雨、雨、ふれ、ふれ、
はじめにお名前変換してください
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「はぁっはあっ…うわーびしょびしょだ」
駆け込んできた長身の男の子。
胸元できらり、と何か光った。
「あ、隣失礼しま…あれ、名前先輩?」
宍戸に良く懐いている鳳長太郎。
縦にでかくて圧倒されるが、顔は無邪気に子供らしさを残している。
「雨宿り、ですか?」
「うん」
いつも通りにこっとこっちが頭撫でたくなるくらい可愛い笑顔で会釈される。
でも今は濡れた髪から滴る水滴がなんかこう彼を大人びて見せて、思わず赤くなりそうになる。
びっしょり濡れた服は身体に張り付いて、ただ背が高いんじゃなく、鍛えられた肉体のラインをくっきりと表していて。
「やみますかねぇ?」
「うーん…やんでくれなきゃねぇ」
「そうですよね」
ふたりで空を見上げる。
と、長太郎がひざを曲げ、ちょっとかがんだ。
「…これが名前さんの視界かぁ」
「!」
私と同じ目線で空を見る長太郎。
なんとなく馬鹿にされた気がしてちょっと背伸びしてみる。
きょとん、と背伸びした私を見てまたにこって笑う。
なんかさらに馬鹿にされた気分…
「どうせ小さいよー」
「そんなことないですよ」
「私の視界とちょたの視界、全然ちがうでしょ」
「はい、違いますね」
そんなはっきり言わずとも…
不機嫌になった私を見てなにを思ったかアメをくれた。
なんだかさらに不機嫌になった気がしないでもないが、とりあえずありがとうという。
どういたしまして、と笑う彼がどうしてもいつもと違って見えて、ドキッとしてしまう自分にさらに腹が立つ。
「あめ、嫌いですか?」
「別に。あんまり甘いのは苦手。」
「? 雨って甘いですか…?」
「…!! そっちか!うん、別に、普通!」
いきなり聞いてくるもんだから、もらってすぐ、ポケットに入れた飴から思考が離れてなくておかしな受け答えをしてしまった。
雨は、どっちかっていうと嫌い。
憂鬱になる。髪もはねるし、濡れるし、なんかあのどんよりとした感じが嫌い。
「雨って髪、はねますよね。」
見ると長太郎の髪はいつもよりはねてくるくるで。
まるでどっかの眠り姫(王子?)みたいになってて。
「だから嫌いなんですけど…今日のは違いますね」
空を見たまま言う。
今日だってはねてるのに。
いつもはもっとはねるのかな。
長太郎、まつげ長いな。
背高いな。
綺麗な顔してるよな。
「あれ、あがったみたいですね」
「えっ? あ、ホントだ…」
勢いよく降っていた雨はいつのまにかぽたぽた程度になっていて、雲の間から光が差して、綺麗。
一緒に軒下を出て、なんなとなく同じ方向に歩いてく。
長太郎、どこ行くんだろう。
私はこのまま帰るつもりだけど。
「あっ見て!虹!!」
「えっ?!どこ?!」
「あそこですよ!」
「えーわかんない」
ちょたの見ているほうを一生懸命凝視するけれど、わからない。
うーん、と唸っているとふいに体が浮いた。
「ちょ…っ」
「ほら、見えましたか?」
ちょたに抱き上げられ、抗議する間もなく空を見させられる。
「あ」
「…見えました?」
「うん。久しぶりに見た。綺麗だね」
「名前さんのが綺麗ですよ。」
今時漫画でもいう奴いないだろう的発言に驚く。
にこり、と笑う彼は、髪に残ったしずくがキラキラして、やっぱりいつもとは違って。
「そんなこと、ない」
「俺の視界からは、綺麗ですよ」
「なにそれ。」
「名前さんは虹が見えなかったみたいに自分の美しさが自分からは見えなかっただけですよ。
「俺の視界からは、とっても綺麗です。」
「俺の視界からは、って…」
「じゃあ名前さんも俺の視界から見てみてください。」
「は?どうやって…」
その時、長太郎の瞳に映る自分が見えた。
雨上がりのきらきらで澄んだ空気の中、少しトクベツに見えた私はちょっとだけいい感じ。
微笑み返すと、ぎゅっと抱きしめられた。
「そろそろ降ろして」
「いやです」
「こらー先輩命令だぞー」
「しりません」
人の目が気になる。
でも長太郎はいっこうに離す気配はなくて。
でもまぁ、他人の視線で自分を見せてくれたから、今日は許してあげよう。
「長太郎。」
「はい」
「私も、今日の雨は好き」
駆け込んできた長身の男の子。
胸元できらり、と何か光った。
「あ、隣失礼しま…あれ、名前先輩?」
宍戸に良く懐いている鳳長太郎。
縦にでかくて圧倒されるが、顔は無邪気に子供らしさを残している。
「雨宿り、ですか?」
「うん」
いつも通りにこっとこっちが頭撫でたくなるくらい可愛い笑顔で会釈される。
でも今は濡れた髪から滴る水滴がなんかこう彼を大人びて見せて、思わず赤くなりそうになる。
びっしょり濡れた服は身体に張り付いて、ただ背が高いんじゃなく、鍛えられた肉体のラインをくっきりと表していて。
「やみますかねぇ?」
「うーん…やんでくれなきゃねぇ」
「そうですよね」
ふたりで空を見上げる。
と、長太郎がひざを曲げ、ちょっとかがんだ。
「…これが名前さんの視界かぁ」
「!」
私と同じ目線で空を見る長太郎。
なんとなく馬鹿にされた気がしてちょっと背伸びしてみる。
きょとん、と背伸びした私を見てまたにこって笑う。
なんかさらに馬鹿にされた気分…
「どうせ小さいよー」
「そんなことないですよ」
「私の視界とちょたの視界、全然ちがうでしょ」
「はい、違いますね」
そんなはっきり言わずとも…
不機嫌になった私を見てなにを思ったかアメをくれた。
なんだかさらに不機嫌になった気がしないでもないが、とりあえずありがとうという。
どういたしまして、と笑う彼がどうしてもいつもと違って見えて、ドキッとしてしまう自分にさらに腹が立つ。
「あめ、嫌いですか?」
「別に。あんまり甘いのは苦手。」
「? 雨って甘いですか…?」
「…!! そっちか!うん、別に、普通!」
いきなり聞いてくるもんだから、もらってすぐ、ポケットに入れた飴から思考が離れてなくておかしな受け答えをしてしまった。
雨は、どっちかっていうと嫌い。
憂鬱になる。髪もはねるし、濡れるし、なんかあのどんよりとした感じが嫌い。
「雨って髪、はねますよね。」
見ると長太郎の髪はいつもよりはねてくるくるで。
まるでどっかの眠り姫(王子?)みたいになってて。
「だから嫌いなんですけど…今日のは違いますね」
空を見たまま言う。
今日だってはねてるのに。
いつもはもっとはねるのかな。
長太郎、まつげ長いな。
背高いな。
綺麗な顔してるよな。
「あれ、あがったみたいですね」
「えっ? あ、ホントだ…」
勢いよく降っていた雨はいつのまにかぽたぽた程度になっていて、雲の間から光が差して、綺麗。
一緒に軒下を出て、なんなとなく同じ方向に歩いてく。
長太郎、どこ行くんだろう。
私はこのまま帰るつもりだけど。
「あっ見て!虹!!」
「えっ?!どこ?!」
「あそこですよ!」
「えーわかんない」
ちょたの見ているほうを一生懸命凝視するけれど、わからない。
うーん、と唸っているとふいに体が浮いた。
「ちょ…っ」
「ほら、見えましたか?」
ちょたに抱き上げられ、抗議する間もなく空を見させられる。
「あ」
「…見えました?」
「うん。久しぶりに見た。綺麗だね」
「名前さんのが綺麗ですよ。」
今時漫画でもいう奴いないだろう的発言に驚く。
にこり、と笑う彼は、髪に残ったしずくがキラキラして、やっぱりいつもとは違って。
「そんなこと、ない」
「俺の視界からは、綺麗ですよ」
「なにそれ。」
「名前さんは虹が見えなかったみたいに自分の美しさが自分からは見えなかっただけですよ。
「俺の視界からは、とっても綺麗です。」
「俺の視界からは、って…」
「じゃあ名前さんも俺の視界から見てみてください。」
「は?どうやって…」
その時、長太郎の瞳に映る自分が見えた。
雨上がりのきらきらで澄んだ空気の中、少しトクベツに見えた私はちょっとだけいい感じ。
微笑み返すと、ぎゅっと抱きしめられた。
「そろそろ降ろして」
「いやです」
「こらー先輩命令だぞー」
「しりません」
人の目が気になる。
でも長太郎はいっこうに離す気配はなくて。
でもまぁ、他人の視線で自分を見せてくれたから、今日は許してあげよう。
「長太郎。」
「はい」
「私も、今日の雨は好き」