短編
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「あ、宍戸じゃん!」
「おぅ」
「はい余ったからあげるー」
さりげなかっただろうか
変じゃなかっただろうか
ちゃんと笑えただろうか
声はいつも通りだっただろうか
昼休み、私のクラスの忍足を訪ねて来た宍戸に突き出した可愛いラッピングの小さい袋。
中身は手作りバレンタインチョコ。
友達に配ってた所に来たのでチャンスとばかりに押し付けてしまったけれど、みんなのよりちょっと豪華なの気付いただろうか。
余ったなんて大嘘。
宍戸用のは特別。
好みも調査済のミントチョコ。
宍戸は普通に「マジ?サンキュ」と受け取り、忍足のところに行ってしまった。
ちなみに忍足はさっきから後輩だの先輩だの知らない人がひっきりなしにやってきては「これ良かったら…」と手作りらしき包みを渡していき、その山はもはや隣の岳人の机の上にまで侵略していた。
だが、噂によると跡部はもうすでに午前中に貰った分を車を呼んで持ち帰らせたらしい。どんだけ貰ってんだか…
宍戸もそれなりに人気があるわけだが、跡部や忍足のように雪崩のように貰ってはいないようだ。
宍戸はチョコに埋もれた忍足をからかい岳人となにか言い合ってまたドアの方に戻ってきた。
私はポケットの中の小さな紙切れを握り締めた。
渡さなきゃ。
「ね、宍戸!」
「ん?」
「これ、あとで1人で読んで!!」
「あ?あぁ…」
小さくたたんだメモ帳を人目につかないように隠すように渡す。
宍戸は「?」を出しながらも受け取り、ポケットに入れた。
間違っても人前で読むなよ…
手紙の内容はいたってシンプル。
「義理じゃないから。」
ただそれだけ。
もうちょっとなにか他にも書いて変化球で渡せばよかったかな…
直球過ぎたかも…
なんて渡してしまってから思う。
「おい来て見ろよ!D組の山田がF組の森に告られてんぜ!」
校舎裏が見下ろせる廊下の窓に人が群がる。
あーあ、校舎裏なんてベタなところでやっちゃったら野次馬に全部見られちゃうよー可哀想に。
こういう日は屋上や体育館倉庫裏なども早いもんがちだ。
呼び出しておいて行ってみたら先客がいて告白の真っ最中、なんてバツの悪い経験をした友達もいる。
人のいないところで渡す方が目立ってしまうのだ。
だから私はあえて人の多い教室で渡した。
木を隠すなら森ってね!
「…」
「あ、宍戸」
放課後、私の教室に来た宍戸はまっすぐ私の席へ。
幸い忍足に渡しに来る人がまだいっぱいいてクラスメイトはそっちに気を取られてくれている。
「手紙、読んだんだけど。」
「…うん」
「でさ、その、チョコ美味かったぜ」
「食べたんだ。」
「で、あの…返事、なんだけど。」
心臓はもう壊れるんじゃないかってくらい高鳴ってる。
宍戸はあーとかうーとかはっきりしない声を出して上を向いたり下を向いたり。
ドキドキが違う感じになってきた。
振られちゃうの…?
「えーと。コレ。」
机の上に置かれたのは一枚のミントガム。
「何コレ」
「お返し」
「は?」
「ほら、俺こういうの慣れてねーからっつか多分ホワイトデーに渡し損ねると思って。今渡しとく。」
「…えーと…」
「なんだ、その、俺も義理じゃないっつーか、あれだ、まぁうん、それお返し。じゃ。またな。」
みるみるうちに赤くなっていった宍戸は最後のほうはもうヤケみたいな感じで言うと逃げるように教室から出て行こうとした。
「…宍戸!」
「な、なんだよ」
「今日…一緒に帰る?」
「…いいけど。」
別にどうでもいいみたいな言い方した宍戸だったが、耳まで真っ赤で。
はっきりいって激ダサだ。
こんなにウブだとは思わなかった。
とかいう私もきっと真っ赤だろうけど。
異様に熱いのはきっと気のせいだ。
「おぅ」
「はい余ったからあげるー」
さりげなかっただろうか
変じゃなかっただろうか
ちゃんと笑えただろうか
声はいつも通りだっただろうか
昼休み、私のクラスの忍足を訪ねて来た宍戸に突き出した可愛いラッピングの小さい袋。
中身は手作りバレンタインチョコ。
友達に配ってた所に来たのでチャンスとばかりに押し付けてしまったけれど、みんなのよりちょっと豪華なの気付いただろうか。
余ったなんて大嘘。
宍戸用のは特別。
好みも調査済のミントチョコ。
宍戸は普通に「マジ?サンキュ」と受け取り、忍足のところに行ってしまった。
ちなみに忍足はさっきから後輩だの先輩だの知らない人がひっきりなしにやってきては「これ良かったら…」と手作りらしき包みを渡していき、その山はもはや隣の岳人の机の上にまで侵略していた。
だが、噂によると跡部はもうすでに午前中に貰った分を車を呼んで持ち帰らせたらしい。どんだけ貰ってんだか…
宍戸もそれなりに人気があるわけだが、跡部や忍足のように雪崩のように貰ってはいないようだ。
宍戸はチョコに埋もれた忍足をからかい岳人となにか言い合ってまたドアの方に戻ってきた。
私はポケットの中の小さな紙切れを握り締めた。
渡さなきゃ。
「ね、宍戸!」
「ん?」
「これ、あとで1人で読んで!!」
「あ?あぁ…」
小さくたたんだメモ帳を人目につかないように隠すように渡す。
宍戸は「?」を出しながらも受け取り、ポケットに入れた。
間違っても人前で読むなよ…
手紙の内容はいたってシンプル。
「義理じゃないから。」
ただそれだけ。
もうちょっとなにか他にも書いて変化球で渡せばよかったかな…
直球過ぎたかも…
なんて渡してしまってから思う。
「おい来て見ろよ!D組の山田がF組の森に告られてんぜ!」
校舎裏が見下ろせる廊下の窓に人が群がる。
あーあ、校舎裏なんてベタなところでやっちゃったら野次馬に全部見られちゃうよー可哀想に。
こういう日は屋上や体育館倉庫裏なども早いもんがちだ。
呼び出しておいて行ってみたら先客がいて告白の真っ最中、なんてバツの悪い経験をした友達もいる。
人のいないところで渡す方が目立ってしまうのだ。
だから私はあえて人の多い教室で渡した。
木を隠すなら森ってね!
「…」
「あ、宍戸」
放課後、私の教室に来た宍戸はまっすぐ私の席へ。
幸い忍足に渡しに来る人がまだいっぱいいてクラスメイトはそっちに気を取られてくれている。
「手紙、読んだんだけど。」
「…うん」
「でさ、その、チョコ美味かったぜ」
「食べたんだ。」
「で、あの…返事、なんだけど。」
心臓はもう壊れるんじゃないかってくらい高鳴ってる。
宍戸はあーとかうーとかはっきりしない声を出して上を向いたり下を向いたり。
ドキドキが違う感じになってきた。
振られちゃうの…?
「えーと。コレ。」
机の上に置かれたのは一枚のミントガム。
「何コレ」
「お返し」
「は?」
「ほら、俺こういうの慣れてねーからっつか多分ホワイトデーに渡し損ねると思って。今渡しとく。」
「…えーと…」
「なんだ、その、俺も義理じゃないっつーか、あれだ、まぁうん、それお返し。じゃ。またな。」
みるみるうちに赤くなっていった宍戸は最後のほうはもうヤケみたいな感じで言うと逃げるように教室から出て行こうとした。
「…宍戸!」
「な、なんだよ」
「今日…一緒に帰る?」
「…いいけど。」
別にどうでもいいみたいな言い方した宍戸だったが、耳まで真っ赤で。
はっきりいって激ダサだ。
こんなにウブだとは思わなかった。
とかいう私もきっと真っ赤だろうけど。
異様に熱いのはきっと気のせいだ。