短編
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けたたましい音楽と共にバイブレーションで前進していたスマホがベッドから落ちた。
時計を見ればもうすぐ日付が変わろうとしている。
こんな時間に誰だよ…
待ち受けを確認せずに電話に出たのが悪かった。
「もっしー?名前?起きてたー?」
間延びした軽い声。
心臓がもんどり返って物凄い勢いで飛び起きた。
誰も見てないのにベッドの上で正座して慌てて答える。
「何パニくってんの?あっ、さては愛しのキヨスミお兄ちゃんがいなくて寂しくて寂しくて眠れなかったところに俺から電話がかかってきたとかー?」
楽しそうな声にギクリ、と体が強張る。
眠れなかったというわけではないが、寂しかったのは確か。
兄と二人暮しの私は家で一人で何日も過ごすのが寂しくて、確か泣いていた筈だ。いつの間に寝てしまってたんだろうか。
電気もテレビも付きっぱなし、服は制服のまま。
とりあえず制服を脱ぎながら素直に返事をしてみる。
いつも意地っ張りな私からは想像できないような寂しそうな声が出て、自分でも驚いた。
「…何、どうしたの、珍しいね素直な名前」
電話の向こうの誰かさんも驚いた様で優しい声で「俺がいないと寂しい?」なんて聞いてくるから思わず「うん」と答えてしまい、ハッとする。
「…なんてね!うるさいお兄ちゃんがいなくてせーせーしてるっていうか「うん寂しいのかぁ!やっぱり名前には俺が引っ付いてないとダメだね!!」
人の言う事なんて聞いちゃいない。
自分の都合の良いことしか耳に入らないらしい。
なんだか悔しいので「お兄ちゃんはどうなわけ」と冷たい声で言ってみれば「そりゃ寂しいよ。名前に会えないのも抱きしめたり出来ないのも耐えらんない」と真面目に返され、言葉に詰まる。
じゃあ早く帰って来てよねと口走りそうになった瞬間、
「ん?うん妹ー 何言ってんのミカちゃんだって可愛いよ♡あ、うん、わかったーマリちゃんうなじ超セクシー!」
この野郎。
電話の向こうから「やだキヨスミー」と楽しそうな女の声が数人。
「…では夜更かしはお肌に悪いのでお邪魔な妹は電話を切って寝ますねどうぞ可愛いミカちゃんやセクシーなマリちゃんと楽しい夜をお過ごし下さいではおやすみなさい」
「何言ってんの名前が1番可愛くてセクシーに決まってんじゃん何がどうお邪魔なわけ」
重低音で早口でノンブレスで言ってやったのに慌てる様子もなくさらっと言いやがって。
この女たらし。
大学のサークルの合宿とやらで男女数十人でいきなり出掛けてしまったこの身勝手な男を好きな私は一体どうしたら良いのやら。
「な、んで名前で呼ばれてるの、私だって滅多に呼ばないのに、」
「うーん、皆名前で呼び合ってるからかなー?…気に入らない?」
「…うん」
「わかった、じゃあキヨって呼んで貰うから。これならいい?」
「………うん」
「わがままさんだなぁ、…妬いちゃってかーわい♡」
いきなり低い声で囁かれ、背筋が粟立つ。
「ちょ、な、に、」
「ん?なぁにー?どうしたのー??」
こいつ!
明らかにイラついた声で「妬いてないし」と言えば「えー妬いてくれたんじゃないのー?」とかほざきやがる。
本当に、なんでこんな奴好きなんだろう。
「…浮気したら家に入れないからね」
「わかってるってー浮気なんかするわけ無いでしょ」
「えーどうだか、エロスミさんですからねー」
「清純と書いてキヨスミのお兄ちゃんになんてこと言うのこの子は!」
何キャラだよ。
女友達と仲良くしすぎるのもダメ、と我侭を言ってみれば、向こうが勝手に仲良くして来るんだよーとか言う。
嘘でもわかった、とか言えない訳?
「じゃあ私も男友達お家に呼んで仲良くするね」
「えっダメ!それダメ!!わかったから!度は越さずに仲良くするから!女の子と仲良くしすぎないから!男連れ込むなんてダメ!」
必死でまくし立てる兄ちゃんが可笑しくて、嬉しくて、
「俺は名前だけが好きなんだからね!」
いきなりの爆弾に一瞬遅れてから息が詰まる。
「な、なに、いきなり」
「俺は愛してるじゃ足りないくらい名前を愛してる」
さっきまでのあのテンションは何処へやら、すっかり口説きモードの兄上様にまずいまずいと頭の中で警報が鳴る。
「ね、名前、俺も寂しいよ。だから帰ったらキ「おやすみなさい!!」
乱暴に電話を切り、ベッドへダイブ。
またスマホが鳴ったが相手も見ずにボタンを押して黙らせる。
またまた鳴ったスマホのボタンを長押しして電源を切ってしまった。
ダメ。流されちゃダメ。心臓がバクバクいっている。
「名前?誰と話してたの?」
「学校の友達だよ」
バカキヨのせいで寂しくならないように、そう言って一人暮らしをしていたのにわざわざ泊まりに来てくれたおねえちゃんに即答で嘘をつく。(部屋覗かれるまで存在忘れた、ヤバい、声響いてなかった、よね?)
あれ以上喋っていたら嘘つける余裕を全部吸い取られてしまう。危ない危ない。
家族にも内緒なんだ、内緒内緒。
やっと落ち着いてきた心臓を撫でながらスマホの電源を入れなおす。
「…キヨスミと話す事くらい、隠さなくても良いのに」
お姉ちゃんの爆弾発言に、また心臓が跳ねるのはあと数秒後。
時計を見ればもうすぐ日付が変わろうとしている。
こんな時間に誰だよ…
待ち受けを確認せずに電話に出たのが悪かった。
「もっしー?名前?起きてたー?」
間延びした軽い声。
心臓がもんどり返って物凄い勢いで飛び起きた。
誰も見てないのにベッドの上で正座して慌てて答える。
「何パニくってんの?あっ、さては愛しのキヨスミお兄ちゃんがいなくて寂しくて寂しくて眠れなかったところに俺から電話がかかってきたとかー?」
楽しそうな声にギクリ、と体が強張る。
眠れなかったというわけではないが、寂しかったのは確か。
兄と二人暮しの私は家で一人で何日も過ごすのが寂しくて、確か泣いていた筈だ。いつの間に寝てしまってたんだろうか。
電気もテレビも付きっぱなし、服は制服のまま。
とりあえず制服を脱ぎながら素直に返事をしてみる。
いつも意地っ張りな私からは想像できないような寂しそうな声が出て、自分でも驚いた。
「…何、どうしたの、珍しいね素直な名前」
電話の向こうの誰かさんも驚いた様で優しい声で「俺がいないと寂しい?」なんて聞いてくるから思わず「うん」と答えてしまい、ハッとする。
「…なんてね!うるさいお兄ちゃんがいなくてせーせーしてるっていうか「うん寂しいのかぁ!やっぱり名前には俺が引っ付いてないとダメだね!!」
人の言う事なんて聞いちゃいない。
自分の都合の良いことしか耳に入らないらしい。
なんだか悔しいので「お兄ちゃんはどうなわけ」と冷たい声で言ってみれば「そりゃ寂しいよ。名前に会えないのも抱きしめたり出来ないのも耐えらんない」と真面目に返され、言葉に詰まる。
じゃあ早く帰って来てよねと口走りそうになった瞬間、
「ん?うん妹ー 何言ってんのミカちゃんだって可愛いよ♡あ、うん、わかったーマリちゃんうなじ超セクシー!」
この野郎。
電話の向こうから「やだキヨスミー」と楽しそうな女の声が数人。
「…では夜更かしはお肌に悪いのでお邪魔な妹は電話を切って寝ますねどうぞ可愛いミカちゃんやセクシーなマリちゃんと楽しい夜をお過ごし下さいではおやすみなさい」
「何言ってんの名前が1番可愛くてセクシーに決まってんじゃん何がどうお邪魔なわけ」
重低音で早口でノンブレスで言ってやったのに慌てる様子もなくさらっと言いやがって。
この女たらし。
大学のサークルの合宿とやらで男女数十人でいきなり出掛けてしまったこの身勝手な男を好きな私は一体どうしたら良いのやら。
「な、んで名前で呼ばれてるの、私だって滅多に呼ばないのに、」
「うーん、皆名前で呼び合ってるからかなー?…気に入らない?」
「…うん」
「わかった、じゃあキヨって呼んで貰うから。これならいい?」
「………うん」
「わがままさんだなぁ、…妬いちゃってかーわい♡」
いきなり低い声で囁かれ、背筋が粟立つ。
「ちょ、な、に、」
「ん?なぁにー?どうしたのー??」
こいつ!
明らかにイラついた声で「妬いてないし」と言えば「えー妬いてくれたんじゃないのー?」とかほざきやがる。
本当に、なんでこんな奴好きなんだろう。
「…浮気したら家に入れないからね」
「わかってるってー浮気なんかするわけ無いでしょ」
「えーどうだか、エロスミさんですからねー」
「清純と書いてキヨスミのお兄ちゃんになんてこと言うのこの子は!」
何キャラだよ。
女友達と仲良くしすぎるのもダメ、と我侭を言ってみれば、向こうが勝手に仲良くして来るんだよーとか言う。
嘘でもわかった、とか言えない訳?
「じゃあ私も男友達お家に呼んで仲良くするね」
「えっダメ!それダメ!!わかったから!度は越さずに仲良くするから!女の子と仲良くしすぎないから!男連れ込むなんてダメ!」
必死でまくし立てる兄ちゃんが可笑しくて、嬉しくて、
「俺は名前だけが好きなんだからね!」
いきなりの爆弾に一瞬遅れてから息が詰まる。
「な、なに、いきなり」
「俺は愛してるじゃ足りないくらい名前を愛してる」
さっきまでのあのテンションは何処へやら、すっかり口説きモードの兄上様にまずいまずいと頭の中で警報が鳴る。
「ね、名前、俺も寂しいよ。だから帰ったらキ「おやすみなさい!!」
乱暴に電話を切り、ベッドへダイブ。
またスマホが鳴ったが相手も見ずにボタンを押して黙らせる。
またまた鳴ったスマホのボタンを長押しして電源を切ってしまった。
ダメ。流されちゃダメ。心臓がバクバクいっている。
「名前?誰と話してたの?」
「学校の友達だよ」
バカキヨのせいで寂しくならないように、そう言って一人暮らしをしていたのにわざわざ泊まりに来てくれたおねえちゃんに即答で嘘をつく。(部屋覗かれるまで存在忘れた、ヤバい、声響いてなかった、よね?)
あれ以上喋っていたら嘘つける余裕を全部吸い取られてしまう。危ない危ない。
家族にも内緒なんだ、内緒内緒。
やっと落ち着いてきた心臓を撫でながらスマホの電源を入れなおす。
「…キヨスミと話す事くらい、隠さなくても良いのに」
お姉ちゃんの爆弾発言に、また心臓が跳ねるのはあと数秒後。