短編
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「ちょ、へ、は?なに、」
「うるさい黙れ」
うわー「うるさい黙れ」ときましたか。 じゃあこっちは「出て行け変態」とでも言いましょうかね。
「何してんの、つーか何その格好、あ、わかった、ケーキ売ってたんでしょコンビニ前とかでコスプレして売ってるもんね、あのバイトだったんでしょ、で終電行っちゃったから近くにあったあたしん家に寄ったんだ、なら言ってよねちゃんと玄関から入って来てよいきなり窓から侵入されちゃ度肝抜かれますよ大体あたし窓の鍵閉めてた筈なんだけどどうやって開けた「黙れと言った」…はい」
え、何ちょっとこいつ、ホント何様なの。
あんたなんかただのクラスメイトじゃん真夜中に乙女の部屋に窓から侵入しといて「黙れ」なんてそんな奴だとは微塵も思っていませんでしたよ、ええ。
サンタの格好をしたそいつは机(勉強していたんでなく友達とLINEしてたんだけど)(仲良し同士数人で企画した「独り身女のクリスマスなんて知るか!語り明かそうLINE」だよ悪いか)に向かっていたあたしの目を完璧に奪ったにもかかわらずこちらを一度も見ずに白い大きな袋をごそごそしたかと思うとぽいっと何か包みをベッドに投げ、また窓枠に足を掛けた。
「ちょ、あの、日吉さん?何しに来たんですかい?」
「…今日はクリスマスだろ」
「そうだけど、だから何?」
「…サンタは忙しいんだ話掛けるな」
は?
何、この子頭大丈夫?
思った事が顔に出たのか、初めてこっちを見た日吉はいつもの何十倍も深く眉間に皺を寄せて、「信じていない奴にまで配らなきゃならないなんて全く時間の無駄だ」とか何とかぼやくとそのまま窓から外に出てしまった。
一瞬ぽかんとその後ろ姿を見送ってしまったけれど、ここはマンションの五階だと言う事を思い出して慌てて窓辺に寄った。何なの?梯子か何かで登ってきたの?それとも飛び降り自殺?わぁやめてよ折角クリスマスなのにそんなのごめんだわ。
机から窓まで大股四歩くらいしかないのに一気にいろいろ考え、窓の外を見て、その考えがぶっ飛んだのを感じた。
外には地上何十メートルの高さなんて気にしないかのごとく数頭の大きい鹿(これが噂に聞くトナカイって奴だろうか)と大きなソリが浮いていて、先程奇行を起こしたクラスメイトのキノコくんは丁度ソリに座って手綱を握ったところだった。
あんぐりと口を開けているあたしに気付き、至極面倒臭そうな嫌そうな顔をし、大きく舌打ちをすると
「絶対誰かに言うなよ、まぁ言ったとしても信じて貰えるかと言えば可能性は低いが」
本当に損な仕事だ、そう洩らすと彼は一瞬にして消えた。
夢かと思って窓を閉め、ベッドを見ると、ある筈の無い箱が転がっていた。
おとうさん、おかあさん、親がサンタ、というのは嘘だったのですか。
サンタさんは実在したのですか。
よりにもよってその正体はクラスメイトなんですか。
もうLINEどころではなくて、その場に座り込む事しか出来なかった。
見たくなかった (日吉*庭球)
「うるさい黙れ」
うわー「うるさい黙れ」ときましたか。 じゃあこっちは「出て行け変態」とでも言いましょうかね。
「何してんの、つーか何その格好、あ、わかった、ケーキ売ってたんでしょコンビニ前とかでコスプレして売ってるもんね、あのバイトだったんでしょ、で終電行っちゃったから近くにあったあたしん家に寄ったんだ、なら言ってよねちゃんと玄関から入って来てよいきなり窓から侵入されちゃ度肝抜かれますよ大体あたし窓の鍵閉めてた筈なんだけどどうやって開けた「黙れと言った」…はい」
え、何ちょっとこいつ、ホント何様なの。
あんたなんかただのクラスメイトじゃん真夜中に乙女の部屋に窓から侵入しといて「黙れ」なんてそんな奴だとは微塵も思っていませんでしたよ、ええ。
サンタの格好をしたそいつは机(勉強していたんでなく友達とLINEしてたんだけど)(仲良し同士数人で企画した「独り身女のクリスマスなんて知るか!語り明かそうLINE」だよ悪いか)に向かっていたあたしの目を完璧に奪ったにもかかわらずこちらを一度も見ずに白い大きな袋をごそごそしたかと思うとぽいっと何か包みをベッドに投げ、また窓枠に足を掛けた。
「ちょ、あの、日吉さん?何しに来たんですかい?」
「…今日はクリスマスだろ」
「そうだけど、だから何?」
「…サンタは忙しいんだ話掛けるな」
は?
何、この子頭大丈夫?
思った事が顔に出たのか、初めてこっちを見た日吉はいつもの何十倍も深く眉間に皺を寄せて、「信じていない奴にまで配らなきゃならないなんて全く時間の無駄だ」とか何とかぼやくとそのまま窓から外に出てしまった。
一瞬ぽかんとその後ろ姿を見送ってしまったけれど、ここはマンションの五階だと言う事を思い出して慌てて窓辺に寄った。何なの?梯子か何かで登ってきたの?それとも飛び降り自殺?わぁやめてよ折角クリスマスなのにそんなのごめんだわ。
机から窓まで大股四歩くらいしかないのに一気にいろいろ考え、窓の外を見て、その考えがぶっ飛んだのを感じた。
外には地上何十メートルの高さなんて気にしないかのごとく数頭の大きい鹿(これが噂に聞くトナカイって奴だろうか)と大きなソリが浮いていて、先程奇行を起こしたクラスメイトのキノコくんは丁度ソリに座って手綱を握ったところだった。
あんぐりと口を開けているあたしに気付き、至極面倒臭そうな嫌そうな顔をし、大きく舌打ちをすると
「絶対誰かに言うなよ、まぁ言ったとしても信じて貰えるかと言えば可能性は低いが」
本当に損な仕事だ、そう洩らすと彼は一瞬にして消えた。
夢かと思って窓を閉め、ベッドを見ると、ある筈の無い箱が転がっていた。
おとうさん、おかあさん、親がサンタ、というのは嘘だったのですか。
サンタさんは実在したのですか。
よりにもよってその正体はクラスメイトなんですか。
もうLINEどころではなくて、その場に座り込む事しか出来なかった。
見たくなかった (日吉*庭球)