短編
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女、苗字名前。
本日より清楚になります。
私が通ってる氷帝学園っつーのは不思議な金持ち学校で
学食が豪華だったり、教室は勿論、廊下や下駄箱まで冷暖房完備だったり、トイレが全ウォッシュレットなのは当たり前だったりする。
そんな学園には、毎月発刊される『THE氷帝』なる雑誌が存在し、毎月様々な特集を組み、全生徒に愛読されていた。
そして今月…
脅威のイロモノ集団、ホスト部こと男子テニス部が特集され、約200人分のプロフが掲載された。
購買や自販機にて全校(女子)生徒(と、他校女子生徒/!?)によって五分足らずで完売した今月号。
私も何度か三途の川をバタフライで往復し、お花畑でお爺様とおしゃべりしたりしながら手に入れた。
何度か死にながらもやっと手にした(ちょっとぼろくなった)雑誌を涙ぐんでかかげ、ぱらぱらとページをめくる。
一般部員のプロフは綺麗にとばし、準レギュのページをあさる。
ぱっと正レギュの終わりの次のページを開けると…
「うわぁああ~っ 日吉がちゃんと一ページ使われてる…!ってなんでこのスペースに滝が!!怒」
愛しのダーリンの凛々しい演舞テニスポーズを見つめ、しばし悦に入る。
恋する乙女がこの上なく危険なのは何も今始まったことではない。
「なになに…誕生日12月5日…知ってますとも♡血液型AB…好きな食べ物ぬれせんべい…好きなタイプ……え…」
すでに知っている情報にニヤけながら読み進めていき高上していたテンションは、好きなタイプで凍りついた。
「好きな…タイプ…せ、清楚な…人…」
清楚な人。
頭の中にはシスターのような天使のような可憐な乙女が想像される。
しかし、自分は、スカートは短く、校則破り気味な服装に髪色、モロ女の子!って感じではなくどちらかというとがさつで無神経でおおざっぱ。
さらに追い討ちをかけるかのように背も顔も一般並みで特技も趣味も胸を張れるものなど無く。(ちなみに張る胸もない)(やかましいわ!)
「清楚…」
これは愛の神からの挑戦状だわ!
愛する人の愛を勝ち取るためには己を変えるくらいの努力が必要!
と、いうわけで、清楚になって多分自分のことなど恋愛射程内に入れてないであろう日吉を振り向かせよう大作戦は幕を切ったのだった。(長い)
「…って言っても具体的に清楚って…??? そうだ!!」
次の日。
「御機嫌よう日吉くん」
「ごき…っ?! …どうしたんですか」
私を見るなりまるでピカチュウの十万ボルトを受けたようなリアクションを見せた日吉。
無理も無いかもしれない。どうだ、清楚な私にときめいたか!!
「…スケバンごっこですか?」
清楚=長いスカートという方程式(?)を編み出した私は短かったスカートをくるぶしまで伸ばした。
す、スケバン…
たしかに、と思いながらも気を取り直して、
「ご覧になって?」
と、お嬢様結び(ハーフアップとかいうやつ)をした髪を見せる。白いレースのリボンで結んだのだ。完璧!
「これ、お菓子のラッピングのリボンですか?」
げ
バレた!!!かっちょ悪!!!あーやっぱし、ちゃちくても百均で買うべきだったのか…!!!
日吉はお菓子の包装リボンのついた頭からピアノの発表会でしか履かないようなぴかぴかの合成皮のシューズ(靴下は勿論三つ折り)を履いた足まで
一通りじろりと眺めると一言、
「一人ハロウィンですか?」
と、真顔で問うた。
仮装扱いですか…
かなりのショックを受けつつ、できるだけ上品に笑いかけその場をひとまず立ち去ろうとする。
が、慣れない靴で早く歩いたため、足が縺れまるでコントのようにすっ転んでしまった。
「いったー…」
これじゃ清楚もなにもない。ただのアホか変人だ。
ちら、と後ろを見ると無表情で日吉が近付いてくる。
ああ穴があったら入りたい!!急いで立ち上がろうとするも足首に激痛。
「…ッ!!!」
「捻ったんですか」
すぐ傍にしゃがみ込み私の足首に手を添える日吉。
「いつもの上履きじゃないんですからそんな無茶な歩きかたしたら怪我するに決まってます」
「べ、別にいつもと変わらない歩き方しましてよ…?」
一生懸命お嬢言葉で言い返すが呆れたようなまなざしを向けられる。
なんで?私こんなに清楚になろうと頑張ってるのになんで??
「…何のつもりだか知りませんが、早く元通りの格好した方がいいんじゃないですか」
そんな言い方って…
「せっ清楚な私がこれからの私なの!!!」
つい叫んでしまった。
日吉は一瞬目を見開き、そのまま黙ってしまった。
何考えてるのかわからない無表情。
「…ごめんなさい」
いきなり謝られて。
何事かと思う暇もなく続けて
「俺が適当に書いた一言で怪我させてしまって。」
適当に書いた…?
「正直、アレの解答用紙をもらったときはめんどくさくてくだらないとしか思わなかったので…でも、思わぬ収穫ですね。」
ニヤリと、笑まれてドキンと胸が高鳴る。
「俺のために自分を変えてくれたみたいですけど…別に俺は貴女なら清楚じゃなくても何でもいいんですよ」
思考回路が止まるってこういうコトを言うのか
脳があんまりゆっくり動くから、全然理解が出来なくて
「『好きなタイプ・清楚な人』…って書いたの俺だけですよね?それが全校に知れ渡ってからいきなり清楚を目指したってコトは…自惚れてもいいんですよね?」
低い声で耳元で囁かれる。
「私こそ…それ聞いて自惚れてもいいの?」
「ご自由に…ただ、俺は清楚に、とがんばってる先輩より今までの自分らしく振舞ってた苗字名前がスキですけどね…」
「!!」
女、苗字名前。
清楚になることはやめ、愛するダァリンにこれからも愛されるため自分らしく生きていきます。
おまけ
「てか先輩は清楚だと思うんですけど…」
「えっどこが?!」
「・・・。」
清楚ー飾り気が無く、さっぱりとして感じのいい様子。
本日より清楚になります。
私が通ってる氷帝学園っつーのは不思議な金持ち学校で
学食が豪華だったり、教室は勿論、廊下や下駄箱まで冷暖房完備だったり、トイレが全ウォッシュレットなのは当たり前だったりする。
そんな学園には、毎月発刊される『THE氷帝』なる雑誌が存在し、毎月様々な特集を組み、全生徒に愛読されていた。
そして今月…
脅威のイロモノ集団、ホスト部こと男子テニス部が特集され、約200人分のプロフが掲載された。
購買や自販機にて全校(女子)生徒(と、他校女子生徒/!?)によって五分足らずで完売した今月号。
私も何度か三途の川をバタフライで往復し、お花畑でお爺様とおしゃべりしたりしながら手に入れた。
何度か死にながらもやっと手にした(ちょっとぼろくなった)雑誌を涙ぐんでかかげ、ぱらぱらとページをめくる。
一般部員のプロフは綺麗にとばし、準レギュのページをあさる。
ぱっと正レギュの終わりの次のページを開けると…
「うわぁああ~っ 日吉がちゃんと一ページ使われてる…!ってなんでこのスペースに滝が!!怒」
愛しのダーリンの凛々しい演舞テニスポーズを見つめ、しばし悦に入る。
恋する乙女がこの上なく危険なのは何も今始まったことではない。
「なになに…誕生日12月5日…知ってますとも♡血液型AB…好きな食べ物ぬれせんべい…好きなタイプ……え…」
すでに知っている情報にニヤけながら読み進めていき高上していたテンションは、好きなタイプで凍りついた。
「好きな…タイプ…せ、清楚な…人…」
清楚な人。
頭の中にはシスターのような天使のような可憐な乙女が想像される。
しかし、自分は、スカートは短く、校則破り気味な服装に髪色、モロ女の子!って感じではなくどちらかというとがさつで無神経でおおざっぱ。
さらに追い討ちをかけるかのように背も顔も一般並みで特技も趣味も胸を張れるものなど無く。(ちなみに張る胸もない)(やかましいわ!)
「清楚…」
これは愛の神からの挑戦状だわ!
愛する人の愛を勝ち取るためには己を変えるくらいの努力が必要!
と、いうわけで、清楚になって多分自分のことなど恋愛射程内に入れてないであろう日吉を振り向かせよう大作戦は幕を切ったのだった。(長い)
「…って言っても具体的に清楚って…??? そうだ!!」
次の日。
「御機嫌よう日吉くん」
「ごき…っ?! …どうしたんですか」
私を見るなりまるでピカチュウの十万ボルトを受けたようなリアクションを見せた日吉。
無理も無いかもしれない。どうだ、清楚な私にときめいたか!!
「…スケバンごっこですか?」
清楚=長いスカートという方程式(?)を編み出した私は短かったスカートをくるぶしまで伸ばした。
す、スケバン…
たしかに、と思いながらも気を取り直して、
「ご覧になって?」
と、お嬢様結び(ハーフアップとかいうやつ)をした髪を見せる。白いレースのリボンで結んだのだ。完璧!
「これ、お菓子のラッピングのリボンですか?」
げ
バレた!!!かっちょ悪!!!あーやっぱし、ちゃちくても百均で買うべきだったのか…!!!
日吉はお菓子の包装リボンのついた頭からピアノの発表会でしか履かないようなぴかぴかの合成皮のシューズ(靴下は勿論三つ折り)を履いた足まで
一通りじろりと眺めると一言、
「一人ハロウィンですか?」
と、真顔で問うた。
仮装扱いですか…
かなりのショックを受けつつ、できるだけ上品に笑いかけその場をひとまず立ち去ろうとする。
が、慣れない靴で早く歩いたため、足が縺れまるでコントのようにすっ転んでしまった。
「いったー…」
これじゃ清楚もなにもない。ただのアホか変人だ。
ちら、と後ろを見ると無表情で日吉が近付いてくる。
ああ穴があったら入りたい!!急いで立ち上がろうとするも足首に激痛。
「…ッ!!!」
「捻ったんですか」
すぐ傍にしゃがみ込み私の足首に手を添える日吉。
「いつもの上履きじゃないんですからそんな無茶な歩きかたしたら怪我するに決まってます」
「べ、別にいつもと変わらない歩き方しましてよ…?」
一生懸命お嬢言葉で言い返すが呆れたようなまなざしを向けられる。
なんで?私こんなに清楚になろうと頑張ってるのになんで??
「…何のつもりだか知りませんが、早く元通りの格好した方がいいんじゃないですか」
そんな言い方って…
「せっ清楚な私がこれからの私なの!!!」
つい叫んでしまった。
日吉は一瞬目を見開き、そのまま黙ってしまった。
何考えてるのかわからない無表情。
「…ごめんなさい」
いきなり謝られて。
何事かと思う暇もなく続けて
「俺が適当に書いた一言で怪我させてしまって。」
適当に書いた…?
「正直、アレの解答用紙をもらったときはめんどくさくてくだらないとしか思わなかったので…でも、思わぬ収穫ですね。」
ニヤリと、笑まれてドキンと胸が高鳴る。
「俺のために自分を変えてくれたみたいですけど…別に俺は貴女なら清楚じゃなくても何でもいいんですよ」
思考回路が止まるってこういうコトを言うのか
脳があんまりゆっくり動くから、全然理解が出来なくて
「『好きなタイプ・清楚な人』…って書いたの俺だけですよね?それが全校に知れ渡ってからいきなり清楚を目指したってコトは…自惚れてもいいんですよね?」
低い声で耳元で囁かれる。
「私こそ…それ聞いて自惚れてもいいの?」
「ご自由に…ただ、俺は清楚に、とがんばってる先輩より今までの自分らしく振舞ってた苗字名前がスキですけどね…」
「!!」
女、苗字名前。
清楚になることはやめ、愛するダァリンにこれからも愛されるため自分らしく生きていきます。
おまけ
「てか先輩は清楚だと思うんですけど…」
「えっどこが?!」
「・・・。」
清楚ー飾り気が無く、さっぱりとして感じのいい様子。