短編
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「なーにしてんの」
軽く声をかけただけのつもりだったのに、ぎょっとしてしまった
だって彼女があまりにも哀しそうだったから
「え、どしたの」
「くもってるんだもん」
放課後、誰もいない教室で
ひとり、窓枠に腰掛けて外を眺めていた君
忘れ物した俺は部室で着替えてから教室に戻ってきて
誰もいないだろうと思っていた教室には、気付かないくらい静かな小さな背中があって
でも俺には名前ちゃんレーダーがついてるから迷わずその背中に声をかけたんだ
いつもみたいな屈託のない笑顔が返ってくると思って
「…うん?」
「だーから曇ってるでしょ今日!」
「え、くもり嫌いなの?名前ちゃん」
女子の雨嫌いは稀じゃないけれど、曇りが嫌いってのは聞いた事がない
そんな哀しそうな瞳をさせるくらい威力を持っているのかこのどんよりした灰色の空は
「嫌いっていうか…ひどい」
「は?」
少しでも好意を寄せてる子に対して何たる失態
「は?」はないだろ自分
「…ひど、い?」
「今日、七夕でしょ、」
ああ、
ピンと頭の中がクリアになってく
今日は七夕 せっかく一年に一度恋人同士が会えるというのに晴れていなくちゃ再会できない
悲しむはずの織姫と彦星の為に彼女が哀しんでいたと言うのなら
ああ、なんて
(愛しいんだろう)
「大丈夫だよ」
「え?」
「雨ならともかく、曇りだし。ちゃんと逢えるよ、彦星と織姫」
「ホント?」
うん、ホント、と根拠のない事を自信満々に答えれば、嬉しそうに良かった、と笑ってくれて
そう、その顔が好きなんだ
「良かった」
本当に嬉しそうに空を見つめる君に
こんなに近くにいるのに 手を伸ばせば届くのに
何もできない自分が腹立たしい
なにがラッキー、だ こういうときに何のチャンスもきっかけも起こらないなんて
毎日会えてるのに、全く進展できてない俺は
一度彦星に怒られた方が良いんじゃないかとか、らしくもない事を思いつつ君の見つめる空を見上げた
軽く声をかけただけのつもりだったのに、ぎょっとしてしまった
だって彼女があまりにも哀しそうだったから
「え、どしたの」
「くもってるんだもん」
放課後、誰もいない教室で
ひとり、窓枠に腰掛けて外を眺めていた君
忘れ物した俺は部室で着替えてから教室に戻ってきて
誰もいないだろうと思っていた教室には、気付かないくらい静かな小さな背中があって
でも俺には名前ちゃんレーダーがついてるから迷わずその背中に声をかけたんだ
いつもみたいな屈託のない笑顔が返ってくると思って
「…うん?」
「だーから曇ってるでしょ今日!」
「え、くもり嫌いなの?名前ちゃん」
女子の雨嫌いは稀じゃないけれど、曇りが嫌いってのは聞いた事がない
そんな哀しそうな瞳をさせるくらい威力を持っているのかこのどんよりした灰色の空は
「嫌いっていうか…ひどい」
「は?」
少しでも好意を寄せてる子に対して何たる失態
「は?」はないだろ自分
「…ひど、い?」
「今日、七夕でしょ、」
ああ、
ピンと頭の中がクリアになってく
今日は七夕 せっかく一年に一度恋人同士が会えるというのに晴れていなくちゃ再会できない
悲しむはずの織姫と彦星の為に彼女が哀しんでいたと言うのなら
ああ、なんて
(愛しいんだろう)
「大丈夫だよ」
「え?」
「雨ならともかく、曇りだし。ちゃんと逢えるよ、彦星と織姫」
「ホント?」
うん、ホント、と根拠のない事を自信満々に答えれば、嬉しそうに良かった、と笑ってくれて
そう、その顔が好きなんだ
「良かった」
本当に嬉しそうに空を見つめる君に
こんなに近くにいるのに 手を伸ばせば届くのに
何もできない自分が腹立たしい
なにがラッキー、だ こういうときに何のチャンスもきっかけも起こらないなんて
毎日会えてるのに、全く進展できてない俺は
一度彦星に怒られた方が良いんじゃないかとか、らしくもない事を思いつつ君の見つめる空を見上げた