短編
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「あー…やっちゃったー…」
お尻が痛い しかも冷たい
手が痛い しかも冷たい
足が痛い しかも冷たい
私が何か悪いことをしましたか
空を見つめてもどんよりした雲が見返してくるだけだった
今から本当にちょっと前
私はまっすぐ校門に行くのが嫌でいつも校舎裏をくるっとまわって焼却炉の前を通り、自転車置き場を通り、そしてやっと裏門から出て通学路を帰る、というコースを歩いていた。
今日は一昨日の雪がまだ残っていて、植木の上にいっぱい乗った雪をときどき触りながら校舎裏をまわって焼却炉の前を通って…
もうすぐ自転車置き場、というところで雪が解けてまた凍ってつるつるになった道を通らなければいけなくなった。
アスファルトの上につるつるの氷が四メートルくらい続く。
わくわくしてその上を用心深く歩いていたつもりがいつの間にかスケートのように滑っていた。
楽しくて調子に乗ったのかスピードをつけた途端、つるっとバランスを崩し見事に尻餅をついた。
とっさにバランスを保とうと思ったのだろう。
尻餅とともに手も氷に打ち付け真っ赤、その上立ち上がろうにも足首に激痛が走って冷たい氷の上に座っていなければならなくなった。
そして冒頭に戻る。
「寒いよー」
独り言がむなしく冷たい風にかき消される。
ちょうど自転車置き場の垣根に隠れて、もし誰か来たとしても気付いてくれないだろう。
「あー…感覚なくなってきたー」
手も足もじんじんする
コート越しにお尻も冷えてきた
「こんなとこで凍え死ぬのは嫌だー!」
「死なないと思うけど」
まさか叫びに返事が来るとは思っていなかったのでずいぶん間抜けな顔で固まってしまったのだろう
いつの間にか目の前に立っていた不二周助がおかしそうにくすっと笑った
「なにしてるの?新しいダイエット法?」
「そう!この氷の冷たさが無駄な肉を引き締めて…って違う!」
「あははナイスノリツッコミ!」
いやいや そんな話をしたいわけじゃなく
本気で寒いです不二様
「…足捻ったの?なんでこんな辺鄙なとこで滑ってるの」
ごもっともです
でも凍ってるこの道が悪いんじゃないか!(責任転嫁)
「ほら」
「え?」
「おんぶ」
「えっ無理!重いよ!!」
「じゃあずっとそこに座ってるわけ?ほら遠慮は要らないよ」
肩を貸してくれる、くらいでいいんだ!と拒否る私を尻目になんとこいつはお姫様抱っことやらをしてくれやがった
そして、あろうことかそのまま人の大勢いる自転車置き場へ突入した
「ちょっ…不二っ いいよ降ろして!みんな見てる!」
「ひとりで立てないくせに」
「そういう問題じゃなくて!とりあえず降ろして!」
「名前」
「おーろーせー」
「名前…」
「歩く!歩ける!降ろせ!」
「名前静かにして」
位置的に耳元
ぞくっとして黙ってしまった
満足そうににこっと笑うと自転車のうしろに降ろす
「乗せてってあげるから。しっかりつかまってて」
しっかりつかまってと言われても
どこにつかまっていいやら
耳は落ち着いた低い声とかかった息の感覚がまだ残っていて
いいのかな
不二と二人乗りだなんて
二人乗りなんて恋人同士みたいじゃないか
「二人乗りなんて恋人同士みたいだね」
いきなり自分の思っていたことを言われて挙動不審になる
気付いているのかいないのか いつもと変わらない声の調子で
「まぁそう見えてくれれば本望だけど」
何気なく言い放った
ちょっと待って 私今すごい真っ赤だと思う
別にただの冗談かもしれないけど
助けてくれたのも偶然でも
家につくまでだけでも 恋人同士に見えちゃダメですか
お尻が痛い しかも冷たい
手が痛い しかも冷たい
足が痛い しかも冷たい
私が何か悪いことをしましたか
空を見つめてもどんよりした雲が見返してくるだけだった
今から本当にちょっと前
私はまっすぐ校門に行くのが嫌でいつも校舎裏をくるっとまわって焼却炉の前を通り、自転車置き場を通り、そしてやっと裏門から出て通学路を帰る、というコースを歩いていた。
今日は一昨日の雪がまだ残っていて、植木の上にいっぱい乗った雪をときどき触りながら校舎裏をまわって焼却炉の前を通って…
もうすぐ自転車置き場、というところで雪が解けてまた凍ってつるつるになった道を通らなければいけなくなった。
アスファルトの上につるつるの氷が四メートルくらい続く。
わくわくしてその上を用心深く歩いていたつもりがいつの間にかスケートのように滑っていた。
楽しくて調子に乗ったのかスピードをつけた途端、つるっとバランスを崩し見事に尻餅をついた。
とっさにバランスを保とうと思ったのだろう。
尻餅とともに手も氷に打ち付け真っ赤、その上立ち上がろうにも足首に激痛が走って冷たい氷の上に座っていなければならなくなった。
そして冒頭に戻る。
「寒いよー」
独り言がむなしく冷たい風にかき消される。
ちょうど自転車置き場の垣根に隠れて、もし誰か来たとしても気付いてくれないだろう。
「あー…感覚なくなってきたー」
手も足もじんじんする
コート越しにお尻も冷えてきた
「こんなとこで凍え死ぬのは嫌だー!」
「死なないと思うけど」
まさか叫びに返事が来るとは思っていなかったのでずいぶん間抜けな顔で固まってしまったのだろう
いつの間にか目の前に立っていた不二周助がおかしそうにくすっと笑った
「なにしてるの?新しいダイエット法?」
「そう!この氷の冷たさが無駄な肉を引き締めて…って違う!」
「あははナイスノリツッコミ!」
いやいや そんな話をしたいわけじゃなく
本気で寒いです不二様
「…足捻ったの?なんでこんな辺鄙なとこで滑ってるの」
ごもっともです
でも凍ってるこの道が悪いんじゃないか!(責任転嫁)
「ほら」
「え?」
「おんぶ」
「えっ無理!重いよ!!」
「じゃあずっとそこに座ってるわけ?ほら遠慮は要らないよ」
肩を貸してくれる、くらいでいいんだ!と拒否る私を尻目になんとこいつはお姫様抱っことやらをしてくれやがった
そして、あろうことかそのまま人の大勢いる自転車置き場へ突入した
「ちょっ…不二っ いいよ降ろして!みんな見てる!」
「ひとりで立てないくせに」
「そういう問題じゃなくて!とりあえず降ろして!」
「名前」
「おーろーせー」
「名前…」
「歩く!歩ける!降ろせ!」
「名前静かにして」
位置的に耳元
ぞくっとして黙ってしまった
満足そうににこっと笑うと自転車のうしろに降ろす
「乗せてってあげるから。しっかりつかまってて」
しっかりつかまってと言われても
どこにつかまっていいやら
耳は落ち着いた低い声とかかった息の感覚がまだ残っていて
いいのかな
不二と二人乗りだなんて
二人乗りなんて恋人同士みたいじゃないか
「二人乗りなんて恋人同士みたいだね」
いきなり自分の思っていたことを言われて挙動不審になる
気付いているのかいないのか いつもと変わらない声の調子で
「まぁそう見えてくれれば本望だけど」
何気なく言い放った
ちょっと待って 私今すごい真っ赤だと思う
別にただの冗談かもしれないけど
助けてくれたのも偶然でも
家につくまでだけでも 恋人同士に見えちゃダメですか