短編
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あぁ
どうしてこの人は
授業中
もう日陰なら涼しい季節
いつのまにか夏休みも終わっていて
一学期よりぐんと大人びた横顔
私がさりげなく眺めてるその横顔
その横顔が見てるのは校庭
校庭で体育をしている あの子
ねぇ 知ってる?
あの子、彼氏いるんだよ?
ねぇ むくわれない恋はしないで
なんて
私が言えることじゃない
私の恋もきっとむくわれないから
「宍戸、もうすぐ当たるよ」
「あ?あぁ…」
名残惜しそうに 窓から目を離し
黒板を見ながら 教科書をチェック
それでもまだチラ見して
「…今、そこじゃないよ」
「え?マジ?何ページ?」
ねぇ 声だけこっち向いてるよ
目は外向いてるよ ねぇ 知ってる?
「その子、彼氏いるよ」
「え?」
ハッとした時にはもう遅くて
宍戸にガン見されてて
私が欲しかったのは
こんな視線じゃないのに
「…知ってる」
「!…なんで そんな むくわれないよ やめときなよ」
ごめん
止まらない
涙をこらえるのに必死で
口は勝手に心の中の想いを
「…苗字」
「泥沼とか嫌じゃん?てかほら他にもいるし女の子なんて」
「苗字、」
ちょっと強めの
でも先生には届かないくらいの声で止められる
「なんでそんなコト俺に言うんだ?」
「…っ」
「…あんな、俺、別にあいつに惚れてたりしてねぇよ」
「え…?」
じゃあ なんで あんなに…
「あー…忍足、が好きなんだって、よ」
「…は?」
「んで、むくわれへんのはわかっとるけど諦めきれんねんとか言って最近ウザくてよ」
「うじうじしてるの?」
「つーか何言っても自嘲的?」
なんだ そうか 違うのか
ほっとして はっとした
私 墓穴掘らなかったよね?!
おそるおそる宍戸を見る
まだ 私をじっと見ていて
「…お前さ」
「な 何?」
「お前も外見てるだろ?」
一気に心拍数が上がる
見てない 見てないよ
違うんだ 外じゃなくて
外じゃなくて そのちょっと手前
となりの 席の そう あなたを
「誰?」
「…」
「いるんだろ、好きな奴」
「…うん」
ちら と見て 胸がつぶれそう
なんでそんな顔 やめて そんな切ない顔
もしかして って 期待しちゃうから
「かっこいい?」
「うん すごく」
「即答かよ…チッ、ダセェな…忍足の気持ち、わかっちまうなんて」
何 それ
むくわれないけどあきらめられない、ってやつ?
なんで?
「となりの席の、かっこいい人が、好きだよ」
「え?ああ山田?」
「違!!右じゃなくて左隣!」
あ
バカ 自分でやっぱり墓穴掘った
「左って…俺?」
「…あっ…えっと…」
「…前言撤回。忍足の気持ちなんかわかんねぇ」
「えぇ?!」
「…むくわれたから」
にっと笑う 私に
私だけに向けられた笑み
どうしよう
今 授業中だよ
うれしくて 泣いちゃわないように 歯を食いしばって
でも ちゃんと笑って
うなづくことしかできなかった
どうしてこの人は
授業中
もう日陰なら涼しい季節
いつのまにか夏休みも終わっていて
一学期よりぐんと大人びた横顔
私がさりげなく眺めてるその横顔
その横顔が見てるのは校庭
校庭で体育をしている あの子
ねぇ 知ってる?
あの子、彼氏いるんだよ?
ねぇ むくわれない恋はしないで
なんて
私が言えることじゃない
私の恋もきっとむくわれないから
「宍戸、もうすぐ当たるよ」
「あ?あぁ…」
名残惜しそうに 窓から目を離し
黒板を見ながら 教科書をチェック
それでもまだチラ見して
「…今、そこじゃないよ」
「え?マジ?何ページ?」
ねぇ 声だけこっち向いてるよ
目は外向いてるよ ねぇ 知ってる?
「その子、彼氏いるよ」
「え?」
ハッとした時にはもう遅くて
宍戸にガン見されてて
私が欲しかったのは
こんな視線じゃないのに
「…知ってる」
「!…なんで そんな むくわれないよ やめときなよ」
ごめん
止まらない
涙をこらえるのに必死で
口は勝手に心の中の想いを
「…苗字」
「泥沼とか嫌じゃん?てかほら他にもいるし女の子なんて」
「苗字、」
ちょっと強めの
でも先生には届かないくらいの声で止められる
「なんでそんなコト俺に言うんだ?」
「…っ」
「…あんな、俺、別にあいつに惚れてたりしてねぇよ」
「え…?」
じゃあ なんで あんなに…
「あー…忍足、が好きなんだって、よ」
「…は?」
「んで、むくわれへんのはわかっとるけど諦めきれんねんとか言って最近ウザくてよ」
「うじうじしてるの?」
「つーか何言っても自嘲的?」
なんだ そうか 違うのか
ほっとして はっとした
私 墓穴掘らなかったよね?!
おそるおそる宍戸を見る
まだ 私をじっと見ていて
「…お前さ」
「な 何?」
「お前も外見てるだろ?」
一気に心拍数が上がる
見てない 見てないよ
違うんだ 外じゃなくて
外じゃなくて そのちょっと手前
となりの 席の そう あなたを
「誰?」
「…」
「いるんだろ、好きな奴」
「…うん」
ちら と見て 胸がつぶれそう
なんでそんな顔 やめて そんな切ない顔
もしかして って 期待しちゃうから
「かっこいい?」
「うん すごく」
「即答かよ…チッ、ダセェな…忍足の気持ち、わかっちまうなんて」
何 それ
むくわれないけどあきらめられない、ってやつ?
なんで?
「となりの席の、かっこいい人が、好きだよ」
「え?ああ山田?」
「違!!右じゃなくて左隣!」
あ
バカ 自分でやっぱり墓穴掘った
「左って…俺?」
「…あっ…えっと…」
「…前言撤回。忍足の気持ちなんかわかんねぇ」
「えぇ?!」
「…むくわれたから」
にっと笑う 私に
私だけに向けられた笑み
どうしよう
今 授業中だよ
うれしくて 泣いちゃわないように 歯を食いしばって
でも ちゃんと笑って
うなづくことしかできなかった