短編
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凄く綺麗だと思ったの
暖冬のせいで早咲きの桜並木、雪みたいに散り吹雪く花びらの中、柔らかい髪がゆっくりそよいで、全体的に薄い色素の世界の中、学ランだけがやけにくっきり映えて、凄く綺麗だと思ったの
だから、思わず見つめちゃって、いいなぁって、好きだなぁって、ずっと見ていたいなあって、
「…どうかした?」
「え、いや別に、こんなとこで何してるのかな~って…」
「別に何も」
会 話 が 終 了 し て し ま っ た 。
「…英二が知らない子からボタン下さいって迫られててね、すっげキョドってて」
「あはは、想像できるや」
「でもね結局あげてたよ」
第二ボタンを、と消えそうな声で言ってみたけど、不二は黙ってて、私も欲しいな~なんて!って明るく言ってみても、そう、としか返ってこなくて、チラリと不二を見れば、不二はこっちすら見てなくて、ああ終わったな、あははバイバイ私の青春、
「ねぇ」
突然かけられた声。
慌てて顔を上げたら目の前に拳が突きつけられてて、わけがわからなくて見上げたら、はい、って優しく言われて、はい、って、何?え、これ何、じゃんけん?とか混乱してたら、不二の手が私の手を掴んで、突きつけられてた拳が開いて、私の手のひらにころんと何かが落ちた。
「え、」
「…あげる」
これって、この丸くて金色のピカピカは、
「ッ…ありがとう!」
叫んで頭を下げて踵を返したのはきっと同時。
そのまま自己記録更新する勢いで走った。
「ゆっちゃん!」
校庭でわいわいやってた友達にタックル。よく転ばなかった偉いぞゆっちゃん!
「…何名前」
「見てこれ!」
抱きついたまま手に握り締めてた物を見せれば元々大きいゆっちゃんの目がもっと大きくなった。
「どしたのこれ」
「不二がくれた」
握り締め過ぎて手のひらにボタンの模様がくっきり移ってる。
三年物のそれは鈍く光って、でも手入れしてたんだなってわかるくらい綺麗で、
「何番目?」
「え?」
「何番目貰えたの?」
「あ」
舞い上がり過ぎて見てない。
口をきゅと閉じた私を見て悟ったんだろう、ゆっちゃんは優しく頭を撫でてくれた。
「名前大変!」
「なぁにじゅんじゅん」
凹んでる私の代わりにゆっちゃんが返事してくれたけど超走ってきたっぽいじゅんじゅんはぜはーぜはー言っててなかなか話し始めない。
「…どしたのじゅんじゅん」
「そ、そこで不二が、英二と話してて、さっきまでいなかったからどこ行ってたのかと思って、ふと見たら、第二ボタン、なかったの!」
残念そうに私を見て言うじゅんじゅん。
言われた事がよくわかんなくて混乱する私をよそにゆっちゃんが冷静に、他のボタンはあった?なんて聞いている。
「いや、あったと思うけど」
そう答えるじゅんじゅんに、黙って私の手のひらのボタンを見せるゆっちゃん。
私に加えじゅんじゅんも混乱した模様。
「え…これって…」
ゆっちゃんが答える前に、違う声が割り込んだ。
「名前、さっき話したかった事があるんだけどちょっといい?」
いきなり現れた不二周助にびっくりして私とじゅんじゅんは仲良く飛び上がった。
ゆっちゃんに背中を思いっきり叩かれて、うん、って答えちゃったけど、話ってなんだろ、返せとか言われても返さないから、なんて思って恐る恐る不二を見たら、にっこり微笑まれた。
ここじゃなんだから
(そう言った不二は確かに二番目のボタンがなかった)
暖冬のせいで早咲きの桜並木、雪みたいに散り吹雪く花びらの中、柔らかい髪がゆっくりそよいで、全体的に薄い色素の世界の中、学ランだけがやけにくっきり映えて、凄く綺麗だと思ったの
だから、思わず見つめちゃって、いいなぁって、好きだなぁって、ずっと見ていたいなあって、
「…どうかした?」
「え、いや別に、こんなとこで何してるのかな~って…」
「別に何も」
会 話 が 終 了 し て し ま っ た 。
「…英二が知らない子からボタン下さいって迫られててね、すっげキョドってて」
「あはは、想像できるや」
「でもね結局あげてたよ」
第二ボタンを、と消えそうな声で言ってみたけど、不二は黙ってて、私も欲しいな~なんて!って明るく言ってみても、そう、としか返ってこなくて、チラリと不二を見れば、不二はこっちすら見てなくて、ああ終わったな、あははバイバイ私の青春、
「ねぇ」
突然かけられた声。
慌てて顔を上げたら目の前に拳が突きつけられてて、わけがわからなくて見上げたら、はい、って優しく言われて、はい、って、何?え、これ何、じゃんけん?とか混乱してたら、不二の手が私の手を掴んで、突きつけられてた拳が開いて、私の手のひらにころんと何かが落ちた。
「え、」
「…あげる」
これって、この丸くて金色のピカピカは、
「ッ…ありがとう!」
叫んで頭を下げて踵を返したのはきっと同時。
そのまま自己記録更新する勢いで走った。
「ゆっちゃん!」
校庭でわいわいやってた友達にタックル。よく転ばなかった偉いぞゆっちゃん!
「…何名前」
「見てこれ!」
抱きついたまま手に握り締めてた物を見せれば元々大きいゆっちゃんの目がもっと大きくなった。
「どしたのこれ」
「不二がくれた」
握り締め過ぎて手のひらにボタンの模様がくっきり移ってる。
三年物のそれは鈍く光って、でも手入れしてたんだなってわかるくらい綺麗で、
「何番目?」
「え?」
「何番目貰えたの?」
「あ」
舞い上がり過ぎて見てない。
口をきゅと閉じた私を見て悟ったんだろう、ゆっちゃんは優しく頭を撫でてくれた。
「名前大変!」
「なぁにじゅんじゅん」
凹んでる私の代わりにゆっちゃんが返事してくれたけど超走ってきたっぽいじゅんじゅんはぜはーぜはー言っててなかなか話し始めない。
「…どしたのじゅんじゅん」
「そ、そこで不二が、英二と話してて、さっきまでいなかったからどこ行ってたのかと思って、ふと見たら、第二ボタン、なかったの!」
残念そうに私を見て言うじゅんじゅん。
言われた事がよくわかんなくて混乱する私をよそにゆっちゃんが冷静に、他のボタンはあった?なんて聞いている。
「いや、あったと思うけど」
そう答えるじゅんじゅんに、黙って私の手のひらのボタンを見せるゆっちゃん。
私に加えじゅんじゅんも混乱した模様。
「え…これって…」
ゆっちゃんが答える前に、違う声が割り込んだ。
「名前、さっき話したかった事があるんだけどちょっといい?」
いきなり現れた不二周助にびっくりして私とじゅんじゅんは仲良く飛び上がった。
ゆっちゃんに背中を思いっきり叩かれて、うん、って答えちゃったけど、話ってなんだろ、返せとか言われても返さないから、なんて思って恐る恐る不二を見たら、にっこり微笑まれた。
ここじゃなんだから
(そう言った不二は確かに二番目のボタンがなかった)