短編
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「あ゛」
苗字名前15歳、花も恥らう乙女のものとは思えぬ声と共に何かが地面に垂れたのでありました。
「ちょ、生まれて初めて出たんですけど…」
鼻を擦った指を見れば、べったりと赤。
鼻の奥がつんとするようなしないような。
鼻下、唇、顎、とラインを描いて地面に赤い斑点を描くそれをどうしたら良いのか全く解らずただ立ち尽くす。
委員の仕事として先生に押し付けられた大量の資料を研究室まで運ばなきゃならないのに。
「ど、しよ、え、これ、止まらないの?」
流れるように鼻から出続けるそれに戸惑いながらとりあえず人に会わなさそうな校舎裏の犬走りをてくてくと歩く。
止まらない。
とりあえず資料を汚さないようにと必死で、ポケットにティッシュがないことや、急に人生初のパフォーマンスをしてくれた鼻へのやるせなさで泣きそうになって早歩きをしているとふいに転んだ。
最悪だ。
資料のプリントやノートはぶちまけるし、なんか鼻血の量が増えた気がする。
だいたい何も無いところで何故転んだのか、いや、何かあった。何か踏んだ。
何だ?と思い鼻血垂れ流しで四つん這いになったまま後ろを向くと弁慶を押さえて涙目になった金髪と目が合った。
「名前ひどいCいきなり思いっきり踏んづけるなんて!もっと優しい起こし方があるでしょ大体ここ急所、知ってる?急所。超痛E」
どうやらいつものごとく地面に直に寝っ転がっていたジローの足(しかも弁慶の泣き所)を踏んでしまったらしい。
転んだこっちの身にもなって欲しいところだが、痛そうなので一応申し訳なさそうに謝る。
「…そんな激しく転んだの?」
「は?」
「鼻血すさまG」
女の子に向かって「鼻血すさまG」とは何だ。
事実でも言って良い事と悪い事がある。
しかし、この間廊下で大声で「鼻毛出てる!」と女の子に叫んで指摘していたので、まぁ、そういう奴か、と諦めた。
何でこんなのがモテるのか皆目見当がつかない。
「転んだせいでなんか量増えたけどさっきから出てるから気にしないで」
資料を拾いながら答えれば、いつもなら「あそ」の一言でまた就寝に戻るのに、がさごそとポケットを漁り、かびてそうなクッキーだの袋が開いた飴だの破れたレシートだのをポイ捨てして、最後にやっと出てきた薄汚れたぐっしゃぐしゃのハンカチを差し出してきた。
びっくりした。
しかしこれでどうしろというのか。
鼻血で借りたハンカチを汚す事よりも汚れたハンカチで鼻を拭く方が問題に思えてくるあたしをどうか責めないで欲しい。
だってこれ、一体いつからそのポケットに…?
「いらない」
「なんで」
「ハンカチ汚れちゃうから」
「もう汚れてるから気にすんな、これ以上汚れようが無いC」
「そんなもの差し出すな」
鼻血はまだ垂れている。
若干流れはゆっくりになってきたがまだ垂れている。
大丈夫なんだろうか。
そういえば頭がくらくらする気がする。
「くらくらする」
「そんなに俺に発情しちゃダーメ」
「何の話よ」
目も霞む気がする。
「…止まんねーの?」
「うん」
「じゃ止めてやる」
そう言うが早いか何食わぬ顔でうなじに手刀が振ってきて、目の前が真っ暗になった。
血まみれのティッシュに血まみれの薄汚れたタオル。
そんなものに囲まれてあたしはふかふかのソファに横になっていました。
「だからごめんてー」
イライラしているのか明らかに謝る口調ではない。
それに一瞬ビビるが負けない!可愛い顔したヤンキーなんかに負けない!
元は白かったのであろう何とも言えない色のタオルは血染みで赤黒く染まり、ジローが鼻血を拭いてくれた事はわかったけど、なんていうかこれいつから洗ってないのかな?
君ん家確かクリーニング屋だよね?というツッコミは胸の奥に閉まった。
ジローの目が据わってる…!
イラついてる、何よ自分が悪いくせに、あたし被害者だもん、ちょっとくらい怒ったってバチ当たんないはずでしょ!?
皆知らないようだが、実はかなり力持ちな彼はきっとぶっ倒れたあたしを担いで静かな部室まで運んで寝心地抜群の高そうなソファに寝かせたんだ。
っつかこのソファに血つけてませんよね?血ってなかなか取れないよ?これ高そうだよ?跡部の私物では?
血の気がひく。
「…とりあえず止まったみたい」
「俺のおかげ」
「どの口が言うか」
あーホントあたしどうなの。
花も恥らうお年頃のはずなのに両方の鼻の穴にティッシュが詰まっている。
「ねー名前」
「はいなんでしょう」
「俺目ぇ覚めちゃったんだけど?」
「は?」
どう落とし前つけてくれんの?と笑った顔はすっごく可愛くて、ああ、だからこいつはモテるのか、なんて場違いな事を思ったりして。
ねぇ聞いてる?と小首を傾げて上目遣い気味に問われて、あれ、なに今の、身体が可笑しな反応をしましたよ?
「俺の大事な制服も汚されてしまったわけだC?」
「え、嘘っごめん」
見れば確かに腹の辺りが赤黒い…
血ってなかなか取れないよねーって笑う彼の目が笑っていない事に気付いて、さっきより更に血の気が引く。
昼寝の邪魔もされるC~?とますます深く笑んで、その眼はまさしく猛獣のそれで、誰だこいつのことを小動物系だとかほざいたのは!
にこにこと笑われるのがこんな怖いとは思ってなくて、だから認めない、一瞬でも、本当に一瞬でもこいつにときめいたりなんかしてないんだから、そう、あれはただ、
ちょっと悪寒が…
(走っただけ、そうだよ、うん)(ていうか誰かこの怖い生き物をどけてください)(うっわまた出てきたよ鼻血!何の呪いなの!)
苗字名前15歳、花も恥らう乙女のものとは思えぬ声と共に何かが地面に垂れたのでありました。
「ちょ、生まれて初めて出たんですけど…」
鼻を擦った指を見れば、べったりと赤。
鼻の奥がつんとするようなしないような。
鼻下、唇、顎、とラインを描いて地面に赤い斑点を描くそれをどうしたら良いのか全く解らずただ立ち尽くす。
委員の仕事として先生に押し付けられた大量の資料を研究室まで運ばなきゃならないのに。
「ど、しよ、え、これ、止まらないの?」
流れるように鼻から出続けるそれに戸惑いながらとりあえず人に会わなさそうな校舎裏の犬走りをてくてくと歩く。
止まらない。
とりあえず資料を汚さないようにと必死で、ポケットにティッシュがないことや、急に人生初のパフォーマンスをしてくれた鼻へのやるせなさで泣きそうになって早歩きをしているとふいに転んだ。
最悪だ。
資料のプリントやノートはぶちまけるし、なんか鼻血の量が増えた気がする。
だいたい何も無いところで何故転んだのか、いや、何かあった。何か踏んだ。
何だ?と思い鼻血垂れ流しで四つん這いになったまま後ろを向くと弁慶を押さえて涙目になった金髪と目が合った。
「名前ひどいCいきなり思いっきり踏んづけるなんて!もっと優しい起こし方があるでしょ大体ここ急所、知ってる?急所。超痛E」
どうやらいつものごとく地面に直に寝っ転がっていたジローの足(しかも弁慶の泣き所)を踏んでしまったらしい。
転んだこっちの身にもなって欲しいところだが、痛そうなので一応申し訳なさそうに謝る。
「…そんな激しく転んだの?」
「は?」
「鼻血すさまG」
女の子に向かって「鼻血すさまG」とは何だ。
事実でも言って良い事と悪い事がある。
しかし、この間廊下で大声で「鼻毛出てる!」と女の子に叫んで指摘していたので、まぁ、そういう奴か、と諦めた。
何でこんなのがモテるのか皆目見当がつかない。
「転んだせいでなんか量増えたけどさっきから出てるから気にしないで」
資料を拾いながら答えれば、いつもなら「あそ」の一言でまた就寝に戻るのに、がさごそとポケットを漁り、かびてそうなクッキーだの袋が開いた飴だの破れたレシートだのをポイ捨てして、最後にやっと出てきた薄汚れたぐっしゃぐしゃのハンカチを差し出してきた。
びっくりした。
しかしこれでどうしろというのか。
鼻血で借りたハンカチを汚す事よりも汚れたハンカチで鼻を拭く方が問題に思えてくるあたしをどうか責めないで欲しい。
だってこれ、一体いつからそのポケットに…?
「いらない」
「なんで」
「ハンカチ汚れちゃうから」
「もう汚れてるから気にすんな、これ以上汚れようが無いC」
「そんなもの差し出すな」
鼻血はまだ垂れている。
若干流れはゆっくりになってきたがまだ垂れている。
大丈夫なんだろうか。
そういえば頭がくらくらする気がする。
「くらくらする」
「そんなに俺に発情しちゃダーメ」
「何の話よ」
目も霞む気がする。
「…止まんねーの?」
「うん」
「じゃ止めてやる」
そう言うが早いか何食わぬ顔でうなじに手刀が振ってきて、目の前が真っ暗になった。
血まみれのティッシュに血まみれの薄汚れたタオル。
そんなものに囲まれてあたしはふかふかのソファに横になっていました。
「だからごめんてー」
イライラしているのか明らかに謝る口調ではない。
それに一瞬ビビるが負けない!可愛い顔したヤンキーなんかに負けない!
元は白かったのであろう何とも言えない色のタオルは血染みで赤黒く染まり、ジローが鼻血を拭いてくれた事はわかったけど、なんていうかこれいつから洗ってないのかな?
君ん家確かクリーニング屋だよね?というツッコミは胸の奥に閉まった。
ジローの目が据わってる…!
イラついてる、何よ自分が悪いくせに、あたし被害者だもん、ちょっとくらい怒ったってバチ当たんないはずでしょ!?
皆知らないようだが、実はかなり力持ちな彼はきっとぶっ倒れたあたしを担いで静かな部室まで運んで寝心地抜群の高そうなソファに寝かせたんだ。
っつかこのソファに血つけてませんよね?血ってなかなか取れないよ?これ高そうだよ?跡部の私物では?
血の気がひく。
「…とりあえず止まったみたい」
「俺のおかげ」
「どの口が言うか」
あーホントあたしどうなの。
花も恥らうお年頃のはずなのに両方の鼻の穴にティッシュが詰まっている。
「ねー名前」
「はいなんでしょう」
「俺目ぇ覚めちゃったんだけど?」
「は?」
どう落とし前つけてくれんの?と笑った顔はすっごく可愛くて、ああ、だからこいつはモテるのか、なんて場違いな事を思ったりして。
ねぇ聞いてる?と小首を傾げて上目遣い気味に問われて、あれ、なに今の、身体が可笑しな反応をしましたよ?
「俺の大事な制服も汚されてしまったわけだC?」
「え、嘘っごめん」
見れば確かに腹の辺りが赤黒い…
血ってなかなか取れないよねーって笑う彼の目が笑っていない事に気付いて、さっきより更に血の気が引く。
昼寝の邪魔もされるC~?とますます深く笑んで、その眼はまさしく猛獣のそれで、誰だこいつのことを小動物系だとかほざいたのは!
にこにこと笑われるのがこんな怖いとは思ってなくて、だから認めない、一瞬でも、本当に一瞬でもこいつにときめいたりなんかしてないんだから、そう、あれはただ、
ちょっと悪寒が…
(走っただけ、そうだよ、うん)(ていうか誰かこの怖い生き物をどけてください)(うっわまた出てきたよ鼻血!何の呪いなの!)