短編
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こんなはずではなかった。
新部長となり、立派になった俺を見せたくて、"アレ"も出来るようになったと跡部さんをわざわざ呼び出したのに結局跡部さんの立派なアトベサンを見せつけられる羽目になった。
どうしてこうなった。
スケスケってそういうことじゃない。
周りが全裸に見えるから俺まで脱いでしまい、結果俺だけが全裸という謎の現象まで起こしてしまった。これじゃ下剋上どころじゃない…。何やってんだ俺…。
監督に全裸を指摘され、慌てて着替えに部室に戻る。
部長の俺が部活を抜けるなんてあってはならないが、全裸で部活を続けるなんてこともあってはならない。
クソッ、なんで脱いだんだ俺…。
悔やみながらも、せめてもと思い股間を手で隠しながら足早にコートを抜けて部室へと飛び込んだ。
「はぁ…何やってんだか…」
ユニフォームを着直し、部室を出てコートへと戻る。
早く戻らねばと思いつつ足取りは重たい。
部室棟の角を曲がり、コートへと続く道の途中、コンクリートで出来た胸下くらいの高さの並んだ水道から見慣れたポニーテールが覗いているのに気付きギョッとして立ち止まる。
どこの学校にもあるだろう水道の蛇口が両面にいくつも並んだ背の低い横長のそれは、人ひとりを隠すには低すぎるがポニーテールしか見えないということはかがんでいるのだろう、水がドボドボと何かに溜まっていく音が聞こえる。あの音がやんだらきっとポニーテールの主は立ち上がってしまう。そうしたら。
ざり、
引き返そうと足を動かしたら地面の砂が鳴いてしまい、ポニーテールの主はひょこりとコンクリートの壁から顔を出した。
「あれ、日吉、久しぶ」
「先輩!!!!それ以上立ち上がらないでください!!!!」
挨拶を遮って叫ぶ。
そのまま立ち上がりそうだった笑顔の彼女はビクッとしてそのまま止まった。ちょうど首まで見える高さだ。危ない。
今迄彼女を遮って発言などしたことがなかったため驚いたのか、とても困惑した顔でこちらを見ている。
「…名前、先輩、なんで、」
「あ、なんで引退したのにいるのって思ってるんでしょう?引退はしたけど卒業まではまだあるからマネージャー業務引き継ぎがてらお手伝いに来たんだよ」
バケツに水を汲みに来たの。
そう言って下を向いた彼女の手元からきゅっと音が鳴って水音がやむ。
よいしょ、という声と共に彼女が前屈みになった。やばい。まずい。
「ちょ!!!!待っ!!!!待って!!!!ください!!!!」
再び大声を出した俺に驚いたようにこちらを向く名前先輩。
前屈みになってバケツを持っているせいか、こちらからはくりっとした目元までしか見えないが壁となっている水道の高さはせいぜい鳩尾。立ち上がられたらいくら低身長の彼女とはいえ上半身は丸見えだろう。屈んでいる今だって俺の方が背が高いのだからこれ以上近づいたら水道越しに上から覗けてしまう。
さっきまでは先輩たちの見たくもない全裸祭に焦っていたが、今は違う焦りで吐きそうだ。1年の頃から恋い焦がれ憧れていた名前先輩がこんな頼りない高さのコンクリート壁一枚向こうで全裸でいる。いや、実際はちゃんと服を着ているのだけど、俺にだけは全裸に見える。いけない。そういう関係でもなければそういうムードでも場所でもない。外だぞ!こんな爽やかな青空の下、先輩本人にもバレずに堂々と、幾度となく想像し夜にはお世話にもなった裸を拝んでいいはずがない。見たい。ダメだ。チャンスだ。落ち着け。見たい!ダメだ!馬鹿!何考えてるんだ俺!
1人で突っ立ったまま百面相している俺を不審に思ったのか、はたまた中腰でいることに疲れたのか、「どうしたの?今日少し変だよ」と言った先輩は立ち上がってしまった。
一瞬だったろうけど、あまりに衝撃が強すぎてひどくゆっくりなスローモーションに見えた。
怪訝に眉をひそめ、目元だけ覗いていた顔がゆっくりと灰色のコンクリートから昇ってくる。綺麗な鼻筋、ふっくらと白桃のように柔らかそうなすべすべの頰、ぷっくりとしたさくらんぼのように赤い唇、小さな顎、そこから伸びる煽るような色気を放つ白い首筋、華奢な鎖骨…
そこまで釘付けだったがそこから下は見てはいけまい、と目をギュッと瞑る、が、見たいという欲望に負けすぐにカッと目を開いてしまった。これじゃただの瞬きだ。夢にまで見た妄想の中の柔らかな肉がついに目の前で拝める。しかも本人の預かり知らぬところで。本人に嫌われるリスクもなく白昼堂々覗きが出来る興奮から鼻息は荒くなり、早鐘を打つ胸を無意識に握り締めた。
誘うような鎖骨に続く薄い肩は布のように白くて、その中心の柔らかな膨らみも布…えっ?布っ???
「えっ?」
あ、やべ、声に出た。
立ち上がって上半身を露わにした先輩は白いTシャツを着ていた。
えっ?アレッ?胸は?
呆然と突っ立っている俺を怪訝な顔で見つめていた先輩の顔がアッと驚きに変わる。
「日吉、鼻血!出てるよ!」
「えっ?あっ」
確認しようとして下を向いたらボタタ…っと生温いものが口を通り越して滴り落ちた。うっ気持ち悪い。下を向いても自分の鼻を見れるわけでもないのに全く、馬鹿だ。
咄嗟に手で押さえると、水道の上に置いてあったタオルを掴んで先輩が駆け寄ってきてくれた、が、何かに気付いてギョッとした顔になり急に立ち止まってしまった。
微妙な距離で止まった名前先輩は急にキョドキョドと目線を彷徨わせ、みるみるうちに耳まで真っ赤になってしまった。は?かわいい。じゃなくて、一体どうしたんだ。疑問に思い鼻を手で押さえたまま一歩踏み出すと、慌てたようにタオルを投げてよこしてそっぽを向いたまま「ちょ、ちょっと具合が悪いんじゃない!?少し休んだらいいよ!」と早口で叫ぶように言うとバケツを引っ掴んでせっかく汲んだ水をバシャバシャと零しながら足早にコートへ去っていってしまった。
一体どうしたというんだ、まさか着替えたつもりがまだ全裸だったのか?いや、それなら最初に何か言われるはず、それに先輩はちゃんと服を着ていたのだから俺の王国はもう解けているはず…もやもや考えながら受け取ったタオルに目を落とし、その横のまさかの光景に動揺して鼻呼吸をしてしまいブシュッと勢いよく鼻血を吹き直してしまった。
タオルを握った手の横。
俺の身体の中心が立派にテントを張っていた。
…終わった。
人知れず裸を見ようとして、憧れの彼女に鼻血を垂れながら勃起している姿を見られてしまった。
いくらなんでも興奮しすぎだろ俺。
何してるんだ俺。
そこまで変態だったのか俺?
情けなくて恥ずかしくてやるせなくて鼻血を出したままその場に蹲った。
新部長となり、立派になった俺を見せたくて、"アレ"も出来るようになったと跡部さんをわざわざ呼び出したのに結局跡部さんの立派なアトベサンを見せつけられる羽目になった。
どうしてこうなった。
スケスケってそういうことじゃない。
周りが全裸に見えるから俺まで脱いでしまい、結果俺だけが全裸という謎の現象まで起こしてしまった。これじゃ下剋上どころじゃない…。何やってんだ俺…。
監督に全裸を指摘され、慌てて着替えに部室に戻る。
部長の俺が部活を抜けるなんてあってはならないが、全裸で部活を続けるなんてこともあってはならない。
クソッ、なんで脱いだんだ俺…。
悔やみながらも、せめてもと思い股間を手で隠しながら足早にコートを抜けて部室へと飛び込んだ。
「はぁ…何やってんだか…」
ユニフォームを着直し、部室を出てコートへと戻る。
早く戻らねばと思いつつ足取りは重たい。
部室棟の角を曲がり、コートへと続く道の途中、コンクリートで出来た胸下くらいの高さの並んだ水道から見慣れたポニーテールが覗いているのに気付きギョッとして立ち止まる。
どこの学校にもあるだろう水道の蛇口が両面にいくつも並んだ背の低い横長のそれは、人ひとりを隠すには低すぎるがポニーテールしか見えないということはかがんでいるのだろう、水がドボドボと何かに溜まっていく音が聞こえる。あの音がやんだらきっとポニーテールの主は立ち上がってしまう。そうしたら。
ざり、
引き返そうと足を動かしたら地面の砂が鳴いてしまい、ポニーテールの主はひょこりとコンクリートの壁から顔を出した。
「あれ、日吉、久しぶ」
「先輩!!!!それ以上立ち上がらないでください!!!!」
挨拶を遮って叫ぶ。
そのまま立ち上がりそうだった笑顔の彼女はビクッとしてそのまま止まった。ちょうど首まで見える高さだ。危ない。
今迄彼女を遮って発言などしたことがなかったため驚いたのか、とても困惑した顔でこちらを見ている。
「…名前、先輩、なんで、」
「あ、なんで引退したのにいるのって思ってるんでしょう?引退はしたけど卒業まではまだあるからマネージャー業務引き継ぎがてらお手伝いに来たんだよ」
バケツに水を汲みに来たの。
そう言って下を向いた彼女の手元からきゅっと音が鳴って水音がやむ。
よいしょ、という声と共に彼女が前屈みになった。やばい。まずい。
「ちょ!!!!待っ!!!!待って!!!!ください!!!!」
再び大声を出した俺に驚いたようにこちらを向く名前先輩。
前屈みになってバケツを持っているせいか、こちらからはくりっとした目元までしか見えないが壁となっている水道の高さはせいぜい鳩尾。立ち上がられたらいくら低身長の彼女とはいえ上半身は丸見えだろう。屈んでいる今だって俺の方が背が高いのだからこれ以上近づいたら水道越しに上から覗けてしまう。
さっきまでは先輩たちの見たくもない全裸祭に焦っていたが、今は違う焦りで吐きそうだ。1年の頃から恋い焦がれ憧れていた名前先輩がこんな頼りない高さのコンクリート壁一枚向こうで全裸でいる。いや、実際はちゃんと服を着ているのだけど、俺にだけは全裸に見える。いけない。そういう関係でもなければそういうムードでも場所でもない。外だぞ!こんな爽やかな青空の下、先輩本人にもバレずに堂々と、幾度となく想像し夜にはお世話にもなった裸を拝んでいいはずがない。見たい。ダメだ。チャンスだ。落ち着け。見たい!ダメだ!馬鹿!何考えてるんだ俺!
1人で突っ立ったまま百面相している俺を不審に思ったのか、はたまた中腰でいることに疲れたのか、「どうしたの?今日少し変だよ」と言った先輩は立ち上がってしまった。
一瞬だったろうけど、あまりに衝撃が強すぎてひどくゆっくりなスローモーションに見えた。
怪訝に眉をひそめ、目元だけ覗いていた顔がゆっくりと灰色のコンクリートから昇ってくる。綺麗な鼻筋、ふっくらと白桃のように柔らかそうなすべすべの頰、ぷっくりとしたさくらんぼのように赤い唇、小さな顎、そこから伸びる煽るような色気を放つ白い首筋、華奢な鎖骨…
そこまで釘付けだったがそこから下は見てはいけまい、と目をギュッと瞑る、が、見たいという欲望に負けすぐにカッと目を開いてしまった。これじゃただの瞬きだ。夢にまで見た妄想の中の柔らかな肉がついに目の前で拝める。しかも本人の預かり知らぬところで。本人に嫌われるリスクもなく白昼堂々覗きが出来る興奮から鼻息は荒くなり、早鐘を打つ胸を無意識に握り締めた。
誘うような鎖骨に続く薄い肩は布のように白くて、その中心の柔らかな膨らみも布…えっ?布っ???
「えっ?」
あ、やべ、声に出た。
立ち上がって上半身を露わにした先輩は白いTシャツを着ていた。
えっ?アレッ?胸は?
呆然と突っ立っている俺を怪訝な顔で見つめていた先輩の顔がアッと驚きに変わる。
「日吉、鼻血!出てるよ!」
「えっ?あっ」
確認しようとして下を向いたらボタタ…っと生温いものが口を通り越して滴り落ちた。うっ気持ち悪い。下を向いても自分の鼻を見れるわけでもないのに全く、馬鹿だ。
咄嗟に手で押さえると、水道の上に置いてあったタオルを掴んで先輩が駆け寄ってきてくれた、が、何かに気付いてギョッとした顔になり急に立ち止まってしまった。
微妙な距離で止まった名前先輩は急にキョドキョドと目線を彷徨わせ、みるみるうちに耳まで真っ赤になってしまった。は?かわいい。じゃなくて、一体どうしたんだ。疑問に思い鼻を手で押さえたまま一歩踏み出すと、慌てたようにタオルを投げてよこしてそっぽを向いたまま「ちょ、ちょっと具合が悪いんじゃない!?少し休んだらいいよ!」と早口で叫ぶように言うとバケツを引っ掴んでせっかく汲んだ水をバシャバシャと零しながら足早にコートへ去っていってしまった。
一体どうしたというんだ、まさか着替えたつもりがまだ全裸だったのか?いや、それなら最初に何か言われるはず、それに先輩はちゃんと服を着ていたのだから俺の王国はもう解けているはず…もやもや考えながら受け取ったタオルに目を落とし、その横のまさかの光景に動揺して鼻呼吸をしてしまいブシュッと勢いよく鼻血を吹き直してしまった。
タオルを握った手の横。
俺の身体の中心が立派にテントを張っていた。
…終わった。
人知れず裸を見ようとして、憧れの彼女に鼻血を垂れながら勃起している姿を見られてしまった。
いくらなんでも興奮しすぎだろ俺。
何してるんだ俺。
そこまで変態だったのか俺?
情けなくて恥ずかしくてやるせなくて鼻血を出したままその場に蹲った。