短編
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「おいっ見ろよ!」
「わぁっ雪だC!」
200人の大人数でのミーティング中、突如響いたテンションの高い声。
何事かと窓の外を見れば。
空気も地面も建物の屋根も真っ白。
「おっどろいたな」
「結構ふってんじゃん」
急にがやがやし始めた会議室もパチーンという例の音によって静かになる。
「雪がどうした。今はミーティング中だ。」
自分だって遊びたいだろうに無理してさもくだらないという表情をつくる跡部がおかしくて隣の忍足とひそかに笑いあう。
このぶんじゃ明日の部活は室内ストレッチか自主トレだ。
もう皆跡部の声など聞こえないようでがやがやしたままミーティングは終わった。
「ふぅーさっみー!」
「なぁっ明日雪合戦しよーぜ!」
「明日まで積もってたらな」
なんだかんだ言ってもやっぱ雪が降ると興奮する。
まだ誰も踏んでいないまっさらな雪に足跡をつけて1人で悦に入っているといきなり腕をつかまれた。
「なんだよ忍足。」
「あれ…名前ちゃう?」
指さされた方を見やると…確かにあの髪…立ち姿…
「悪ぃ、先帰ってて!」
そう言って校門まで全力ダッシュ。
足音に気づいたのか顔を上げる女子。
やっぱ名前だ。
「お前っ何っやって…」
急に走ったので息が乱れる。
このぐらいなんてことないはずなのに…やっぱ冬は体鈍ってんな…激ダサだぜ。
「宍戸待ってた。」
「はぁ?!いつから…」
「うーん、私の部活終わってからだから…2時間くらい?」
2時間?!
マジかよ!?
「ばっかじゃねぇの?!寒いのに…雪積もってんぞ!」
「バカって…ひっどい!」
頭や肩に積もってる雪を払ってやると口を尖らせ反論してくる。
待っててくれたことは正直嬉しい。
けどそのせいで風邪でもひかれたらたまらない。
「それより雪だよ雪!」
「見りゃわかる」
「寒い!」
「当たり前だろ」
「じゃーあったまろ!」
そう言っていきなり手を掴まれる。
「っ?!」
「手繋いだ方があったかいでしょ!」
「…まぁ…なぁ…」
「はいっ家まで走るぞー!」
ぐいっと手を引っ張られ慌てて俺も駆け出す。
何考えてんだ…
しばらく走ったところで急に名前が立ち止まったので俺は勢いあまって転んでしまった。
手を繋いでたので引っ張られて名前も転ぶ。
積もったばかりのやわらかい雪の上に中学生が並んで2人倒れているこの光景を通行人が見たら何かと思うだろう。
「あははっ」
「なんだよ!?」
「宍戸だっさーい!雪まみれ!」
「お前も雪まみれだよ!」
ゲラゲラと笑い転がる名前を最初は呆れて見てたけどだんだんこっちまでおかしくなってきてついに噴出した。
「やーい雪まみれー」
そう言って雪を投げつけられ見事顔面に食らう。
「あ…ごめん」
「…やったな!」
その場でふたりで座ったまま雪合戦。
びしょびしょになるのも時間がたつのも忘れて雪をぶつけ合って、笑いあって。
「またこうやって遊んでね」
「…は?」
いきなりの申し出に思わず間抜けな声を出す俺。
「…卒業したら高校、違うから。」
「…お前、氷帝行かねぇの?」
「うん」
そんなの聞いてない。
初等部も中学も一緒で高校も一緒だと思っていた俺には衝撃だった。
「どこ…行くんだよ」
「地元の公立」
「ふぅ…ん」
「でも家は近いままだしまた来年…雪降ったらここで雪合戦しよう?」
「…ああ。」
次の日、さんさんとかがやく太陽のせいでもう雪は溶けかけていた。
流れる透き通った水を見ながら昨日のことを思い返す。
このままこの雪は溶け、何事もなかったかのように跡形もなくなってしまうんだ。
溶けていく雪を見ていたら俺たちがここで笑いあった事実もなくなってしまうようで怖くなった。
「…どしたの?」
「いや…雪合戦しねぇ?」
気付いたら名前の家に走ってて、チャイムを押していた。
息切らして走ってきた俺にびっくりしたらしくしばらく眺めていた名前だったが、ふっと笑うと明るく答えた。
「容赦しないから。」
「上等!」
来年もそのまた次の年も雪合戦しような。
「わぁっ雪だC!」
200人の大人数でのミーティング中、突如響いたテンションの高い声。
何事かと窓の外を見れば。
空気も地面も建物の屋根も真っ白。
「おっどろいたな」
「結構ふってんじゃん」
急にがやがやし始めた会議室もパチーンという例の音によって静かになる。
「雪がどうした。今はミーティング中だ。」
自分だって遊びたいだろうに無理してさもくだらないという表情をつくる跡部がおかしくて隣の忍足とひそかに笑いあう。
このぶんじゃ明日の部活は室内ストレッチか自主トレだ。
もう皆跡部の声など聞こえないようでがやがやしたままミーティングは終わった。
「ふぅーさっみー!」
「なぁっ明日雪合戦しよーぜ!」
「明日まで積もってたらな」
なんだかんだ言ってもやっぱ雪が降ると興奮する。
まだ誰も踏んでいないまっさらな雪に足跡をつけて1人で悦に入っているといきなり腕をつかまれた。
「なんだよ忍足。」
「あれ…名前ちゃう?」
指さされた方を見やると…確かにあの髪…立ち姿…
「悪ぃ、先帰ってて!」
そう言って校門まで全力ダッシュ。
足音に気づいたのか顔を上げる女子。
やっぱ名前だ。
「お前っ何っやって…」
急に走ったので息が乱れる。
このぐらいなんてことないはずなのに…やっぱ冬は体鈍ってんな…激ダサだぜ。
「宍戸待ってた。」
「はぁ?!いつから…」
「うーん、私の部活終わってからだから…2時間くらい?」
2時間?!
マジかよ!?
「ばっかじゃねぇの?!寒いのに…雪積もってんぞ!」
「バカって…ひっどい!」
頭や肩に積もってる雪を払ってやると口を尖らせ反論してくる。
待っててくれたことは正直嬉しい。
けどそのせいで風邪でもひかれたらたまらない。
「それより雪だよ雪!」
「見りゃわかる」
「寒い!」
「当たり前だろ」
「じゃーあったまろ!」
そう言っていきなり手を掴まれる。
「っ?!」
「手繋いだ方があったかいでしょ!」
「…まぁ…なぁ…」
「はいっ家まで走るぞー!」
ぐいっと手を引っ張られ慌てて俺も駆け出す。
何考えてんだ…
しばらく走ったところで急に名前が立ち止まったので俺は勢いあまって転んでしまった。
手を繋いでたので引っ張られて名前も転ぶ。
積もったばかりのやわらかい雪の上に中学生が並んで2人倒れているこの光景を通行人が見たら何かと思うだろう。
「あははっ」
「なんだよ!?」
「宍戸だっさーい!雪まみれ!」
「お前も雪まみれだよ!」
ゲラゲラと笑い転がる名前を最初は呆れて見てたけどだんだんこっちまでおかしくなってきてついに噴出した。
「やーい雪まみれー」
そう言って雪を投げつけられ見事顔面に食らう。
「あ…ごめん」
「…やったな!」
その場でふたりで座ったまま雪合戦。
びしょびしょになるのも時間がたつのも忘れて雪をぶつけ合って、笑いあって。
「またこうやって遊んでね」
「…は?」
いきなりの申し出に思わず間抜けな声を出す俺。
「…卒業したら高校、違うから。」
「…お前、氷帝行かねぇの?」
「うん」
そんなの聞いてない。
初等部も中学も一緒で高校も一緒だと思っていた俺には衝撃だった。
「どこ…行くんだよ」
「地元の公立」
「ふぅ…ん」
「でも家は近いままだしまた来年…雪降ったらここで雪合戦しよう?」
「…ああ。」
次の日、さんさんとかがやく太陽のせいでもう雪は溶けかけていた。
流れる透き通った水を見ながら昨日のことを思い返す。
このままこの雪は溶け、何事もなかったかのように跡形もなくなってしまうんだ。
溶けていく雪を見ていたら俺たちがここで笑いあった事実もなくなってしまうようで怖くなった。
「…どしたの?」
「いや…雪合戦しねぇ?」
気付いたら名前の家に走ってて、チャイムを押していた。
息切らして走ってきた俺にびっくりしたらしくしばらく眺めていた名前だったが、ふっと笑うと明るく答えた。
「容赦しないから。」
「上等!」
来年もそのまた次の年も雪合戦しような。