雨、雨、ふれ、ふれ、
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「ぎゃっ!!」
「えっ?!うわっ悪りぃ!!!」
いきなり目の前を走っていった奴が思いっきり足を突っ込んだ水溜りのしぶきをものの見事にかぶってしまった。
最悪…
とりあえず文句でも、と相手を見、相手も私を見た。
「あれっ苗字じゃん!」
「宍戸かよ!!」
つむじ風のごとく走ってきた奴は中一、二、三と同じクラスの腐れ縁、宍戸亮。
いつもの帽子はかぶっておらず、髪も服もびっしょびしょに濡れてて重そうだった。
「何やってんだ?」
「そっちこそ…」
「学校行く途中!傘ねぇし、まぁ濡れても部室に着替えあるし、ってことで。」
「ずぶ濡れ…大丈夫?」
「俺はタフだしな!こんくらいの雨、どうってことねぇよ!!」
「まぁ、なんとかは風邪引かないって言うしね」
「どーいう意味だ」
軒下に入ってこようともせず、ただ降りしきる雨に打たれたまま平然と話す。
手ぶらだし、一体何してたんだか。
「苗字は?何してんだよそんなトコで」
「雨宿り」
「あぁ?!激ダサだな!」
む。
なんでダサいんだよ。びしょびしょのお前のがダサいし。
「お前、スマホは?」
「家に…」
「時計は?」
「してないよ?」
「たまごっちは?」
「持ってねぇし!!!」
なんなの…?
よし、と呟くといきなし私の腕をぐい、と引っ張った。
「わっ何すっ…きゃっ」
屋根の下から引きずり出され、せっかく無事だったのに濡れて、慌てて軒下へと戻る。
なんの嫌がらせだ。
宍戸を睨むとあいつはきょとんとしている。
「もう濡れちまったんだし出てこいよ」
「誰のせいだよッ!!」
「いーじゃねーか。部室行けば服貸してやるし、何本か傘あるし、それで帰ればいいだろ。いつやむかわかんないぜ」
「じゃー学校帰りに宍戸が私にも傘取ってきてここに戻ってきて渡してくれたらいいじゃん!!」
「まーそういわず!気持ちいいぜ!!」
爽快に笑う宍戸は上を見上げた。
容赦なく宍戸を濡らす雨。
でもなんだか宍戸はとっても楽しそうで。
中途半端に濡れた私はなんだか腹が立って覚悟を決めると軒下から飛び出した。
「おっ よし、行くか!」
出たはいいもののあまりの大粒にビビっている私の手を宍戸がつかむ。
え、と思う間もなく私を引っ張って宍戸は走る走る走る。
でも、私に合わせているのか全力は出さず、顔や肩やいろんなところに打ちつける雨を気にもせず、ただ私を引っ張って、傘を差して歩く人々の間を縫うように走った。
みずたまりを思い切り跳ね上げても
すべってこけそうになっても
変な目で見られても
走って走って走って。
ふたりとも、すごい清々しい笑顔で走っていたに違いない。
「あー気持ちよかった!!」
綺麗なテニス部の部室で、借りたタオルで髪を拭き、びしょ濡れの余韻に浸る。
たまにはいいかもしれない。
「はいこれ。ちょっと汗臭いかも。」
「えー…」
「なんだよ!!」
「うそだよー短気な奴!」
気分を害した様子の宍戸を濡れたタオルでひっぱたく。
さらに怒り声をあげたけど顔は笑っていて。
渡された宍戸のTシャツを握り締め、どこで着替えようかときょろきょろしていると壁に無造作に立てかけてある何本かのビニール傘やら小奇麗な傘やらが目に止まった。
きっとみんなでもしものために置き傘してるんだろう。
帰りは濡れるわけにはいかないんだよなぁ、とちょっと寂しく思った。
窓の外を見るとまだ結構降っているようで。
「ね」
「ん?」
「今度雨の日、一緒帰ろ?」
「…傘なしで?」
「傘なしで。」
いつになく爽やかに楽しみにきらきらした笑顔で顔を見合わせた。
「えっ?!うわっ悪りぃ!!!」
いきなり目の前を走っていった奴が思いっきり足を突っ込んだ水溜りのしぶきをものの見事にかぶってしまった。
最悪…
とりあえず文句でも、と相手を見、相手も私を見た。
「あれっ苗字じゃん!」
「宍戸かよ!!」
つむじ風のごとく走ってきた奴は中一、二、三と同じクラスの腐れ縁、宍戸亮。
いつもの帽子はかぶっておらず、髪も服もびっしょびしょに濡れてて重そうだった。
「何やってんだ?」
「そっちこそ…」
「学校行く途中!傘ねぇし、まぁ濡れても部室に着替えあるし、ってことで。」
「ずぶ濡れ…大丈夫?」
「俺はタフだしな!こんくらいの雨、どうってことねぇよ!!」
「まぁ、なんとかは風邪引かないって言うしね」
「どーいう意味だ」
軒下に入ってこようともせず、ただ降りしきる雨に打たれたまま平然と話す。
手ぶらだし、一体何してたんだか。
「苗字は?何してんだよそんなトコで」
「雨宿り」
「あぁ?!激ダサだな!」
む。
なんでダサいんだよ。びしょびしょのお前のがダサいし。
「お前、スマホは?」
「家に…」
「時計は?」
「してないよ?」
「たまごっちは?」
「持ってねぇし!!!」
なんなの…?
よし、と呟くといきなし私の腕をぐい、と引っ張った。
「わっ何すっ…きゃっ」
屋根の下から引きずり出され、せっかく無事だったのに濡れて、慌てて軒下へと戻る。
なんの嫌がらせだ。
宍戸を睨むとあいつはきょとんとしている。
「もう濡れちまったんだし出てこいよ」
「誰のせいだよッ!!」
「いーじゃねーか。部室行けば服貸してやるし、何本か傘あるし、それで帰ればいいだろ。いつやむかわかんないぜ」
「じゃー学校帰りに宍戸が私にも傘取ってきてここに戻ってきて渡してくれたらいいじゃん!!」
「まーそういわず!気持ちいいぜ!!」
爽快に笑う宍戸は上を見上げた。
容赦なく宍戸を濡らす雨。
でもなんだか宍戸はとっても楽しそうで。
中途半端に濡れた私はなんだか腹が立って覚悟を決めると軒下から飛び出した。
「おっ よし、行くか!」
出たはいいもののあまりの大粒にビビっている私の手を宍戸がつかむ。
え、と思う間もなく私を引っ張って宍戸は走る走る走る。
でも、私に合わせているのか全力は出さず、顔や肩やいろんなところに打ちつける雨を気にもせず、ただ私を引っ張って、傘を差して歩く人々の間を縫うように走った。
みずたまりを思い切り跳ね上げても
すべってこけそうになっても
変な目で見られても
走って走って走って。
ふたりとも、すごい清々しい笑顔で走っていたに違いない。
「あー気持ちよかった!!」
綺麗なテニス部の部室で、借りたタオルで髪を拭き、びしょ濡れの余韻に浸る。
たまにはいいかもしれない。
「はいこれ。ちょっと汗臭いかも。」
「えー…」
「なんだよ!!」
「うそだよー短気な奴!」
気分を害した様子の宍戸を濡れたタオルでひっぱたく。
さらに怒り声をあげたけど顔は笑っていて。
渡された宍戸のTシャツを握り締め、どこで着替えようかときょろきょろしていると壁に無造作に立てかけてある何本かのビニール傘やら小奇麗な傘やらが目に止まった。
きっとみんなでもしものために置き傘してるんだろう。
帰りは濡れるわけにはいかないんだよなぁ、とちょっと寂しく思った。
窓の外を見るとまだ結構降っているようで。
「ね」
「ん?」
「今度雨の日、一緒帰ろ?」
「…傘なしで?」
「傘なしで。」
いつになく爽やかに楽しみにきらきらした笑顔で顔を見合わせた。