短編
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「名前もそろそろ相手を探す頃だな」
その相手というのがなんの相手なのか、瞬時にわからなかった俺は責められるべきなのか
「…まだ早いのでは」
掠れた声が出てしまい、一瞬焦るが、気にも留めずに父は微笑を返した
「そんな事は無い、あの子はもう立派な女だ、籍を入れなくても婚約者ぐらいはそろそろ」
「いや、しかし、名前にも相手を選ぶ権利が」
「なに、候補は数人いる。その中からきっと素敵な相手を見つけるだろう」
でも、と食い下がる俺を珍しそうに眺め、ああ、という風に笑った
嫌な汗が背中を伝う
「歳の離れた妹に先を越されるのが嫌か?お前は私の後を継ぐ身だしな、お前の縁談を先に―…」
「違う!…のです、そうではなく、」
思わず荒げてしまった声を慌てて押さえ込む
おちつけ、悟られたら終わりだ
「名前はまだ高校生です。もう結婚できる歳ではありますが、彼女なりに恋愛なども―…」
「ほぅ、しているのか?」
墓穴を掘った
即座に「ただの憶測ですが」と付け加えても、父は俺が名前の相手を知っていると思ったらしい
知っているも何も俺様自身だ、けどそんな事を父に言える訳が無い
「じゃあ、卒業する頃、また考えるとするか」
ぽん、と肩を叩き部屋から父が出て行ったと同時に机を思いっきり蹴る
父は俺の事をただの妹思いの兄と思っただろう
妹に先に縁談話を進められるのが癪だと感じたととも
違う
あいつは俺のものだ
誰にも渡したくない 渡さない
そんなのわかっている
あいつを連れて今すぐ逃げたい
そんな事出来ないとわかっている
兄妹、という関係で生まれてきてしまったどうしようもない事実をただただ呪う事しか出来ない俺は なんて無力なんだろう
その相手というのがなんの相手なのか、瞬時にわからなかった俺は責められるべきなのか
「…まだ早いのでは」
掠れた声が出てしまい、一瞬焦るが、気にも留めずに父は微笑を返した
「そんな事は無い、あの子はもう立派な女だ、籍を入れなくても婚約者ぐらいはそろそろ」
「いや、しかし、名前にも相手を選ぶ権利が」
「なに、候補は数人いる。その中からきっと素敵な相手を見つけるだろう」
でも、と食い下がる俺を珍しそうに眺め、ああ、という風に笑った
嫌な汗が背中を伝う
「歳の離れた妹に先を越されるのが嫌か?お前は私の後を継ぐ身だしな、お前の縁談を先に―…」
「違う!…のです、そうではなく、」
思わず荒げてしまった声を慌てて押さえ込む
おちつけ、悟られたら終わりだ
「名前はまだ高校生です。もう結婚できる歳ではありますが、彼女なりに恋愛なども―…」
「ほぅ、しているのか?」
墓穴を掘った
即座に「ただの憶測ですが」と付け加えても、父は俺が名前の相手を知っていると思ったらしい
知っているも何も俺様自身だ、けどそんな事を父に言える訳が無い
「じゃあ、卒業する頃、また考えるとするか」
ぽん、と肩を叩き部屋から父が出て行ったと同時に机を思いっきり蹴る
父は俺の事をただの妹思いの兄と思っただろう
妹に先に縁談話を進められるのが癪だと感じたととも
違う
あいつは俺のものだ
誰にも渡したくない 渡さない
そんなのわかっている
あいつを連れて今すぐ逃げたい
そんな事出来ないとわかっている
兄妹、という関係で生まれてきてしまったどうしようもない事実をただただ呪う事しか出来ない俺は なんて無力なんだろう