「全く…何してんだよ」
「宍戸先生！」




うーわー
なーんでいるんだこの人




「なんでいるんだお前が。」
「それこっちの台詞です」
「いや、俺の台詞だ」





怪訝そうに近寄ってきてバットに乗ったチョコを一瞥。





「へーお前も女らしいことできんだな」
「どういう意味ですか」
「そのままだけどー？」




このムッカつく言い方！
それでも教師かよ！！
そんな男に惚れてしまったあたしはなんなんだろう。





「…いいな、それもらえるやつ」
「なんですか宍戸先生は毎年もらえないんですか」
「ばっ…そんなわけないだろ！チョコの一個や二個…」
「でも義理ですよねー。それなのに忍足先生や跡部学園長は余分に車呼ばなきゃ持って帰れないくらい貰ってるんですよねー」
「う」
「その隣で義理チョコ２、３個とか哀しすぎますよねー」
「そんな事…っ」
「わぁ図星ですか！激ダサすぎですよ先生！！」
「うるせぇよ」




ああ拗ねちゃった　可愛いな
先生で遊ぶあたしはいけない子ですか。
でもこれも愛の形。




「大丈夫、今年は本命ありますよ」
「いらねぇ」
「なんでー」
「好きな奴以外からの本命なんていらねぇよ」





ズキン





そんなこと　言うなよな
せっかく頑張って作ったのに
大…嫌いとは嘘でも言えない
チクショー好きだこのヤロウ





「ってヲイ！何してんだよ！」
「捨てる」
「なんで！こんな時間まで残って作ってたんだろうが！！」
「もういらないもん」
「なんでだよ！」
「だって好きな奴以外からの本命なんていらないんでしょう！？」
「…は？」





あーあ
あたしって子供っぽいな
こんな言い方したら告ってるようなもんだ
ほら　困ってる
先生を困らせた　最悪あたし





「あー…名前？」
「なんですか」
「俺、最初になんて言ったよ」




最初？
最初っていつだよ





訝しげな顔をして宍戸先生を見つめていると、あ～と呻きながら頭をがしがしかいてそれからまっすぐこっちを向いた。





「「…いいな、それもらえるやつ」って言ったんだけど。」
「で？」
「で？じゃねぇよ！もういい知らねぇ！」





なんだそれ
意味わかんない
だいたいなに「…いいな、それもらえるやつ」って





え？
いいなって…え？






「せんせ？」
「んだよ」
「これ欲しい？」
「…」
「欲しい？」
「…欲しいよ悪いかよ」





わ
先生真っ赤だ
でもきっとあたしも真っ赤





「あげる」
「ん」
「本命だから」
「サンキュ」





受け取ってくれた
つっかえされると思いながら作ってたのに





「…先生ってロリコン？」
「違！なに言ってんだよ！！！」
「や…生徒と教師だし…」
「そんな歳離れてないだろ！」
「そうかぁ？」
「そうだろ！」
「でも…そっか生徒のことそういう風に見てたんだ…ふーん」
「っ…お互い様だろうが！」
「…そうですけど」




赤くなって一生懸命言い返しながらあたしの作ったチョコを食べてる
あーあ　バレンタインは明日なのに。
まぁいっか





諦めなかったら　どんな恋も　うまくいくかもよ