雨、雨、ふれ、ふれ、
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「溜息ついたら幸せ逃げるでー?」
びっくりして顔を上げるとそこには見知った顔が。
にっこりとうさんくさく微笑みかけて深めの青い傘をさし、目の前に立っていた。
「なにかと思った」
「はい、幸せを逃がさんために溜息を…吸おか!!」
「それ溜息じゃないし」
傘を閉じ、軒下に入ってくる。
お互い何も話さないので、薄っぺらい申し訳程度の雨宿りスペースを作っている布製の屋根を雨が打つ音だけが妙に響く。
なんで傘持ってるのにこの人はこんなトコにいるんだろう。
「なぁ、どんくらいここにおったん?」
「えっ?…さぁ…わかんない」
「ふぅん」
こちらを見向きもしないで前を通り過ぎていく人、車。
もう日が暮れ始め、ちょっと薄暗くなり、雨が不気味に光を反射して空気の中で光る。
じめじめと首にまとわりつく空気を払いのけるように頭を振った。
「良かったら」
ぼそり、と忍足が呟く。
らしくもなく小さめの声で言うので聞き取ろうと顔を向ける。
「俺の傘、入ってかへん?」
思いもよらないその言葉。
だって、忍足、え、何??
別に特別仲良しなわけでも、好かれてるわけでもなく、ただのクラスメイトで。
そんな素振りも、脈も、噂もないし。
そうだ、私一人で浮かれて舞い上がって何してるんだ。たかが相合傘くらいで。そんな深い意味ないって。うん。
「そんな、忍足濡れちゃうから、いいよ。」
なるべく無難な言葉を選ぶ。
そうだよ、勝手に思い込んだけど、きっと多分相合傘なんて意味なんかじゃない。
この傘使えって言ってるんだ。忍足は私に使わせて自分は濡れて帰ろうと。
そんなの悪い。
「いや、そうやなくて…家帰る途中やろ?送ってく。」
今度はさっきよりはっきりと、でもちょっと焦ったようないつもの落ち着いて余裕ぶっこいてる声の調子とは一味違ったトーンで発せられた言葉。
送ってく、って
え…なんで?あ、そうか
「今日はエイプリルフールか!」
「バリバリ九月やん!アホか!!」
いつもの調子でツッコミがきて、ほっとする。
忍足はもう傘を開いていて、傘の下には少しスペースを空けたみたいにして立っている忍足がいて。
その忍足は私をじっと見てた。
「…どうも。」
男子と相合傘なんて初めてだ。
忍足の傘は思ったより大きくて私は全然濡れることもなく。
「忍足って優しいねぇ。さすがフェミニスト」
「いやいや。俺のモットーは来るもの拒まず、去るもの追う、やから」
「追うのかよ!!未練垂れ流し!」
「垂れ流しって」笑
「今流行ってんの、その言い方」笑
たわいない話が凄く楽しい。
忍足って面白いやつだなぁ
「名前ってホンマおもろいな」
「は?!私じゃなくて忍足が面白いんじゃん!!」
「そんなことないわ。な、何処でそんなおもろい話見つけてくるん?」
「えー…前略、中略、省略、以下略」
「全部略してどうすんねん!!それじゃわからへん!!」
忍足はツボったのか心底楽しそうに笑ってたけど、その顔は一瞬でこわばった。
「? おした―…」
「…名前…ッ」
ぱっと明るくなって
けたたましいクラクションの音
水飛沫の激しい音と
タイヤの滑った耳障りな高音
なにが起きたのか
とにかく悪寒がして
は、と気付いたらまた静かに雨が降っているだけで。
「どこ見てんだ、このクソがきぃ!!」
きらきらしたトラックの運転席から罵声
私はびくっとすくんだが、かまわず横からも怒鳴り声
「信号無視しといてよう言うわ!!歩行者優先やろがこのヴォケ!!」
トラックは行ってしまったようで
私はようやく忍足に抱きしめられてることを理解した
「あ…大丈夫やった?」
優しく覗き込まれる。
雨はしとしと降っていて。
私はちょっと濡れただけであとはべつにどうもなくて。
「うん」
私の目は忍足の左肩に。
びっしょり。
え、なんで?
私は全然濡れなかったのに、傘大きいのに、なんで?
私が目を見張っていると気付いたのか忍足は苦笑した。
「女の子濡らすわけにいかんしね」
傘が大きいわけじゃなかった。
私が濡れないように、自分の肩を濡らして、そんな、私なんか濡れたって別に…
「ほな、行こか…つっ!!」
「!?」
顔が歪む。
私が心配な表情を浮かべたのがわかったのかへらりと笑う。
「大丈夫…避けた時、ちょっとな…」
私をかばってトラック避けて、水たまりの水かぶって、それでも傘を維持しようと、私を転ばすまいと、無理な体勢で踏ん張ったんだろう
「…わっ!?どうしたん!?どっか痛いん?!」
私の頬を伝った涙を見て慌てふためく。
違うんだ
違くて
「別にひねったとかそんな大きな事と違うから!!ちょっとかくんってなっただけで!!」
「ん、ありがとう…」
傘を握ってる手に自分の手を重ねる
驚いたように彼の瞳が揺れたけど
かまわず見つめ返す。
彼はふっと笑って
「…好きや。」
「私も…好きです」
さっきよりも低くく、頭に傘骨が当たるくらい低く傘が降りてきて、
誰にも見られず、街中で
ふたりは唇を交わした
びっくりして顔を上げるとそこには見知った顔が。
にっこりとうさんくさく微笑みかけて深めの青い傘をさし、目の前に立っていた。
「なにかと思った」
「はい、幸せを逃がさんために溜息を…吸おか!!」
「それ溜息じゃないし」
傘を閉じ、軒下に入ってくる。
お互い何も話さないので、薄っぺらい申し訳程度の雨宿りスペースを作っている布製の屋根を雨が打つ音だけが妙に響く。
なんで傘持ってるのにこの人はこんなトコにいるんだろう。
「なぁ、どんくらいここにおったん?」
「えっ?…さぁ…わかんない」
「ふぅん」
こちらを見向きもしないで前を通り過ぎていく人、車。
もう日が暮れ始め、ちょっと薄暗くなり、雨が不気味に光を反射して空気の中で光る。
じめじめと首にまとわりつく空気を払いのけるように頭を振った。
「良かったら」
ぼそり、と忍足が呟く。
らしくもなく小さめの声で言うので聞き取ろうと顔を向ける。
「俺の傘、入ってかへん?」
思いもよらないその言葉。
だって、忍足、え、何??
別に特別仲良しなわけでも、好かれてるわけでもなく、ただのクラスメイトで。
そんな素振りも、脈も、噂もないし。
そうだ、私一人で浮かれて舞い上がって何してるんだ。たかが相合傘くらいで。そんな深い意味ないって。うん。
「そんな、忍足濡れちゃうから、いいよ。」
なるべく無難な言葉を選ぶ。
そうだよ、勝手に思い込んだけど、きっと多分相合傘なんて意味なんかじゃない。
この傘使えって言ってるんだ。忍足は私に使わせて自分は濡れて帰ろうと。
そんなの悪い。
「いや、そうやなくて…家帰る途中やろ?送ってく。」
今度はさっきよりはっきりと、でもちょっと焦ったようないつもの落ち着いて余裕ぶっこいてる声の調子とは一味違ったトーンで発せられた言葉。
送ってく、って
え…なんで?あ、そうか
「今日はエイプリルフールか!」
「バリバリ九月やん!アホか!!」
いつもの調子でツッコミがきて、ほっとする。
忍足はもう傘を開いていて、傘の下には少しスペースを空けたみたいにして立っている忍足がいて。
その忍足は私をじっと見てた。
「…どうも。」
男子と相合傘なんて初めてだ。
忍足の傘は思ったより大きくて私は全然濡れることもなく。
「忍足って優しいねぇ。さすがフェミニスト」
「いやいや。俺のモットーは来るもの拒まず、去るもの追う、やから」
「追うのかよ!!未練垂れ流し!」
「垂れ流しって」笑
「今流行ってんの、その言い方」笑
たわいない話が凄く楽しい。
忍足って面白いやつだなぁ
「名前ってホンマおもろいな」
「は?!私じゃなくて忍足が面白いんじゃん!!」
「そんなことないわ。な、何処でそんなおもろい話見つけてくるん?」
「えー…前略、中略、省略、以下略」
「全部略してどうすんねん!!それじゃわからへん!!」
忍足はツボったのか心底楽しそうに笑ってたけど、その顔は一瞬でこわばった。
「? おした―…」
「…名前…ッ」
ぱっと明るくなって
けたたましいクラクションの音
水飛沫の激しい音と
タイヤの滑った耳障りな高音
なにが起きたのか
とにかく悪寒がして
は、と気付いたらまた静かに雨が降っているだけで。
「どこ見てんだ、このクソがきぃ!!」
きらきらしたトラックの運転席から罵声
私はびくっとすくんだが、かまわず横からも怒鳴り声
「信号無視しといてよう言うわ!!歩行者優先やろがこのヴォケ!!」
トラックは行ってしまったようで
私はようやく忍足に抱きしめられてることを理解した
「あ…大丈夫やった?」
優しく覗き込まれる。
雨はしとしと降っていて。
私はちょっと濡れただけであとはべつにどうもなくて。
「うん」
私の目は忍足の左肩に。
びっしょり。
え、なんで?
私は全然濡れなかったのに、傘大きいのに、なんで?
私が目を見張っていると気付いたのか忍足は苦笑した。
「女の子濡らすわけにいかんしね」
傘が大きいわけじゃなかった。
私が濡れないように、自分の肩を濡らして、そんな、私なんか濡れたって別に…
「ほな、行こか…つっ!!」
「!?」
顔が歪む。
私が心配な表情を浮かべたのがわかったのかへらりと笑う。
「大丈夫…避けた時、ちょっとな…」
私をかばってトラック避けて、水たまりの水かぶって、それでも傘を維持しようと、私を転ばすまいと、無理な体勢で踏ん張ったんだろう
「…わっ!?どうしたん!?どっか痛いん?!」
私の頬を伝った涙を見て慌てふためく。
違うんだ
違くて
「別にひねったとかそんな大きな事と違うから!!ちょっとかくんってなっただけで!!」
「ん、ありがとう…」
傘を握ってる手に自分の手を重ねる
驚いたように彼の瞳が揺れたけど
かまわず見つめ返す。
彼はふっと笑って
「…好きや。」
「私も…好きです」
さっきよりも低くく、頭に傘骨が当たるくらい低く傘が降りてきて、
誰にも見られず、街中で
ふたりは唇を交わした