短編
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「…いーちっ!ハッピーニューイヤー!いぇーい!」
ぴょんぴょん跳ねながら、隣の鮮やかなオレンジが嬉しそうに笑う。
今年も可愛い彼女とラブラブ一緒にいれますようにーなんて叫んでいて、ここで「もうキヨスミったら!」とかって顔を赤らめたりするべきなんだろうけど、名指ししないところが何か怪しい、なんて思ってしまうのは私が可愛くないからで、
「ねー、年明けたのにノンリアクションなわけ?」
不満そうに覗き込んでくる彼に頬が緩みそうになるのを堪えるのも私が可愛くないからで、
「寒い」
「え、それは気温が?それとも俺が?」
「…両方?」
「うっわ、傷付いちゃう☆」
…私は可愛くないのである。
折角カウントダウンも兼ねた初詣に来たのに、大量の人の波に押され、無理な体勢で踏ん張ったせいか、鼻緒が切れました。(縁起悪!)
なので、人ごみから離れた、石段に腰掛けて、キヨの買ってきた甘酒を握り締めているわけですが、(着物なんか着てこなきゃ良かった、ほんと)(寒いだけだ!)まぁこんだけ人がいれば可愛い子なんてごろごろいるわけで、さっきからキヨの目線が目敏く動きまくってて、そりゃあ機嫌悪くなって可愛くもなくなるよな、(鼻緒も切れるし!)と自分を慰める。ああ、空しい!
「おみくじ引きに行こうよー」
「…歩けないんですけど」
「おんぶしてあげる」
「いらない」
「そう言わず♡」
「いいです間に合ってます」
「あははやだなぁ照れちゃって☆」
いや、照れもあるけど、この人込みでおんぶなんてしたら邪魔でしょ、うん。
私が石段から動く意志が無いのを悟ったのか、まぁひいてもひかなくても大吉だしー、と隣に座ってけらけらと笑った。(引かなかったら大吉じゃないだろ)
隣の温度がきもちいい、あったかい。ふあ、と欠伸を噛み殺し、キヨの肩に頭を預ければ、あら珍しい、なんて言ってくるもんだから頭を起こした。(何よ甘い気持ちになる時だってあるんだから)
「ねー」
「んー?」
「好きだよー」
「ぶほっ」
思いっきり甘酒を噴いた私に汚ねーとかってゲラゲラ笑うのは彼氏としてどうかと思います、たしかに綺麗じゃないけど、でも、ねえ!
「バカキヨスミ」
「バカでいいよー」
「ふーんだ」
「今年も俺のラッキーで守ってあげるからね☆」
「鼻緒切れたんですけど」
「それは去年の話でしょ」
そうだけど…でもほんの五分前の話だもん、そう言ってまた頭を傾けたあたしを今度は茶化したりせずにゆっくりと髪を撫でてくれて、私はこのキヨの撫で方がスキなんだ、あ、また欠伸が、キヨの手がきもちいい、あったかい、
「ちょっとお休みオヒメサマ」
耳元で囁かれて、ぬくもりの中で、やわらかな暗闇に、落ちていくのがわかった。(キヨの手が気持ち良いのと、除夜の鐘が規則的なのがいけないんだ)(別に、夜更かしができないわけじゃ、ない、も、の)
愛と、夢と、うたた寝と。 (ちょっと素敵な8のお題【liberalism】)
ぴょんぴょん跳ねながら、隣の鮮やかなオレンジが嬉しそうに笑う。
今年も可愛い彼女とラブラブ一緒にいれますようにーなんて叫んでいて、ここで「もうキヨスミったら!」とかって顔を赤らめたりするべきなんだろうけど、名指ししないところが何か怪しい、なんて思ってしまうのは私が可愛くないからで、
「ねー、年明けたのにノンリアクションなわけ?」
不満そうに覗き込んでくる彼に頬が緩みそうになるのを堪えるのも私が可愛くないからで、
「寒い」
「え、それは気温が?それとも俺が?」
「…両方?」
「うっわ、傷付いちゃう☆」
…私は可愛くないのである。
折角カウントダウンも兼ねた初詣に来たのに、大量の人の波に押され、無理な体勢で踏ん張ったせいか、鼻緒が切れました。(縁起悪!)
なので、人ごみから離れた、石段に腰掛けて、キヨの買ってきた甘酒を握り締めているわけですが、(着物なんか着てこなきゃ良かった、ほんと)(寒いだけだ!)まぁこんだけ人がいれば可愛い子なんてごろごろいるわけで、さっきからキヨの目線が目敏く動きまくってて、そりゃあ機嫌悪くなって可愛くもなくなるよな、(鼻緒も切れるし!)と自分を慰める。ああ、空しい!
「おみくじ引きに行こうよー」
「…歩けないんですけど」
「おんぶしてあげる」
「いらない」
「そう言わず♡」
「いいです間に合ってます」
「あははやだなぁ照れちゃって☆」
いや、照れもあるけど、この人込みでおんぶなんてしたら邪魔でしょ、うん。
私が石段から動く意志が無いのを悟ったのか、まぁひいてもひかなくても大吉だしー、と隣に座ってけらけらと笑った。(引かなかったら大吉じゃないだろ)
隣の温度がきもちいい、あったかい。ふあ、と欠伸を噛み殺し、キヨの肩に頭を預ければ、あら珍しい、なんて言ってくるもんだから頭を起こした。(何よ甘い気持ちになる時だってあるんだから)
「ねー」
「んー?」
「好きだよー」
「ぶほっ」
思いっきり甘酒を噴いた私に汚ねーとかってゲラゲラ笑うのは彼氏としてどうかと思います、たしかに綺麗じゃないけど、でも、ねえ!
「バカキヨスミ」
「バカでいいよー」
「ふーんだ」
「今年も俺のラッキーで守ってあげるからね☆」
「鼻緒切れたんですけど」
「それは去年の話でしょ」
そうだけど…でもほんの五分前の話だもん、そう言ってまた頭を傾けたあたしを今度は茶化したりせずにゆっくりと髪を撫でてくれて、私はこのキヨの撫で方がスキなんだ、あ、また欠伸が、キヨの手がきもちいい、あったかい、
「ちょっとお休みオヒメサマ」
耳元で囁かれて、ぬくもりの中で、やわらかな暗闇に、落ちていくのがわかった。(キヨの手が気持ち良いのと、除夜の鐘が規則的なのがいけないんだ)(別に、夜更かしができないわけじゃ、ない、も、の)
愛と、夢と、うたた寝と。 (ちょっと素敵な8のお題【liberalism】)