短編
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授業中。
多少の私語はあるもののそれなりに静かな教室で鼻をかむ音が盛大に聞こえました。
「もっと女の子らしくかんだら?」
「うるせーほっとけ。」
全く世間の連中と来たらスギヒノキが終われば花粉が終わると思ってんだから。
天気予報でも花粉情報やらなくなるし。
ホント不親切。
それでもって無知なクラスメイトどもは窓という窓を全開にしてそよ風に当たるんだ。
花粉だらけのその風に。
「それにしても箱ティッシュとくるかー…」
私の机の上にはさっきの授業の教科書とノート、筆箱と箱ティッシュ。
ポケットティッシュなんてコンパクトな可愛らしいものじゃ間に合わない。
何しろ一日で一箱あけてしまう勢いで鼻水が出るからだ。
薬も吸入もマスクも効かない。
ホントもう最悪。
あんな植物枯れてしまえばいいのに。
ずびすび鼻をかむ私を苦笑交じりで見下ろしながらベランダの生徒たちに窓を閉めるよう言ってくれる。
こいつはクラスメイトの芥川慈郎。
いつも寝てるけど起きたらハイテンションで超楽しい。
「どっからそんな水分出てくんの~?」
「鼻からだろ。」
勝手に私の隣の席を占領し面白そうに見てくる。
そんなじろじろ見ないでよー
あっシャレっぽくなっちゃった。
「名前辛そー」
「もう辛いなんてもんじゃないし。」
俺わかんないけどねーって笑うこいつはなんだか憎めない。
きっと某俺様に同じ事言われたら瞬時に回し蹴りを喰らわせるだろうけど。
「「あ。」」
とうとう鼻の皮が剥けて血が出てしまった。
痛い。
鼻水は止まらないし血は出るしもう泣きたい…
「舐めたげようか。」
…はい?
あれ、鼻かみ過ぎて耳おかしくなったかな。
「答えないってことはYESと解す~」
そう言って
私の顔と同じ高さになって
ぺろり
と鼻の頭を舐めた。
何が起こったのかわからなくて
しばらくぼーっとして
理解して発した言葉は
「汚いよっ」
だった。
「A~汚くないC」
ぷくっと頬を膨らますジロー。
いやいやいやいや
風邪じゃないとしても
鼻水でてるわけですから?
決して清潔ではございませんくてよ?
「名前はきたなくないのー。
名前だったら俺、どこでも舐めたげる。」
なんだか危険な発言にも聞こえるが
その時の笑顔があまりにも純粋で可愛くて眩しくて
私はちょっと赤くなって小さく うん と答えるしかできなかった。
花粉症は辛いけれど
ティッシュは痛いけれど
この人がいるなら
この長くも短い期間を
何とか乗り切れるかもしれないと思った。
多少の私語はあるもののそれなりに静かな教室で鼻をかむ音が盛大に聞こえました。
「もっと女の子らしくかんだら?」
「うるせーほっとけ。」
全く世間の連中と来たらスギヒノキが終われば花粉が終わると思ってんだから。
天気予報でも花粉情報やらなくなるし。
ホント不親切。
それでもって無知なクラスメイトどもは窓という窓を全開にしてそよ風に当たるんだ。
花粉だらけのその風に。
「それにしても箱ティッシュとくるかー…」
私の机の上にはさっきの授業の教科書とノート、筆箱と箱ティッシュ。
ポケットティッシュなんてコンパクトな可愛らしいものじゃ間に合わない。
何しろ一日で一箱あけてしまう勢いで鼻水が出るからだ。
薬も吸入もマスクも効かない。
ホントもう最悪。
あんな植物枯れてしまえばいいのに。
ずびすび鼻をかむ私を苦笑交じりで見下ろしながらベランダの生徒たちに窓を閉めるよう言ってくれる。
こいつはクラスメイトの芥川慈郎。
いつも寝てるけど起きたらハイテンションで超楽しい。
「どっからそんな水分出てくんの~?」
「鼻からだろ。」
勝手に私の隣の席を占領し面白そうに見てくる。
そんなじろじろ見ないでよー
あっシャレっぽくなっちゃった。
「名前辛そー」
「もう辛いなんてもんじゃないし。」
俺わかんないけどねーって笑うこいつはなんだか憎めない。
きっと某俺様に同じ事言われたら瞬時に回し蹴りを喰らわせるだろうけど。
「「あ。」」
とうとう鼻の皮が剥けて血が出てしまった。
痛い。
鼻水は止まらないし血は出るしもう泣きたい…
「舐めたげようか。」
…はい?
あれ、鼻かみ過ぎて耳おかしくなったかな。
「答えないってことはYESと解す~」
そう言って
私の顔と同じ高さになって
ぺろり
と鼻の頭を舐めた。
何が起こったのかわからなくて
しばらくぼーっとして
理解して発した言葉は
「汚いよっ」
だった。
「A~汚くないC」
ぷくっと頬を膨らますジロー。
いやいやいやいや
風邪じゃないとしても
鼻水でてるわけですから?
決して清潔ではございませんくてよ?
「名前はきたなくないのー。
名前だったら俺、どこでも舐めたげる。」
なんだか危険な発言にも聞こえるが
その時の笑顔があまりにも純粋で可愛くて眩しくて
私はちょっと赤くなって小さく うん と答えるしかできなかった。
花粉症は辛いけれど
ティッシュは痛いけれど
この人がいるなら
この長くも短い期間を
何とか乗り切れるかもしれないと思った。