短編
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「、あ」
新学期明けの初日、寒い寒い朝だというのに校庭に立たされて、聞きたくも無い校長の話をかれこれ20分は聞かされて、悴んでしまった手に息を吹きかけながら、昇降口へと集まる人だかりを避ける様に外階段を登る。
私は悪い子なので上履きのまま校庭に出たから靴箱を通過する必要が無い。(だって混む事は目に見えていたんだもの!)(校内が汚れる?もう十二分に汚いよ)
とんとん、とリズミカルに登っていって、二年の教室のある階へ続くドアを開けようとしたら、ちょうどそこに茶髪のキノコがいた。
「あけましておめでとう、」
ヤバい、声裏返った。
ドアを開けようとしていたらしい彼は、ぴく、と反応して、怪訝そうにこっちを振り向いた。
クラスメイトをそんなに邪険にしなさんな、ねぇ
「サンタさん?」
「…やめろ」
ああ、そこは否定して欲しかったなぁ、なんて。
クリスマスイヴの夜中、私の部屋に突如窓から侵入してきた赤い人はやっぱりこいつだったんだ、とわかってはいたけど、なんだか、妙な気分。
サンタさんなんて信じていなかったのに。幼い頃聞いた、誰もが知っている「サンタさん」の姿そのままに、トナカイに乗ってやってきた。
あの後考えたんだけど、私、もうプレゼントもらえる歳じゃなくね?義務教育だからまだ子供なの?でも、同い年のサンタにプレゼントもらっても、ねぇ?ていうか、姿見られたらヤバくね?サンタさんよ。
「人の顔をずっと見たままぶつぶつ言うな気持ち悪い」
「子供に夢を与える仕事人が乙女に向かって気持ち悪いとか言うな!」
「夢なんか与えていない、与えてんのは物だ」
うわあうわあ、何こいつ、現実主義者め、教室の隅とかで七不思議とか小学生みたいの読んでるくせに、嬉しそうにほくそ笑みながら読んでるくせに、現実的な事言いやがって、あ、別に、日吉がニヤニヤしながら本読んでることなんてクラス中の皆が知ってるんだから(多分)私が注意深く観察とかしてたわけじゃないよ、そんな事よりこいつは言ってる事が現実的なのか違うのかイマイチ解らなくなってきた、だって、それって、
「…プレゼント配ってるっていうのは、否定しないんだ、ね?」
「…」
何、いまさら、しまった、なんて顔してるの。
こいつポーカーフェイス気取ってるけど、全然できてないよね、ただの無愛想だよね、だってこういう時の反応が露骨だもん、わかりやすすぎる。嘘つけないタイプだよね、って別に私はいつも日吉のこと見てその表情の考察とかしてたりしたわけじゃなくて、日吉がわかりやすいのなんてクラス中の皆が以下同文。
「HR普通に戻って大丈夫なの?他の人にも見られたりしてない?」
「…お前以外は寝ていた」
あれ、少なくとも私とチャットしてた子達は起きてた筈なんだけど、彼女らの家は管轄外なのかな、サンタって何人もいて持ち回り場とか決まってるのかな、
「どうでもいいけどお疲れ様、あと、ペンセットありがとう、あれ欲しかったんだよね」
「…」
「でもさ、ひとつ、いい?」
ドアノブに手をかけたまま、そっぽを向いて動かない日吉に一歩近付いて、問う。
「…小5から、貰ってなかったんだけど、なんで、今年は来た、の?」
小学生の頃、毎年寝てる間に日吉が忍び込んで来ていたのかと思ったら、それはそれで気持ち悪いんだけど、小6も中1も来なかったんだけど、サンタ。
もう信じてないから、父さんたちがあげるの馬鹿馬鹿しくなったのかと思ってたのに、なのに、
「…本当は、小学生で終わり、だ」
俺らが配るのは小学生以下、それ以降に貰ってる奴らはそれは親からだ、
ぽつぽつと片言の様に答えるクラスメイトは、いつもより血色がいい気がする。
あれ、なんで、私こんなに口の中がカラカラなんだろう、あんなに冷えてしまった手が、熱い、あれ、なんで、
「じゃ、なんで、来た、の?」
「それ、聞くのかよ」
「もしかして、独断、とか、言わないよ、ね?」
「…」
ねぇ、どうして黙るの、ねぇ、どうして耳が赤いの、ねぇ、どうして、私が欲しがっていたものを、 寝ていないの承知で、見られるの承知で、ずかずかと部屋に入ってきて、ねぇ、
あなたの世界へ私を入れてください
(嘘はつかないで、真実を教えて、)(そう言った私の声は、ちょうど鳴った1時間目開始のチャイムにかき消された)(けれど、貴方は瞳をいつもより大きくさせたから、聞こえたよね、ほら、嘘をつくのは下手なんだから、白状なさい)
新学期明けの初日、寒い寒い朝だというのに校庭に立たされて、聞きたくも無い校長の話をかれこれ20分は聞かされて、悴んでしまった手に息を吹きかけながら、昇降口へと集まる人だかりを避ける様に外階段を登る。
私は悪い子なので上履きのまま校庭に出たから靴箱を通過する必要が無い。(だって混む事は目に見えていたんだもの!)(校内が汚れる?もう十二分に汚いよ)
とんとん、とリズミカルに登っていって、二年の教室のある階へ続くドアを開けようとしたら、ちょうどそこに茶髪のキノコがいた。
「あけましておめでとう、」
ヤバい、声裏返った。
ドアを開けようとしていたらしい彼は、ぴく、と反応して、怪訝そうにこっちを振り向いた。
クラスメイトをそんなに邪険にしなさんな、ねぇ
「サンタさん?」
「…やめろ」
ああ、そこは否定して欲しかったなぁ、なんて。
クリスマスイヴの夜中、私の部屋に突如窓から侵入してきた赤い人はやっぱりこいつだったんだ、とわかってはいたけど、なんだか、妙な気分。
サンタさんなんて信じていなかったのに。幼い頃聞いた、誰もが知っている「サンタさん」の姿そのままに、トナカイに乗ってやってきた。
あの後考えたんだけど、私、もうプレゼントもらえる歳じゃなくね?義務教育だからまだ子供なの?でも、同い年のサンタにプレゼントもらっても、ねぇ?ていうか、姿見られたらヤバくね?サンタさんよ。
「人の顔をずっと見たままぶつぶつ言うな気持ち悪い」
「子供に夢を与える仕事人が乙女に向かって気持ち悪いとか言うな!」
「夢なんか与えていない、与えてんのは物だ」
うわあうわあ、何こいつ、現実主義者め、教室の隅とかで七不思議とか小学生みたいの読んでるくせに、嬉しそうにほくそ笑みながら読んでるくせに、現実的な事言いやがって、あ、別に、日吉がニヤニヤしながら本読んでることなんてクラス中の皆が知ってるんだから(多分)私が注意深く観察とかしてたわけじゃないよ、そんな事よりこいつは言ってる事が現実的なのか違うのかイマイチ解らなくなってきた、だって、それって、
「…プレゼント配ってるっていうのは、否定しないんだ、ね?」
「…」
何、いまさら、しまった、なんて顔してるの。
こいつポーカーフェイス気取ってるけど、全然できてないよね、ただの無愛想だよね、だってこういう時の反応が露骨だもん、わかりやすすぎる。嘘つけないタイプだよね、って別に私はいつも日吉のこと見てその表情の考察とかしてたりしたわけじゃなくて、日吉がわかりやすいのなんてクラス中の皆が以下同文。
「HR普通に戻って大丈夫なの?他の人にも見られたりしてない?」
「…お前以外は寝ていた」
あれ、少なくとも私とチャットしてた子達は起きてた筈なんだけど、彼女らの家は管轄外なのかな、サンタって何人もいて持ち回り場とか決まってるのかな、
「どうでもいいけどお疲れ様、あと、ペンセットありがとう、あれ欲しかったんだよね」
「…」
「でもさ、ひとつ、いい?」
ドアノブに手をかけたまま、そっぽを向いて動かない日吉に一歩近付いて、問う。
「…小5から、貰ってなかったんだけど、なんで、今年は来た、の?」
小学生の頃、毎年寝てる間に日吉が忍び込んで来ていたのかと思ったら、それはそれで気持ち悪いんだけど、小6も中1も来なかったんだけど、サンタ。
もう信じてないから、父さんたちがあげるの馬鹿馬鹿しくなったのかと思ってたのに、なのに、
「…本当は、小学生で終わり、だ」
俺らが配るのは小学生以下、それ以降に貰ってる奴らはそれは親からだ、
ぽつぽつと片言の様に答えるクラスメイトは、いつもより血色がいい気がする。
あれ、なんで、私こんなに口の中がカラカラなんだろう、あんなに冷えてしまった手が、熱い、あれ、なんで、
「じゃ、なんで、来た、の?」
「それ、聞くのかよ」
「もしかして、独断、とか、言わないよ、ね?」
「…」
ねぇ、どうして黙るの、ねぇ、どうして耳が赤いの、ねぇ、どうして、私が欲しがっていたものを、 寝ていないの承知で、見られるの承知で、ずかずかと部屋に入ってきて、ねぇ、
あなたの世界へ私を入れてください
(嘘はつかないで、真実を教えて、)(そう言った私の声は、ちょうど鳴った1時間目開始のチャイムにかき消された)(けれど、貴方は瞳をいつもより大きくさせたから、聞こえたよね、ほら、嘘をつくのは下手なんだから、白状なさい)