「っく、それで、さ、私なんか、恋愛射程内じゃないんだって、さ」
「酷いですね」


泣きじゃくる彼女にハンカチを渡せば涙を拭いて鼻を啜った。
鼻の下を擦る彼女にティッシュを渡せば、アメリカのアニメのように盛大に音を立てて鼻をかんだ。
目が真っ赤にはれて、鼻も真っ赤で、声は上ずって、
そんなに好きだったのか　どこがいいのやら


「あーあ！もう幸せだった片想い時代を返せ！って告ったの私だけどさー自業自得だけどさー」
「自分を責めないで下さい」


屋上に彼女と２人きり
こんなシュチュエーションじゃなかったらドキドキとかしてたんだろうか


「優しいね日吉」
「そんな事無いですよ」


そんな顔で笑わないで


「あーあ…日吉を好きになれば良かったなー」
「本気で言ってるんですか？」
「んー…日吉が優しいから、さ」


誰にでも優しいわけじゃない
それに気付いていないのなら
そんな言葉吐かないで


「なんで思い通りにならないんだろうね」
「全部思い通りになったらつまんないじゃないですか」
「うん」
「思い通りにならないから頑張れるんです」


先輩
名前先輩
名前


呼べたら
抱きしめれたら
キスできたら


許されない　それは
酷い事言われても
まだ好きなんだろう
見てればわかる　嫌でも　痛いほど


「日吉ってなんか大人だね」


私なんかまだまだコドモでやだなー
そう言って笑う先輩の頬を伝うソレを拭ってあげる事が出来たなら


俺が大人？
そんなことない
俺はそうやって綺麗に笑う事は出来ないから
まだまだ、



大人なんかじゃない


（なんで傷付いてもそんなに綺麗に笑えるんだ、想えるんだ）（俺もこんなに想っているのに）（なんで俺はこんなに醜くしか、）