短編
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「わっ」
ドンっとぶつかる音に お決まりの短い悲鳴
昼休み 人通りの多い廊下で
ちゃんと前を向いていたつもりだったのに人にぶつかった
「悪い」
「いえっすみませんでしたっ」
正面衝突してしまったそいつにあやまれば
そいつも顔をあげて謝ってくる
「「あ」」
しきんきょり
じゃなくて こいつ、こいつは、
「あっ、えっえっと、先日はありがと、ございまし、たっ!」
「…あ、ああ、」
苗字名前
前でんしゃでチカンされてた女
俺が助けて、以来しゃべってなかったけど
ぶつかったままの距離で とてもちかくて
耐え切れなかったのか 数歩下がって赤くなって目をそらしてる
おれもきっと赤い 激ダサだなおれ
「はーい、今日は終了!」
元気の良い声にあわてて顔をそっちへ向ければ がしゃん!といきおい良く購買のシャッターがしめられた
しゅう、りょう?え?
手にしたお金を見、しまってしまった購買を見、ためいきをつく
せっかくパン買いにきたのに目の前でしまった
売切れたら容赦なくしまってしまう うちの購買
しょうがない、学食にでも行くか 混んでるだろうな
「あの、これっ」
「あ?」
おしつけられたビニール
良く見てみればポップなフォントで おいしいチーズサンド! と書かれている
「あ、たしに、ぶつかって、買えなかった、から、どうぞ、」
噛み噛みで、顔真っ赤にして言うこいつがおもしろくて
でもってチーズサンドわたされたのにびっくりして
知ってたのか?おれの好物
「あ、いやだったらほかにもある、よ」
そういってうでの中のパンを見せてくれる
クリームコロネ、アップルパイ、アンパン
あまいのばっか だからくれたのがチーズサンドだったのか
おれが甘党には見えないもんな
ちょっと落胆したけど お言葉に甘えてもらっておくことにする
「サンキュ苗字」
「っ?!」
さりげなく呼んでみればひどくおどろいた顔をして
そりゃそーだ 俺が知ってるわけないもんな 名前
あんまりガン見されるもんで 失敗したかとくやみながら背を向けきょうしつにむかおうと一歩ふみだした
そのとき
「こっちこそありがとう宍戸くん!」
!?
ふりむいた時には もう あいつはいなかった
何で知ってるんだ 名前
俺があいつの名前を知ってる理由と あいつがおれの名前を知ってる理由が
同じでありますように
おもわずぎゅっとてをにぎったら チーズサンドがへんなかたちに歪んだ