短編
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「日吉」
「…先輩、」
「これ、お母さんが貰ったんだって、一緒に食べない?」
静かに中庭に佇んでいた君に、静かに声をかける
前、好きだと言っていた老舗の御煎餅屋の包みを見せ、不自然じゃないように笑いかけて
「どれが好き?」
「…海苔のついているやつ」
はい、と渡した時に触れた指先は冷たくて
思わず涙が溢れそうになる
「美味しいね」
「…そうですね」
笑って欲しい
それが無理なら
少なくとも切ない顔だけはしないで
負けたのは自分のせいだと責めないで
そう言う事が出来ず
言葉を煎餅と共に飲み込んだ
086 mesto (メスト * 哀しみに沈んで)(日吉 * 庭球)(関東大会後)
「…先輩、」
「これ、お母さんが貰ったんだって、一緒に食べない?」
静かに中庭に佇んでいた君に、静かに声をかける
前、好きだと言っていた老舗の御煎餅屋の包みを見せ、不自然じゃないように笑いかけて
「どれが好き?」
「…海苔のついているやつ」
はい、と渡した時に触れた指先は冷たくて
思わず涙が溢れそうになる
「美味しいね」
「…そうですね」
笑って欲しい
それが無理なら
少なくとも切ない顔だけはしないで
負けたのは自分のせいだと責めないで
そう言う事が出来ず
言葉を煎餅と共に飲み込んだ
086 mesto (メスト * 哀しみに沈んで)(日吉 * 庭球)(関東大会後)