短編
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「TRICK OR TRAET?!」
「なんでそんな嬉しそうなの?」
裕太は私の彼氏で
私は裕太の彼女
ひとつ歳は離れているけれど
タメ口の仲
今日はハロウィン。
昨日が日曜ってコトもあってか、みんなお菓子の準備が良い。
「はい、かぼちゃのパイ!」
「うわぁ…っ!!」
裕太は見た目に似合わず甘党で
いや、合ってるか、パッと見はカッコいいけれど実は可愛いもの
校庭の並木の下のレンガ通りのベンチで嬉しそうにパイを見つめる。
作ってよかった…
「超美味そう。名前天才。」
「またまたー」
その言葉がどんなに嬉しいか。
さぁ食べて、という前に悲劇は起こった。
「危ないッ!!」
ヒュッと風の切れる音
空を切って鈍い音とともになにかが舞って
「「…あ」」
飛んできたのは野球部のボール
裕太の手をかすり、ベンチの背に当たり、上へホップしてころりと転がった
舞ったのはボールだけでなく私の作ったパイも宙に浮き半回転して地面に落ちた。
「…っ!!おいコラ!!」
「裕太っ!」
怒りに顔を歪めて立ち上がった裕太を慌てて止める
「いいから!」
「何がいいんだよ?!」
そりゃ なにもよくないよ
あんなに頑張って作ったのに
まだ一口も食べてもらってないのに
本当は今すぐ走ってって野球部をひっぱたいてやりたい。
でも、わざとじゃないし偶然だからそれはしょうがないことで
今更怒ったって、もうどうしようもないわけで
もうどうでにもならないことで喧嘩とかして欲しくなかった
そんな裕太を見たくて作ってきたんじゃないから
ぽろっと落ちた涙
それを見て怒っていた裕太の顔がぎょっと引きつった
ボールを取りに来た野球部の知らない男の子達もぎょっとして立ちすくんだ
「あ…」
「すいませ…」
「どっか当たりましたか…?」
一人の男の子が地面にくっついた無様なパイを見つけ、他の子を小突いた
あっ と気まずい雰囲気が流れ、私は大丈夫だからと笑顔で言ってあげたかったのに涙腺が言うことを聞かなくて顔を上げれなかった
「…いいから。はい、ボール。今度は気をつけて。」
裕太がボールを半ば押し付けるように渡し、早く立ち去れと言わんばかりの声色で野球部員を見もせずに呟いた。
申し訳なさそうにバツが悪そうにすごすごと野球部の子達は戻っていった。
「ん」
差し出されたハンカチ。
隅っこに小さく熊のアップリケがしてあり、「ゆうた」と刺繍してあった。
「…ぷっ」
「! 笑うなよ!」
こんな可愛いハンカチ使ってるんだ。いつのだろう。幼稚園か小学校低学年くらいから使ってるんだろう
ちょっとやわらかくなりすぎた感じの布が、目尻に当たると、裕太の匂いが微かにして
自然と笑みがこぼれた
「あーあ、残念!」
「マジで。あいつら殴ってやればよかった」
「先輩だったかもよー?」
「関係ない」
足元の枯葉のついたパイを拾い、つぶれた箱をちょっと直してからふたをした。
あーあ
こんなことならちょっと摘み食いしちゃえば良かった。
「名前」
「ん?」
顔を上げると瞬時に塞がれた唇
なにも食べていないのに微かに甘くて
「…なにすんの」
「お菓子食べれなかったから悪戯。」
ぷいっとそっぽを向いてしまったけれどそれでも見える耳はほんのり赤くて
照れるならそんなことしなきゃいいのに 本当に可愛いやつ
「明日、また作ってくる?」
「えー…めんどい…」
「んな…っ! お菓子くれなきゃ悪戯するぞ?」
「どうぞご勝手に」
「…襲うぞ」
「…飛躍しすぎ。」
TRICK AND TREAT!!
「なんでそんな嬉しそうなの?」
裕太は私の彼氏で
私は裕太の彼女
ひとつ歳は離れているけれど
タメ口の仲
今日はハロウィン。
昨日が日曜ってコトもあってか、みんなお菓子の準備が良い。
「はい、かぼちゃのパイ!」
「うわぁ…っ!!」
裕太は見た目に似合わず甘党で
いや、合ってるか、パッと見はカッコいいけれど実は可愛いもの
校庭の並木の下のレンガ通りのベンチで嬉しそうにパイを見つめる。
作ってよかった…
「超美味そう。名前天才。」
「またまたー」
その言葉がどんなに嬉しいか。
さぁ食べて、という前に悲劇は起こった。
「危ないッ!!」
ヒュッと風の切れる音
空を切って鈍い音とともになにかが舞って
「「…あ」」
飛んできたのは野球部のボール
裕太の手をかすり、ベンチの背に当たり、上へホップしてころりと転がった
舞ったのはボールだけでなく私の作ったパイも宙に浮き半回転して地面に落ちた。
「…っ!!おいコラ!!」
「裕太っ!」
怒りに顔を歪めて立ち上がった裕太を慌てて止める
「いいから!」
「何がいいんだよ?!」
そりゃ なにもよくないよ
あんなに頑張って作ったのに
まだ一口も食べてもらってないのに
本当は今すぐ走ってって野球部をひっぱたいてやりたい。
でも、わざとじゃないし偶然だからそれはしょうがないことで
今更怒ったって、もうどうしようもないわけで
もうどうでにもならないことで喧嘩とかして欲しくなかった
そんな裕太を見たくて作ってきたんじゃないから
ぽろっと落ちた涙
それを見て怒っていた裕太の顔がぎょっと引きつった
ボールを取りに来た野球部の知らない男の子達もぎょっとして立ちすくんだ
「あ…」
「すいませ…」
「どっか当たりましたか…?」
一人の男の子が地面にくっついた無様なパイを見つけ、他の子を小突いた
あっ と気まずい雰囲気が流れ、私は大丈夫だからと笑顔で言ってあげたかったのに涙腺が言うことを聞かなくて顔を上げれなかった
「…いいから。はい、ボール。今度は気をつけて。」
裕太がボールを半ば押し付けるように渡し、早く立ち去れと言わんばかりの声色で野球部員を見もせずに呟いた。
申し訳なさそうにバツが悪そうにすごすごと野球部の子達は戻っていった。
「ん」
差し出されたハンカチ。
隅っこに小さく熊のアップリケがしてあり、「ゆうた」と刺繍してあった。
「…ぷっ」
「! 笑うなよ!」
こんな可愛いハンカチ使ってるんだ。いつのだろう。幼稚園か小学校低学年くらいから使ってるんだろう
ちょっとやわらかくなりすぎた感じの布が、目尻に当たると、裕太の匂いが微かにして
自然と笑みがこぼれた
「あーあ、残念!」
「マジで。あいつら殴ってやればよかった」
「先輩だったかもよー?」
「関係ない」
足元の枯葉のついたパイを拾い、つぶれた箱をちょっと直してからふたをした。
あーあ
こんなことならちょっと摘み食いしちゃえば良かった。
「名前」
「ん?」
顔を上げると瞬時に塞がれた唇
なにも食べていないのに微かに甘くて
「…なにすんの」
「お菓子食べれなかったから悪戯。」
ぷいっとそっぽを向いてしまったけれどそれでも見える耳はほんのり赤くて
照れるならそんなことしなきゃいいのに 本当に可愛いやつ
「明日、また作ってくる?」
「えー…めんどい…」
「んな…っ! お菓子くれなきゃ悪戯するぞ?」
「どうぞご勝手に」
「…襲うぞ」
「…飛躍しすぎ。」
TRICK AND TREAT!!