短編
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年に一度の校外学習の日。
今日は学年全員で国立博物館へ来ている。
山や遺跡なんかだとわいわい騒がしい学友たちも流石に厳かな雰囲気にのまれたらしく静かに見て回っている。必然的というべきか、身を寄せ合って最低限の会話だけ小声で交わすくらいの良識は持ち合わせていたようだ。
ガラス越しに展示された色鮮やかな着物に見とれていたが、黒地の中の瞳と目が合い、ぎょっと振り返る。
「わっ!…あっはははは!驚いたか?ああ、いやいや、すまんすまん」
ガラスの反射越しにじっとこちらを見ていたらしい金色の双眼が愉快そうに歪む。
彼の口癖は毎日のように聞いているというのに至近距離で密やかに囁かれるだけで新鮮に感じるのだから不思議だ。
ばくばくと耳まで震わす心音をごまかすように軽く睨むが「これ、きみに似合いそうだな」などと軽口で流されてしまった。
「もう、こんな立派な着物、似合うわけないでしょう」
「そうか?きみの雰囲気に合っていると思うが」
「もー、適当だなぁ。どっちかっていうと鶴丸くんの方が似合うんじゃない?無駄に顔がいいし」
「無駄とはなんだ。…俺にはこんな極彩色の着物は似合わないだろ。衣装は白一色でいいのさ。戦場で赤く染まって、鶴らしくなるだろう?」
「ええ~?白一色の着物で戦場に行くの?血で汚れちゃうってこと?こわ~、そんな武将聞いたことないよ」
ひそひそと言い返すと白い睫毛が寂し気に伏せられた。いつも愉快そうに笑っているのに、たまにこの顔をする。気に障ることを言ってしまった、と慌てて謝ろうとしたが、ぱっと顔を明るくした彼にさえぎられてしまった。
「なぁきみ、刀は好きかい」
返事も待たず手を引かれ、別の展示室へと足早に連れていかれる。
暗めの照明に照らされて美しくひかるそれが目に入った瞬間、胸が躍って今度は彼を引っ張るようにしてガラスケースの前まで駆け寄った。
「…みかづき、むね、ちか…だって!特別展示みたい、綺麗だねえ…!!」
声を落とし隣の彼に囁けば、私の興奮が伝わったのか、繋いだままだった手に力が込められた。
「…あっちには藤四郎、大包平、獅子王、鳴狐……」
そう囁かれながらそっと手を引かれ、ひときわ美しく輝くそれの前へ誘導される。じんわりと汗をかいた大きな手のひらが強張ったように私の手を握り締めて、すこし痛くて、繋がれた手に目線をやったついでに飛び込んできたキャプションプレートに息が詰まった。
「…!! ねえすごい、これ、鶴丸くんと同じ名前の刀だよ!」
興奮のあまり声を抑えきれず人目を集めてしまう。ぺこぺこと前後左右に頭を下げるのに忙しくて、蚊の鳴くような「やっぱり覚えていないのか、なにも」という叫びを聞き逃した。
急激に冷えた指先が離れ、手が自由になったことに気づき、となりの端正な顔を見上げて、ああ、まただ。その寂し気な、苦し気な、震えた睫毛。鶴の舞のようなそれに理由もわからず胸が締め付けられた。
かつての現実はいまや亡霊でしかなく
期待に添えていないことだけはわかる。ねぇ、どうしたらいいの。
20周年企画キャラ投票6位
鶴丸国永(刀剣乱舞)・・・2票
現パロ/学パロ×甘々
片思い×切ない
転生世界線。
鶴丸記憶あり、夢主記憶なし。
付き合っていません。同級生だけどクラスメイトですらないかも。それなのにこの距離感。夢主に恋心はないけど良心の呵責はある。
思い出してほしくて、わざと馴染みのあるセリフを言っている健気な元刀…。
あまり甘くならなかったかも…。
今日は学年全員で国立博物館へ来ている。
山や遺跡なんかだとわいわい騒がしい学友たちも流石に厳かな雰囲気にのまれたらしく静かに見て回っている。必然的というべきか、身を寄せ合って最低限の会話だけ小声で交わすくらいの良識は持ち合わせていたようだ。
ガラス越しに展示された色鮮やかな着物に見とれていたが、黒地の中の瞳と目が合い、ぎょっと振り返る。
「わっ!…あっはははは!驚いたか?ああ、いやいや、すまんすまん」
ガラスの反射越しにじっとこちらを見ていたらしい金色の双眼が愉快そうに歪む。
彼の口癖は毎日のように聞いているというのに至近距離で密やかに囁かれるだけで新鮮に感じるのだから不思議だ。
ばくばくと耳まで震わす心音をごまかすように軽く睨むが「これ、きみに似合いそうだな」などと軽口で流されてしまった。
「もう、こんな立派な着物、似合うわけないでしょう」
「そうか?きみの雰囲気に合っていると思うが」
「もー、適当だなぁ。どっちかっていうと鶴丸くんの方が似合うんじゃない?無駄に顔がいいし」
「無駄とはなんだ。…俺にはこんな極彩色の着物は似合わないだろ。衣装は白一色でいいのさ。戦場で赤く染まって、鶴らしくなるだろう?」
「ええ~?白一色の着物で戦場に行くの?血で汚れちゃうってこと?こわ~、そんな武将聞いたことないよ」
ひそひそと言い返すと白い睫毛が寂し気に伏せられた。いつも愉快そうに笑っているのに、たまにこの顔をする。気に障ることを言ってしまった、と慌てて謝ろうとしたが、ぱっと顔を明るくした彼にさえぎられてしまった。
「なぁきみ、刀は好きかい」
返事も待たず手を引かれ、別の展示室へと足早に連れていかれる。
暗めの照明に照らされて美しくひかるそれが目に入った瞬間、胸が躍って今度は彼を引っ張るようにしてガラスケースの前まで駆け寄った。
「…みかづき、むね、ちか…だって!特別展示みたい、綺麗だねえ…!!」
声を落とし隣の彼に囁けば、私の興奮が伝わったのか、繋いだままだった手に力が込められた。
「…あっちには藤四郎、大包平、獅子王、鳴狐……」
そう囁かれながらそっと手を引かれ、ひときわ美しく輝くそれの前へ誘導される。じんわりと汗をかいた大きな手のひらが強張ったように私の手を握り締めて、すこし痛くて、繋がれた手に目線をやったついでに飛び込んできたキャプションプレートに息が詰まった。
「…!! ねえすごい、これ、鶴丸くんと同じ名前の刀だよ!」
興奮のあまり声を抑えきれず人目を集めてしまう。ぺこぺこと前後左右に頭を下げるのに忙しくて、蚊の鳴くような「やっぱり覚えていないのか、なにも」という叫びを聞き逃した。
急激に冷えた指先が離れ、手が自由になったことに気づき、となりの端正な顔を見上げて、ああ、まただ。その寂し気な、苦し気な、震えた睫毛。鶴の舞のようなそれに理由もわからず胸が締め付けられた。
かつての現実はいまや亡霊でしかなく
期待に添えていないことだけはわかる。ねぇ、どうしたらいいの。
20周年企画キャラ投票6位
鶴丸国永(刀剣乱舞)・・・2票
現パロ/学パロ×甘々
片思い×切ない
転生世界線。
鶴丸記憶あり、夢主記憶なし。
付き合っていません。同級生だけどクラスメイトですらないかも。それなのにこの距離感。夢主に恋心はないけど良心の呵責はある。
思い出してほしくて、わざと馴染みのあるセリフを言っている健気な元刀…。
あまり甘くならなかったかも…。
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