「わぁー何食べよう！」
「９時以降に食べたら太んぞ…ってぇ！」


思いっきり脛を蹴っ飛ばせばでっかい声をあげて周囲の注目を集める宍戸。
大晦日くらいなんかいいこと言えないのかバカ。
口を尖らせマフラーに顔を埋めて、ケータイをいじる。
いいもんいいもん、もう宍戸なんか知らない、他の友達呼んじゃうもんね、 誰が良いかな忍足かな向日かな、


「ジローは寝てるかな、いや、起きてるかな大晦日だし…」


わざと声に出してみたのに反応が無くて、蹴った事怒ってるのかと思って顔を上げたら、


「、え」


いない、うそ、え、はぐれた？！


この人だかりの中からあんな目立たない格好したたいしてでかくもない男見つけらんない…！
泣きそうになっていると、後ろから肩を掴まれた。


「きゃ、」
「おい、なに突っ立ってんだよ」


いた、良かった、いた…
思わずぎゅっとしがみつけば、な、なんだよ、とか焦った声がして（何どもってんの激ダサだね！）ぎこちない手付きで頭撫でてくれたりして、


「おら」
「へ？」


手に何か握らされて、見れば、これって、


「飴？」
「ん」


宍戸を見上げれば、フィと視線をそらされて、手の中の飴は可愛いハート型で、ねぇこれって注文してから形作ってくれるやつだよね、ねぇ宍戸、耳が赤いのは、寒いからだけじゃないよね、ねぇどうしよう、もう、ほんとにいとしいよ、

Oh My Darling!
飴細工(ちょっと素敵な8のお題【liberalism】)