言わせない。
私が受け取らないので諦めたのかLは同じ台詞を吐き、近くにいた警察の人に手渡す。(その人もすぐに部下らしき人に手渡してたけど)
部屋は甘い匂いが立ち込めていて、まさかここが世間を騒がせているキラを捕まえる為の捜査本部だとはにわかに信じがたい。
しかもこれだけの量のお菓子を、このひょろい色白な隈男がひとりで処理するのだ。考えただけで気持ち悪くなる。
生クリームやチョコレートがダメな私には地獄のようなところだけれど、その場にLがいる、ということでその甘さが中和されて、留まっていても不快ではない。
そんな風に考えてしまう私は本当に末期だ。ダメだ。
「名前」
「なに」
「どう思います」
「なにが」
Lの言いたいことはうっすらわかっている。はずがない。
主語を言え主語を。
いきなりそんな簡潔な質問されてもエスパーじゃあるまいし。
私の言い分は正しいはずなのに思いっきり不満そうに眉を顰められ。
「ワタリ」
「はい」
「ベリーベリータルトを」
「かしこまりました」
私の目が若干大きくなったのを視界の端で逃さず捕らえたLがまた口を開く。
「夜神さんたちは少し席をはずしてもらえませんか。」
有無を言わせない強さのある単調なテンポの発言に苦い顔をしつつ席を立ち、隣の部屋へ移動する警察の人たち。
ぺこりと軽く頭を下げれば挨拶程度の会釈が返ってくる。
全員が出て行ったのを確認してからLのとなりに座りなおす。
「どういうつもり」
「ただ邪魔だっただけです。自分の家族が可愛いのはわかりますが私情を挟む余地のある事件ではないという事をいい加減理解すべきです」
相変わらず単調にモールス信号のように喋ると傍にあったポップコーンを鷲掴みにして口に入れた。
何粒かこぼれたそれを気に留めることも無く、じ、とモニターを見つめている。
「で、どう思います」
「だからなにが」
唐突に繰り返された先ほどの問いに、すかさず返せば普段表情を滅多に変えることの無いこの男が面白いくらいに顔を顰めた。
「私は少し名前を買い被り過ぎていたようです」
「そりゃあすみませんでしたねぇ?」
ちょっと傷付いたがそれを表に出さず、嫌味っぽく返してもスルーされ、密かに凹む。
と、急にLが身を乗り出した。
「どうしたの?」
「見て下さい」
「え、どのモニター」
「これです」
「え、どれ」
「これです」
「だからど…」
れ、と言う前に腕を掴まれ引かれ、モニターを凝視していたのと腕をついて身を乗り出していたのとで咄嗟に崩れ行くバランスに対処できず、そのままLの腕の中に納まった。
「見て下さい、って言ったじゃないですか」
「だから『これ』じゃわかんないし」
「モニターじゃありません、私を見ろと言っているんです」
体勢的に顔は見えない。だが、息の仕方で不貞腐れているのだけはわかる。
「で、どう思います?」
「だから何が―…」
言い終わる前に啄ばむ様なキスをされ、驚きの声をあげる前に首筋に舌を這わされ、抵抗する前にチリッと痛みが走った。
「な、にすん、の」
「どう思います?とこの状態で言われても私の事だと気付かない名前が悪いからおしおきです」
何だそれ、と顔にフォントサイズ特大にして貼り付ければ、むかつくくらい満足げに微笑まれて。
「『ちょっと疲れたので糖分摂取したいんですが、どう思います?』と言ったのにチンプンカンプンな事を返す名前が悪い」
「いやいや、最後しか口に出して言ってないしね?」
心中察するべきです、とか無茶な事まで言ってきて、思わずため息をつけば「何ですか傷付きますね」とぬかす。
でも腕の力を緩めるわけでなく、むしろ更に強く抱きしめられ、骨が小さく軋んだ。
「糖分摂取したいから、ベリーベリータルト頼んだの?」
「はい、それなら一緒に食べてくれるかと思って。名前好きでしたよね」
「覚えてくれてたんだ」
「記憶力良いですから」
私を誰だと思っているんです、なんて可愛くない事言うから、変態な蛙顔、と答えてやれば無表情が更に無表情になった。
「…ていうかさ、充分糖分摂取してるじゃん」
「何言ってるんですか、お菓子を食べているだけですよ」
「それが糖分摂取じゃ…」
「糖分摂取とはこういう事です」
いきなり腕から解放され、ソファに組み敷かれ馬乗りになられて、初めて奴の考えを悟る。
ちょ、バカ、何考えてんの!?と声を荒げれば、名前の事を考えてます、とさらりと返され、思わず顔に熱が集まる。
美味しく糖分摂取した変態蛙顔に対する怒りが、今食べているベリータルトごときで帳消しにされるはずも無く。
「せっかく一緒に食べてるのに何故黙っているんです」とほざく蛙顔のタルトのベリーを取ってやれば、一回は一回です、と口内を侵食される。
当然、私の怒りは増す訳だけど、ただ一言囁かれるだけで、全てどうでもよくなってしまうんだ。表向きにはまだ怒ってるように見せてはいるけれど。
「愛してますよ」
「…私もだよ」
「頭使ってたら太りません」
こういうとこが嫌いなんです
嘘 大好きです
ホンネとタテマエ
「はい、差し上げます」
「…嫌がらせ?」
モニターをずっと見ながら一人であらゆるお菓子を串刺しにしていて、何本も作ってるのを眺めていたら何を思ったのか一本くれた。
ぶっちゃけ甘いだけの洋菓子が得意でない私にはただの嫌がらせだ。
Lもさ、知ってるはずなんだけど。忘れたとは言わせない。
私が受け取らないので諦めたのかLは同じ台詞を吐き、近くにいた警察の人に手渡す。(その人もすぐに部下らしき人に手渡してたけど)
部屋は甘い匂いが立ち込めていて、まさかここが世間を騒がせているキラを捕まえる為の捜査本部だとはにわかに信じがたい。
しかもこれだけの量のお菓子を、このひょろい色白な隈男がひとりで処理するのだ。考えただけで気持ち悪くなる。
生クリームやチョコレートがダメな私には地獄のようなところだけれど、その場にLがいる、ということでその甘さが中和されて、留まっていても不快ではない。
そんな風に考えてしまう私は本当に末期だ。ダメだ。
「名前」
「なに」
「どう思います」
「なにが」
Lの言いたいことはうっすらわかっている。はずがない。
主語を言え主語を。
いきなりそんな簡潔な質問されてもエスパーじゃあるまいし。
私の言い分は正しいはずなのに思いっきり不満そうに眉を顰められ。
「ワタリ」
「はい」
「ベリーベリータルトを」
「かしこまりました」
私の目が若干大きくなったのを視界の端で逃さず捕らえたLがまた口を開く。
「夜神さんたちは少し席をはずしてもらえませんか。」
有無を言わせない強さのある単調なテンポの発言に苦い顔をしつつ席を立ち、隣の部屋へ移動する警察の人たち。
ぺこりと軽く頭を下げれば挨拶程度の会釈が返ってくる。
全員が出て行ったのを確認してからLのとなりに座りなおす。
「どういうつもり」
「ただ邪魔だっただけです。自分の家族が可愛いのはわかりますが私情を挟む余地のある事件ではないという事をいい加減理解すべきです」
相変わらず単調にモールス信号のように喋ると傍にあったポップコーンを鷲掴みにして口に入れた。
何粒かこぼれたそれを気に留めることも無く、じ、とモニターを見つめている。
「で、どう思います」
「だからなにが」
唐突に繰り返された先ほどの問いに、すかさず返せば普段表情を滅多に変えることの無いこの男が面白いくらいに顔を顰めた。
「私は少し名前を買い被り過ぎていたようです」
「そりゃあすみませんでしたねぇ?」
ちょっと傷付いたがそれを表に出さず、嫌味っぽく返してもスルーされ、密かに凹む。
と、急にLが身を乗り出した。
「どうしたの?」
「見て下さい」
「え、どのモニター」
「これです」
「え、どれ」
「これです」
「だからど…」
れ、と言う前に腕を掴まれ引かれ、モニターを凝視していたのと腕をついて身を乗り出していたのとで咄嗟に崩れ行くバランスに対処できず、そのままLの腕の中に納まった。
「見て下さい、って言ったじゃないですか」
「だから『これ』じゃわかんないし」
「モニターじゃありません、私を見ろと言っているんです」
体勢的に顔は見えない。だが、息の仕方で不貞腐れているのだけはわかる。
「で、どう思います?」
「だから何が―…」
言い終わる前に啄ばむ様なキスをされ、驚きの声をあげる前に首筋に舌を這わされ、抵抗する前にチリッと痛みが走った。
「な、にすん、の」
「どう思います?とこの状態で言われても私の事だと気付かない名前が悪いからおしおきです」
何だそれ、と顔にフォントサイズ特大にして貼り付ければ、むかつくくらい満足げに微笑まれて。
「『ちょっと疲れたので糖分摂取したいんですが、どう思います?』と言ったのにチンプンカンプンな事を返す名前が悪い」
「いやいや、最後しか口に出して言ってないしね?」
心中察するべきです、とか無茶な事まで言ってきて、思わずため息をつけば「何ですか傷付きますね」とぬかす。
でも腕の力を緩めるわけでなく、むしろ更に強く抱きしめられ、骨が小さく軋んだ。
「糖分摂取したいから、ベリーベリータルト頼んだの?」
「はい、それなら一緒に食べてくれるかと思って。名前好きでしたよね」
「覚えてくれてたんだ」
「記憶力良いですから」
私を誰だと思っているんです、なんて可愛くない事言うから、変態な蛙顔、と答えてやれば無表情が更に無表情になった。
「…ていうかさ、充分糖分摂取してるじゃん」
「何言ってるんですか、お菓子を食べているだけですよ」
「それが糖分摂取じゃ…」
「糖分摂取とはこういう事です」
いきなり腕から解放され、ソファに組み敷かれ馬乗りになられて、初めて奴の考えを悟る。
ちょ、バカ、何考えてんの!?と声を荒げれば、名前の事を考えてます、とさらりと返され、思わず顔に熱が集まる。
美味しく糖分摂取した変態蛙顔に対する怒りが、今食べているベリータルトごときで帳消しにされるはずも無く。
「せっかく一緒に食べてるのに何故黙っているんです」とほざく蛙顔のタルトのベリーを取ってやれば、一回は一回です、と口内を侵食される。
当然、私の怒りは増す訳だけど、ただ一言囁かれるだけで、全てどうでもよくなってしまうんだ。表向きにはまだ怒ってるように見せてはいるけれど。
「愛してますよ」
「…私もだよ」