名探偵のお気に入り
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最近彼女の様子が変だ。
今迄なんの不自由なくこのホテルの貸し切ったワンフロアで過ごしていたはずの彼女が、こっそり外出するようになった。私がそれに気付かないはずがないし、私が気付いているということもわかっているだろう。
けれど、どこへ行くとも告げず、毎日のようにふらりとどこかへ出掛けていく。
どこへ行っているのか調べるなんて簡単だが、彼女の口から言って欲しくて見て見ぬふりをしたまま今日も大学へと向かう。夜神月に正体を明かして共にキャンパスライフを過ごしてしばらく経った。
「私はこういうの向いていないんですが」
「だから無理して一緒にやらなくてもいいって言ったろ」
「月くんと一緒にいたいので」
「誤解されるからそれあんまり人前で言わないでくれ」
今日はオープンキャンパスデー。
去年まで受験生だった1年生達は現役受験生向けのお悩み相談コーナーに座っていた。
勿論有志のボランティアなのだが、この志高い好青年、夜神月は積極的にボランティア志望し、トップの成績で入った一年生のやる気に感激した職員達に「是非流河くんも一緒に」と推されてしまったのだ。こんな人前で愛想よく話す仕事を流河が請け負うはずがない、しばし流河から離れられるチャンス、そんな考えが透けて見えるようで負けず嫌いな私は二つ返事で引き受けた。
大学生に似つかわしくない可愛らしい手書きの名札(流河旱樹 法学部一年 今年度入試トップ☆全教科満点☆と書いてある)を付けいつもの座り方で椅子に収まって爪を噛んでいるためか、時たま来る受験生達はドン引きの顔で遠巻きに通り過ぎると他の朗らかな印象の学生の元へ話しかけに行ってしまう。
自分の隣にいたはずの夜神月は本人の端正な顔立ち、爽やかな見た目、柔らかな物腰、☆全教科満点☆の名札効果もあってあっという間に女子高生に囲まれて広めのテーブルへと移動していった。楽しそうに盛り上がるそのテーブルを部屋の隅でひとりぼっちで眺めていれば、ひらりと制服のプリーツスカートが視界に入り込んできた。そちらへゆっくりと視線をやって見上げて顔を上げた私は驚愕のあまり目を剥き出した。
「こんにちは、ええと、『りゅうがひでき』…さん?」
質問いいですか?などとはにかみながら目を合わせてくる目の前の女子高生は、髪こそ黒いものの顔立ちは日本人には程遠い欧米白人で、綺麗な緑色の瞳を悪戯っぽく歪めた。
思わずガタッと立ち上がりかけた私と反対に、すっと椅子に座って「まだ受験は先なんですが…」などと言い出す彼女に顔をずいと近付ける。
「何してるんですか」
「? 受験勉強の相談に」
「…貴女、オックスフォードもスタンフォードもマサチューセッツ工科大学 もカルフォルニア工科大学 も飛び級で卒業してるし犯罪心理学者 の肩書きも不可解論理学者 の肩書きも持っているのに今更こんなとこに用なんてないでしょう」
「天下の東応大学になんて言い方」
日本の警察キャリアになるにはここが一番だと思うんですよなどと抜け抜けとのたまう彼女をじろじろ見ながら「警察キャリアになりたかったとは知りませんでした」と言えば「まだ将来のことは考え中なんですけどね」なんて抜かす。
「敬語も新鮮で良いですね、何年振りでしょうか」
「えぇ?初めましてですよね?」
「…なるほど、わかりました。初めまして。それで?その制服はどうしたんです」
「ぴちぴちのJK1年生なのでまだ制服に着られてる感はあるかもしれませんね」
「そうではなく。…夜神粧裕と同じ学校でしょう」
「ああ、夜神さんとは同級生です。クラスも違うし話したことはまだないですけど」
「どういうつもりですか」
私の邪魔をするつもりですか、という意味を込めた低音にようやく飄々とした表情を崩した彼女はだって、と唇を尖らせた。
「竜ざ、じゃない流河さんばっかりキャンパスライフをエンジョイしててずるいから…本当は同じ学年に入りたかったけど入試の時に反対したじゃん」
「当たり前でしょう。貴女を必要以上に外に晒す危険は」
「もう何回も聞いた!あの人に認知されたら困るんでしょ」
あの人、と言いながらちらりと目線を飛ばした先では相変わらずJKに囲まれてキャッキャしている夜神月の背中が見える。こちらに背を向けているのでナマエのことは見えていないだろう。
向こうの話も聞こえないくらい距離があいているが念のため声を落として話を続ける。
「そうです。彼が疑わしい限り、ナマエの存在を知られるわけにはいきません」
「だから夜神粧裕の学校に入ったけど接触はしてないよ。赤毛は目立つから黒髪ウィッグにしてるし。顔は仕方ないからハーフってことにしてるけど」
「黒いカラコンくらいしたらどうですか、そんな綺麗な眼をしていたらどんな男だって吸い込まれます」
「買い被りすぎ」
呆れたように溜息を吐く彼女の瞳を覗き込む。全然買い被りすぎなんかじゃない。こんな綺麗な瞳で見つめられて微笑まれてみろ、惚れない男がいるだろうか。ましてやサルのような性欲の時期だ。そんな男どもがうじゃうじゃいる空間にこんな劣情を誘う短いスカートで通っていたというのか?テーブルの下に伸びる白く眩しい太ももに目眩を覚える。部屋ではいつもお揃いのジーンズを履いているからこの程よい肉感を目にするのは情事の時だけだというのに。タダで常時見放題な奴らがいるだと?冗談じゃない。
嫉妬で狂いそうになって頭を抱えたまま蹲ってしまった私に目の前でオロオロする気配。しかし余計なことを口走ってしまいそうで顔を上げられない。
「…流河さん怒ってる?」
「はい」
「…ッ、勝手に高校入学したことは謝るけど」
「それもですけど、そんな格好でここに来たことにも怒っています」
「…だって、私だって流河さんとキャンパスライフエンジョイしたい」
「……なんて?」
「大学入れないならって高校潜入したけど、毎日毎日大学でどんなことしてるんだろう、ただでさえ目立つだろうにあの夜神月と一緒にいたらもっと目立っちゃう、モテてたらどうしよう、ご、合コンとか行っちゃったら…って心配で授業どころじゃなくて、」
「ナマエ」
「馬鹿正直に1年目から高校入るんじゃなかった、高3とかにしとけばすぐ大学入れたのに、ううん、反対されてもこっそり受験すれば良かった、そうこうしてるうちに言い寄ってくる女がいたら…ハタチそこそこのお姉さんなんて若さと大人っぽさの最強ハイブリッドだし」
「ナマエ」
「そんなのに勝てないって思ってたのに今日オープンキャンパススタッフやるなんて、そんなの、JK選び放題じゃん、万国制服博覧会じゃん、普段スーツと色気ない私のジーパン姿しか見てないのにミニスカJKをいっぱい見るんだと思ったら居ても立っても居られなくて…」
来ちゃった、と最後の方は泣きそうになりながら早口でまくし立ててスピーチが終わるときゅっと口をひき結んで俯いた。
何がなんだかわからない。
なんだこのかわいい生き物。
この場で押し倒してめちゃくちゃにしてやりたい衝動を抑えるために血が滲むほど強く指を噛む。
夜神月を監視するために入学したまでで周りの女にも男にもなんの興味もないし合コンなんぞ行くわけがないし小便臭い女子高生に何の感情も湧かないしナマエのシンプルなジーンズ姿が色気ない?むしろ色気しかないのに?言いたいことは山ほどあったが、目の前の愛しい少女が泣き出しそうな気配を感じ、顔を上げた。
「…今日付で高校は退学してもらいます。しかし大学編入も許しません。危険過ぎます」
「えっ、二人には近付かないようにするよ」
「月くんに認知させるわけにはいかないので近付かせませんが、そうすると月くんにつきっきりの私とも離れざるを得ないでしょう。私の目の届かないところでキャンパスに解き放つなんて危険なこと出来ません」
意味がわからないというように小首を傾げる小動物に溜息を吐く。高校も大概だが、大学なんてその比じゃないくらい狼がうろついているのだ、かわいいウサギを放し飼いになど出来るわけがない。大事に大事に檻に閉じ込めていたというのに逃げ出そうというのなら鎖で繋いでおくしかないのか?
物騒なことを考えながら、今日のところは帰りなさい、絶対寄り道せずに真っ直ぐに、と言い渡す。
しょんぼりして立ち上がった彼女を呼び止める。
「ああ、その服は脱がずに私が帰るまで待っていてください」
「? なん」
「なんでもです。良いですか、絶対ですよ。絶対着替えてはいけません」
すぐに帰るので、と言い聞かせれば、頭に疑問符をたくさん浮かべたまま頷いた。
せっかくの制服ウサギ、どうせ最後なら美味しく頂かないわけにはいかないでしょう。
生まれて初めて見た彼女の制服姿に興奮しながら、据え膳のために早退すべく、勝手に荷物をまとめると名札を外してテーブルに置き、さっさと大学を後にした。
計算ミスってさゆちゃん高一になってますが本当はこの時系列だと中3ですよね。
あとから気付きましたが、この話だけこの設定でお願いします。
ナマエはLの9個下です。(粧裕の1個上)
今迄なんの不自由なくこのホテルの貸し切ったワンフロアで過ごしていたはずの彼女が、こっそり外出するようになった。私がそれに気付かないはずがないし、私が気付いているということもわかっているだろう。
けれど、どこへ行くとも告げず、毎日のようにふらりとどこかへ出掛けていく。
どこへ行っているのか調べるなんて簡単だが、彼女の口から言って欲しくて見て見ぬふりをしたまま今日も大学へと向かう。夜神月に正体を明かして共にキャンパスライフを過ごしてしばらく経った。
「私はこういうの向いていないんですが」
「だから無理して一緒にやらなくてもいいって言ったろ」
「月くんと一緒にいたいので」
「誤解されるからそれあんまり人前で言わないでくれ」
今日はオープンキャンパスデー。
去年まで受験生だった1年生達は現役受験生向けのお悩み相談コーナーに座っていた。
勿論有志のボランティアなのだが、この志高い好青年、夜神月は積極的にボランティア志望し、トップの成績で入った一年生のやる気に感激した職員達に「是非流河くんも一緒に」と推されてしまったのだ。こんな人前で愛想よく話す仕事を流河が請け負うはずがない、しばし流河から離れられるチャンス、そんな考えが透けて見えるようで負けず嫌いな私は二つ返事で引き受けた。
大学生に似つかわしくない可愛らしい手書きの名札(流河旱樹 法学部一年 今年度入試トップ☆全教科満点☆と書いてある)を付けいつもの座り方で椅子に収まって爪を噛んでいるためか、時たま来る受験生達はドン引きの顔で遠巻きに通り過ぎると他の朗らかな印象の学生の元へ話しかけに行ってしまう。
自分の隣にいたはずの夜神月は本人の端正な顔立ち、爽やかな見た目、柔らかな物腰、☆全教科満点☆の名札効果もあってあっという間に女子高生に囲まれて広めのテーブルへと移動していった。楽しそうに盛り上がるそのテーブルを部屋の隅でひとりぼっちで眺めていれば、ひらりと制服のプリーツスカートが視界に入り込んできた。そちらへゆっくりと視線をやって見上げて顔を上げた私は驚愕のあまり目を剥き出した。
「こんにちは、ええと、『りゅうがひでき』…さん?」
質問いいですか?などとはにかみながら目を合わせてくる目の前の女子高生は、髪こそ黒いものの顔立ちは日本人には程遠い欧米白人で、綺麗な緑色の瞳を悪戯っぽく歪めた。
思わずガタッと立ち上がりかけた私と反対に、すっと椅子に座って「まだ受験は先なんですが…」などと言い出す彼女に顔をずいと近付ける。
「何してるんですか」
「? 受験勉強の相談に」
「…貴女、オックスフォードもスタンフォードも
「天下の東応大学になんて言い方」
日本の警察キャリアになるにはここが一番だと思うんですよなどと抜け抜けとのたまう彼女をじろじろ見ながら「警察キャリアになりたかったとは知りませんでした」と言えば「まだ将来のことは考え中なんですけどね」なんて抜かす。
「敬語も新鮮で良いですね、何年振りでしょうか」
「えぇ?初めましてですよね?」
「…なるほど、わかりました。初めまして。それで?その制服はどうしたんです」
「ぴちぴちのJK1年生なのでまだ制服に着られてる感はあるかもしれませんね」
「そうではなく。…夜神粧裕と同じ学校でしょう」
「ああ、夜神さんとは同級生です。クラスも違うし話したことはまだないですけど」
「どういうつもりですか」
私の邪魔をするつもりですか、という意味を込めた低音にようやく飄々とした表情を崩した彼女はだって、と唇を尖らせた。
「竜ざ、じゃない流河さんばっかりキャンパスライフをエンジョイしててずるいから…本当は同じ学年に入りたかったけど入試の時に反対したじゃん」
「当たり前でしょう。貴女を必要以上に外に晒す危険は」
「もう何回も聞いた!あの人に認知されたら困るんでしょ」
あの人、と言いながらちらりと目線を飛ばした先では相変わらずJKに囲まれてキャッキャしている夜神月の背中が見える。こちらに背を向けているのでナマエのことは見えていないだろう。
向こうの話も聞こえないくらい距離があいているが念のため声を落として話を続ける。
「そうです。彼が疑わしい限り、ナマエの存在を知られるわけにはいきません」
「だから夜神粧裕の学校に入ったけど接触はしてないよ。赤毛は目立つから黒髪ウィッグにしてるし。顔は仕方ないからハーフってことにしてるけど」
「黒いカラコンくらいしたらどうですか、そんな綺麗な眼をしていたらどんな男だって吸い込まれます」
「買い被りすぎ」
呆れたように溜息を吐く彼女の瞳を覗き込む。全然買い被りすぎなんかじゃない。こんな綺麗な瞳で見つめられて微笑まれてみろ、惚れない男がいるだろうか。ましてやサルのような性欲の時期だ。そんな男どもがうじゃうじゃいる空間にこんな劣情を誘う短いスカートで通っていたというのか?テーブルの下に伸びる白く眩しい太ももに目眩を覚える。部屋ではいつもお揃いのジーンズを履いているからこの程よい肉感を目にするのは情事の時だけだというのに。タダで常時見放題な奴らがいるだと?冗談じゃない。
嫉妬で狂いそうになって頭を抱えたまま蹲ってしまった私に目の前でオロオロする気配。しかし余計なことを口走ってしまいそうで顔を上げられない。
「…流河さん怒ってる?」
「はい」
「…ッ、勝手に高校入学したことは謝るけど」
「それもですけど、そんな格好でここに来たことにも怒っています」
「…だって、私だって流河さんとキャンパスライフエンジョイしたい」
「……なんて?」
「大学入れないならって高校潜入したけど、毎日毎日大学でどんなことしてるんだろう、ただでさえ目立つだろうにあの夜神月と一緒にいたらもっと目立っちゃう、モテてたらどうしよう、ご、合コンとか行っちゃったら…って心配で授業どころじゃなくて、」
「ナマエ」
「馬鹿正直に1年目から高校入るんじゃなかった、高3とかにしとけばすぐ大学入れたのに、ううん、反対されてもこっそり受験すれば良かった、そうこうしてるうちに言い寄ってくる女がいたら…ハタチそこそこのお姉さんなんて若さと大人っぽさの最強ハイブリッドだし」
「ナマエ」
「そんなのに勝てないって思ってたのに今日オープンキャンパススタッフやるなんて、そんなの、JK選び放題じゃん、万国制服博覧会じゃん、普段スーツと色気ない私のジーパン姿しか見てないのにミニスカJKをいっぱい見るんだと思ったら居ても立っても居られなくて…」
来ちゃった、と最後の方は泣きそうになりながら早口でまくし立ててスピーチが終わるときゅっと口をひき結んで俯いた。
何がなんだかわからない。
なんだこのかわいい生き物。
この場で押し倒してめちゃくちゃにしてやりたい衝動を抑えるために血が滲むほど強く指を噛む。
夜神月を監視するために入学したまでで周りの女にも男にもなんの興味もないし合コンなんぞ行くわけがないし小便臭い女子高生に何の感情も湧かないしナマエのシンプルなジーンズ姿が色気ない?むしろ色気しかないのに?言いたいことは山ほどあったが、目の前の愛しい少女が泣き出しそうな気配を感じ、顔を上げた。
「…今日付で高校は退学してもらいます。しかし大学編入も許しません。危険過ぎます」
「えっ、二人には近付かないようにするよ」
「月くんに認知させるわけにはいかないので近付かせませんが、そうすると月くんにつきっきりの私とも離れざるを得ないでしょう。私の目の届かないところでキャンパスに解き放つなんて危険なこと出来ません」
意味がわからないというように小首を傾げる小動物に溜息を吐く。高校も大概だが、大学なんてその比じゃないくらい狼がうろついているのだ、かわいいウサギを放し飼いになど出来るわけがない。大事に大事に檻に閉じ込めていたというのに逃げ出そうというのなら鎖で繋いでおくしかないのか?
物騒なことを考えながら、今日のところは帰りなさい、絶対寄り道せずに真っ直ぐに、と言い渡す。
しょんぼりして立ち上がった彼女を呼び止める。
「ああ、その服は脱がずに私が帰るまで待っていてください」
「? なん」
「なんでもです。良いですか、絶対ですよ。絶対着替えてはいけません」
すぐに帰るので、と言い聞かせれば、頭に疑問符をたくさん浮かべたまま頷いた。
せっかくの制服ウサギ、どうせ最後なら美味しく頂かないわけにはいかないでしょう。
生まれて初めて見た彼女の制服姿に興奮しながら、据え膳のために早退すべく、勝手に荷物をまとめると名札を外してテーブルに置き、さっさと大学を後にした。
計算ミスってさゆちゃん高一になってますが本当はこの時系列だと中3ですよね。
あとから気付きましたが、この話だけこの設定でお願いします。
ナマエはLの9個下です。(粧裕の1個上)