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紅の王子様
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「雨なんか大っ嫌い…親父も母ちゃんも…もう…」
そう言った後の記憶はない。気付いたら自分の部屋に居た。
制服を着たままベッドに横になっていた。どうやって帰ってきたっけ…?
「起きたか?お前いきなり気を失うからびっくりした」
起き上がるとそこには跡部が居た。びしょ濡れで、タオルで必死に髪の毛を拭いてた。
「…私どうやって帰ってきたっけ」
「馬鹿、俺様がわざわざ運んでやったんだろうが」
「あ、そうなんだ…ありがと…」
今まで平和に学校生活を送ってきて忘れていた過去の恐怖をいきなり思い出してびっくりしたんだろう。
意外と儚い精神はそれに耐えられず、気を失うという結果を生んでしまったようだ。
「お前、昔何があったんだよ。」
「え、何が…?」
「聞いちゃいけねえことなのかもしれねえが、このままじゃお前爆発するぞ。」
自分は少しだけ話をした。まだ跡部を完全に信用しきっているわけではない。
雨にまつわる話を少しだけ。…それでも、自分にしたら結構重い過去で、話すのも辛かったりするのだ。
だから、話しながら泣くことだってある。
「…って感じのことがあったの。それだけ…」
「お前…ッ」
いきなり跡部に抱きしめられた。かなり強い力で…
「なっちょっ跡部っ…」
「お前…そんな辛いことがあってどうして何も言わねえんだ!」
「だ、だって…」
「ちゃんと誰かを頼れよ…」
「……」
跡部が涙声で話しているのを聞いて、ふと兄貴を思い出した。
そういえば昔兄貴にも同じことを言われたなあと、跡部を前にして思ってしまった。(ごめん跡部…)
「…俺はお前が大切なんだよ」
「え…」
「すっげえ大事なんだよお前のことが…」
跡部の指先が肩に食い込む。
苦しい。
「俺を頼れよ、俺は絶対お前を守りきる。約束するから、頼むから…」
跡部が泣きそうになりながら頼んできたので、自分は承諾した。
あんまり人に頼るのは好きではない。いつ裏切られるか怖いから。
でも、それでも跡部は、大丈夫な気がした。
これからまた、跡部との関係が少し動くような気がする。
外はいつの間にか晴れ上がり、次の日は気持ちのいい快晴となった。