紅の王子様
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夏休み入って初めての合宿も終わり、ついに大会が始まった。
自分は出場しないという理由を考えるのがそれはもう物凄い大変だった。
「いや、俺は持病があって」→部活を辞めろ
「いや、今俺怪我してて」→部活ではやたら元気じゃないか
「いや、俺試合になると緊張してダメで」→跡部に殴られた
どうしようもない。大変だった。
最終的には跡部が監督に口を利かせてくれて出場しなくてすんだ。出場が決まってから女だとバレたら氷帝自体がヤバイ。
後輩や女の子に試合に出ない理由を聞かれまくったが、詩菜が口挟んだりしてくれて助かった。
都大会出場も決まり、一日休みをもらったのでストリートテニス場に向かってみた。
特にすることもないし学校だと女の子につかまるのでストテニ場で一人で気楽に打とうと思ったからだ。
あ、あそこダブルスしかダメなんだっけ。まあいっか。
「何よあんたたち!放して!」
…まさかストリートテニス場について聞いた第一声が女の子の叫び声だとは思わなかった。
放してって絡まれてでもいるのか?しかたない、みんなのヒーロー凌様が助けてあげるかな。
「そっちが約束したんだろ?そいつらを全員倒したら、あんたがデートしてくれるって」
おい跡部何してんだ。
なんと女の子に絡んでいるのは跡部だった。絡まれてる女の子はなかなか可愛い。あの制服は不動峰か?
桃城もいる…隣のヤツは知らないな。(※神尾です。ごめんなさい)
そして跡部の口から放たれるこの言葉。
「気が強ぇトコもカワイーじゃねぇの」
今何かを物凄くぶっ放したい気分だ。何故だかわからないが凄く頭にきた。
とりあえずその場に落ちてた空き缶を思いっきり蹴り飛ばした。狙ってもいないのにゴミ箱に入り、ガランっと音がした。
気を落ち着かせてコートに視線を戻せば、桃城ともう一人の男対跡部と樺地で試合をしてる。
樺地ばっかり動いて、跡部はただ座っているだけだけれど。何してるんだかねえ。
シュパッ ガン!
「いってえ!」
もうなんか見てられない、腹が立つ。たまらず跡部にテニスボールを打ってぶつけた。
「何しやがん…凌!?」
「…何してんだよ。こんなとこで。楽しそうだねえ跡部くん。言っとくけど全部見てたからな。バーカ。」
「なっちょっ…全部ってどこから…」
「気が強いところも可愛いですね、あの不動峰の子」
笑顔で言ってやった。そしてその場を離れた。樺地を連れて急いで後ろを追ってきてるみたいだがしらん。
なんでこんなにむかつくのかわかんないけど物凄いむかつく。女の子が悪くないのもわかってる、でもあの子もむかつくんだ。
「っ…綾香、待てって!」
「…言い訳とか聞きたくないっていうか今なんも聞きたくない」
跡部なんか知らない。好きにすればいい。でも、跡部が女の子を気に入ってるところなんか見たくなかった。