短編
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「へーい野郎ども!菓子だゴルァ」
湧き上がる歓声。
そんな嬉しいかね?
皆さん鞄チョコでぱんぱんなくせに。
「待ってましたぁ!」
「毎年恒例!」
「バレンタイン最高ー!」
「名前、言葉使い汚ぇぞ」
「そゆこと言う奴にゃやらん」
紙袋から大きな箱を取り出す。
いつもならソファに沈んでるジローも岳人と顔を並べてキラキラと瞳を輝かせている。
もうチョコはいらねぇという空気を纏ってる跡部も、ちらちらこっちを見ててわかりやすいなぁ、忍足なんてフォークを握ってキチンと座っている。
「はぁい特製ベリーケーキ!」
歓声再び。
「チョコは遠い目になるくらい貰ってるだろうから甘酸っぱいラズベリーとかブラックベリーとかのケーキにしてみたの」
中にムース挟んであるんだ、という説明はもはや誰も聞いていない。
「女の子は好きな味なんだけど男子はどう?」
「名前の手作りならなんでもいいぜ!」
「それある意味失礼やで岳人」
「俺ベリー好きです!」
「うまそうじゃねぇか」
わあ跡部に褒められた!珍しい事もあるもんだ。
「日吉こうゆうの嫌い?」
「いえ、甘さ控えめなんですよね?」
「うん、自然な甘さにしたよ」
「頂いて良いのなら喜んで「黙ってろツンデレ!」…人の会話に割り込むという行為は幼稚な上に人間性を疑われますよ向日さん」
まぁあらゆる意味で人間性疑われてるでしょうけど貴方の場合、なんて言うからキレたがっくん宙を舞う。やめてよ埃たつでしょ…
「丸いケーキって大変じゃないですか?」
「いや楽だよ」
申し訳なさそうに問うちょたろに笑顔を返す。
だってホントだもん、ちまちま作ってちまちま小分けにラッピングするなんて七面倒臭い事は私には出来ない。
焼いたままの丸いケーキを箱に入れて持ってきて学校で休み時間にデコレーションする方が楽だ。
慎重に10等分してるってのに俺おっきいのねおっきいの!とジローがガタガタ机を揺らすから等分になっちゃいないケーキをちょたろと私が皿に分け始めたのと全国D2の乱闘を漸く跡部が叱ったのと滝がドアを開けたのはほぼ同時だった。
「あ、滝さん!」
「おう滝ケ「滝!俺人間だよな!」…おい」
「…ごめん、何?」
「あー…気にせんでええで滝」
「何だよそれ!侑士も俺のことそう思ってたんだな!?」
「ちょい落ち着きって岳人」
優美な笑顔に少し戸惑いを浮かべてる滝に手招きする。(さすが滝、関東D2の言い争い(岳人が一方的に叫んでるとも言う)を華麗に避けた)
ケーキに気付き、その笑顔が柔らかく甘いものに変わった。
思わず私の顔も綻ぶ。
「美味しそう、名前の?」
「うん」
「そう、あ、中ムースなんだ?凝ってるね」
「皆何気グルメだからさ」
皆毎年名前のお菓子楽しみにしてるもんね、と言う滝にD1がうんうん、と同意する。
そう言われると作った甲斐があるって言うか、嬉しいって言うか、くすぐったいって言うか。
ジローがフォークを握り締めて、皿を自分の前に置いて、しきりに食べていいか聞くので、許可を出す。(D2+日吉+跡部は未だ論争中)
D1も席について、嬉しそうにケーキを見てる。
ひとりひとり個別に作るなんて洒落た真似が出来ないだけなのに、こんなに喜んでもらっちゃっていいのかな。
「あ、滝」
「ん?」
「はい」
ピンクの小さめの紙袋を渡すと滝はにっこりと笑ってありがとう、と囁いた。
目敏くそれに気付いた長太郎が身体を乗り出す。
「何ですか?それ」
「あ、長太郎、今日誕生日だよね、俺の分もあげる」
「え?あ、ども…?」
自分の分のケーキの皿をちょたろの方に押しやって読めない笑顔で質問はスルー。
しかし、THE空気読めない男・宍戸が食い下がる。
「何?お前食わねーの?」
「うん、俺には名前がいるから」
天然D1は首を傾げたが聞き逃さなかった喧嘩組。
「…なんや今おもろいこと言わんかった?滝」
「皆ケーキ食べないの?」
「会話を噛み合わせろ萩之介、さっき何て言った」
「『皆ケーキ食べないの?』」
「王道なすっとぼけかましてんなよ滝!」
「えー?」
えー、じゃない!と仲良くハモる。珍しいな日吉まで。
「もーうるさいCケーキがまずくなるっしょ」
可愛い口調とは反対に必要以上のガラの悪さでその場を斬った漢・ジロー。
座ってるから立ってる喧嘩組を見上げてるだけなんだけど、その上目遣いはガン飛ばしてるようにしか見えない。
「今日はバレンタイン、タッキーだけ特別扱い、俺らはみんなでひとつのケーキ!以上!わかったら早く座る。座らないなら俺が食べる。」
滝の持ってる紙袋を指差してすっぱり言い切ったジローとぽかんとする残りのメンツ。
忍足だけはわかったらしく、目を見開いて嘘やとかなんとか言っている。
熱くてしょうがない私と涼しい顔した滝はそのいたたまれない妙な空気の中、じっとしているだけで。
みんなの思考回路が情報処理を終えようとする頃、滝が唐突に立ち上がって、
「じゃ、俺らはこれで」
と私の手を引いてそのまま部室を出た。
熱い熱い、ジローのばかやろう。
「別に隠してたつもりないんだけどなぁ皆周り見えない人種だから仕方ないけどね」
「…」
「自分のことしか見えてなくて名前の手作り食べてホント幸せだよね」
「…」
「その幸せもさっきで終わりかな?ジローってやっぱちゃんと見てるよね」
「…あの」
「ん?」
「どこ、いくの」
繋がれたままの手
迷うことなく進む足
伺うように見上げれば、綺麗な髪が揺れて、悪戯っぽい妖艶な笑みが振り向いた。
誰も知らないイイトコロへ
(それって何処)(だからイイトコロ、だよ)
※一方部室※
「…え、嘘、」
「マジ?誰か嘘だと…」
「おい若がロッカーに引き篭もったぞ」
「萩之介…俺様の獲物に手ぇ出すたぁやるじゃねぇか…」
「あの、俺、まだよくわかんないんですけど、えと…宍戸さん、わかりました?」
「わかるもなにもなんか用あるんじゃねーの?2人とも」
「…はーい皆サン玉砕お疲れ様ー食べないみたいだから俺全部食うねー」
「! ちょ、ジロー本当に食ってんじゃねぇよ!」
湧き上がる歓声。
そんな嬉しいかね?
皆さん鞄チョコでぱんぱんなくせに。
「待ってましたぁ!」
「毎年恒例!」
「バレンタイン最高ー!」
「名前、言葉使い汚ぇぞ」
「そゆこと言う奴にゃやらん」
紙袋から大きな箱を取り出す。
いつもならソファに沈んでるジローも岳人と顔を並べてキラキラと瞳を輝かせている。
もうチョコはいらねぇという空気を纏ってる跡部も、ちらちらこっちを見ててわかりやすいなぁ、忍足なんてフォークを握ってキチンと座っている。
「はぁい特製ベリーケーキ!」
歓声再び。
「チョコは遠い目になるくらい貰ってるだろうから甘酸っぱいラズベリーとかブラックベリーとかのケーキにしてみたの」
中にムース挟んであるんだ、という説明はもはや誰も聞いていない。
「女の子は好きな味なんだけど男子はどう?」
「名前の手作りならなんでもいいぜ!」
「それある意味失礼やで岳人」
「俺ベリー好きです!」
「うまそうじゃねぇか」
わあ跡部に褒められた!珍しい事もあるもんだ。
「日吉こうゆうの嫌い?」
「いえ、甘さ控えめなんですよね?」
「うん、自然な甘さにしたよ」
「頂いて良いのなら喜んで「黙ってろツンデレ!」…人の会話に割り込むという行為は幼稚な上に人間性を疑われますよ向日さん」
まぁあらゆる意味で人間性疑われてるでしょうけど貴方の場合、なんて言うからキレたがっくん宙を舞う。やめてよ埃たつでしょ…
「丸いケーキって大変じゃないですか?」
「いや楽だよ」
申し訳なさそうに問うちょたろに笑顔を返す。
だってホントだもん、ちまちま作ってちまちま小分けにラッピングするなんて七面倒臭い事は私には出来ない。
焼いたままの丸いケーキを箱に入れて持ってきて学校で休み時間にデコレーションする方が楽だ。
慎重に10等分してるってのに俺おっきいのねおっきいの!とジローがガタガタ机を揺らすから等分になっちゃいないケーキをちょたろと私が皿に分け始めたのと全国D2の乱闘を漸く跡部が叱ったのと滝がドアを開けたのはほぼ同時だった。
「あ、滝さん!」
「おう滝ケ「滝!俺人間だよな!」…おい」
「…ごめん、何?」
「あー…気にせんでええで滝」
「何だよそれ!侑士も俺のことそう思ってたんだな!?」
「ちょい落ち着きって岳人」
優美な笑顔に少し戸惑いを浮かべてる滝に手招きする。(さすが滝、関東D2の言い争い(岳人が一方的に叫んでるとも言う)を華麗に避けた)
ケーキに気付き、その笑顔が柔らかく甘いものに変わった。
思わず私の顔も綻ぶ。
「美味しそう、名前の?」
「うん」
「そう、あ、中ムースなんだ?凝ってるね」
「皆何気グルメだからさ」
皆毎年名前のお菓子楽しみにしてるもんね、と言う滝にD1がうんうん、と同意する。
そう言われると作った甲斐があるって言うか、嬉しいって言うか、くすぐったいって言うか。
ジローがフォークを握り締めて、皿を自分の前に置いて、しきりに食べていいか聞くので、許可を出す。(D2+日吉+跡部は未だ論争中)
D1も席について、嬉しそうにケーキを見てる。
ひとりひとり個別に作るなんて洒落た真似が出来ないだけなのに、こんなに喜んでもらっちゃっていいのかな。
「あ、滝」
「ん?」
「はい」
ピンクの小さめの紙袋を渡すと滝はにっこりと笑ってありがとう、と囁いた。
目敏くそれに気付いた長太郎が身体を乗り出す。
「何ですか?それ」
「あ、長太郎、今日誕生日だよね、俺の分もあげる」
「え?あ、ども…?」
自分の分のケーキの皿をちょたろの方に押しやって読めない笑顔で質問はスルー。
しかし、THE空気読めない男・宍戸が食い下がる。
「何?お前食わねーの?」
「うん、俺には名前がいるから」
天然D1は首を傾げたが聞き逃さなかった喧嘩組。
「…なんや今おもろいこと言わんかった?滝」
「皆ケーキ食べないの?」
「会話を噛み合わせろ萩之介、さっき何て言った」
「『皆ケーキ食べないの?』」
「王道なすっとぼけかましてんなよ滝!」
「えー?」
えー、じゃない!と仲良くハモる。珍しいな日吉まで。
「もーうるさいCケーキがまずくなるっしょ」
可愛い口調とは反対に必要以上のガラの悪さでその場を斬った漢・ジロー。
座ってるから立ってる喧嘩組を見上げてるだけなんだけど、その上目遣いはガン飛ばしてるようにしか見えない。
「今日はバレンタイン、タッキーだけ特別扱い、俺らはみんなでひとつのケーキ!以上!わかったら早く座る。座らないなら俺が食べる。」
滝の持ってる紙袋を指差してすっぱり言い切ったジローとぽかんとする残りのメンツ。
忍足だけはわかったらしく、目を見開いて嘘やとかなんとか言っている。
熱くてしょうがない私と涼しい顔した滝はそのいたたまれない妙な空気の中、じっとしているだけで。
みんなの思考回路が情報処理を終えようとする頃、滝が唐突に立ち上がって、
「じゃ、俺らはこれで」
と私の手を引いてそのまま部室を出た。
熱い熱い、ジローのばかやろう。
「別に隠してたつもりないんだけどなぁ皆周り見えない人種だから仕方ないけどね」
「…」
「自分のことしか見えてなくて名前の手作り食べてホント幸せだよね」
「…」
「その幸せもさっきで終わりかな?ジローってやっぱちゃんと見てるよね」
「…あの」
「ん?」
「どこ、いくの」
繋がれたままの手
迷うことなく進む足
伺うように見上げれば、綺麗な髪が揺れて、悪戯っぽい妖艶な笑みが振り向いた。
誰も知らないイイトコロへ
(それって何処)(だからイイトコロ、だよ)
※一方部室※
「…え、嘘、」
「マジ?誰か嘘だと…」
「おい若がロッカーに引き篭もったぞ」
「萩之介…俺様の獲物に手ぇ出すたぁやるじゃねぇか…」
「あの、俺、まだよくわかんないんですけど、えと…宍戸さん、わかりました?」
「わかるもなにもなんか用あるんじゃねーの?2人とも」
「…はーい皆サン玉砕お疲れ様ー食べないみたいだから俺全部食うねー」
「! ちょ、ジロー本当に食ってんじゃねぇよ!」