戦国BASARA
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「おめでとうございます」
「名前!そっ某、どうしたら良いのであろうか!?」
嗚呼、噛み合わないこの会話。
こんなに心地良いのに、もうすぐ、それも終わるかと思うと、だめ、胸が締め付けられるだなんて、嘘。
「何も恐れる事など御座いませぬ」
「名前は知っているであろう!某は、女子、が、どうも苦手なのだ」
「そんなことを言っている場合ではないでしょうに」
これ以上、締め付けられたら、潰れてしまう、その方が良いのかしら。今破裂したら幸せかしら。
私も女子ですよ、なんて馬鹿な突っ込みはしない。
「初夜、は、やはり、同室で寝なければならぬのだろうか、某、野宿が」
「何を言っておられるのです、野宿など」
貴方が野宿するなら私も隣で寝たい。一緒に木に登って、一緒に月を眺めたい。
「ああ、腹が痛くなって…!」
「今からそんな事でどうするのです」
あと、数日したら、姫が来る。幸村様に嫁ぎに。
私は心から祝福しなくてはならないのだ、笑顔で、情けない事を抜かす主の背を押さねばならぬのだ。
ああ、もう、今この場でこの張り裂けそうな心の臓が破裂してしまえば良いのに。
幸村様に看取られるなんて何て素敵。幸村様は哀しんで下さるかしら。
「名前、どうしたら、」
「私に聞かれても」
本当に。何故、私に聞くのです。拷問ですか。私がいつ罪を犯したと。貴方に焦がれたから、いけなかったのですか。
「あああ、落ち着かぬ、某お館様の元へ行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
だだだだ、と地響きをさせ、駆けて行かれたその赤い背中から、目が離せない。見つめていても、何も、良い事などないというのに。
視界の端に緑と蜜柑色が映ったけれど、やはり、小さくなっていく赤から目を逸らせない。
「大丈夫?」
「何が」
本当にそう思っているのか定かでない声色と口調で、その緑が問うた。
橙色がちらつく。赤だけを見ていたいのに、視界の端をちらつく。そちらに意識が向く。嗚呼、赤だけを見ていたいのに、
「何がとか言われちゃうとアレなんだけどね」
まぁ、慰めて欲しかったら言ってよ、なんて笑うから、忌々しくてしょうがなくて、
「忍の三禁は知っているでしょう」
「酒に溺れる者胆を損ない、女に溺れる者剛を削がれ、金に溺れる者情を失う、ね」
「そう」
「男に溺れる者も剛を削がれるのかな、って、あれ」
言いながら身構えた佐助は、何も起こらなかった事に少々拍子抜けしたようで、前を見据えたままじっとしている私を覗き込んだりして、 残念、怒りに任せて苦無を振るうなんて事はしない、したくて右手が微かに動いたけれど。
覗き込んでつまらなさそうに身を引いた佐助はわざとらしくやれやれと溜息をついて、でも、何処かへ行こうとはしなかった。
目尻は熱いのに、潤いの無い己の目は、もう見えない赤を探して、遠くを見据えたままで、その視界を忙しそうに走り回る侍女がひとり、ふたり、さんにん、
よみがえらないで、恋心
(あと、数日で嫁いでくるというのに、この気持ちを何度捨てても、いつのまにか、)
「名前!そっ某、どうしたら良いのであろうか!?」
嗚呼、噛み合わないこの会話。
こんなに心地良いのに、もうすぐ、それも終わるかと思うと、だめ、胸が締め付けられるだなんて、嘘。
「何も恐れる事など御座いませぬ」
「名前は知っているであろう!某は、女子、が、どうも苦手なのだ」
「そんなことを言っている場合ではないでしょうに」
これ以上、締め付けられたら、潰れてしまう、その方が良いのかしら。今破裂したら幸せかしら。
私も女子ですよ、なんて馬鹿な突っ込みはしない。
「初夜、は、やはり、同室で寝なければならぬのだろうか、某、野宿が」
「何を言っておられるのです、野宿など」
貴方が野宿するなら私も隣で寝たい。一緒に木に登って、一緒に月を眺めたい。
「ああ、腹が痛くなって…!」
「今からそんな事でどうするのです」
あと、数日したら、姫が来る。幸村様に嫁ぎに。
私は心から祝福しなくてはならないのだ、笑顔で、情けない事を抜かす主の背を押さねばならぬのだ。
ああ、もう、今この場でこの張り裂けそうな心の臓が破裂してしまえば良いのに。
幸村様に看取られるなんて何て素敵。幸村様は哀しんで下さるかしら。
「名前、どうしたら、」
「私に聞かれても」
本当に。何故、私に聞くのです。拷問ですか。私がいつ罪を犯したと。貴方に焦がれたから、いけなかったのですか。
「あああ、落ち着かぬ、某お館様の元へ行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
だだだだ、と地響きをさせ、駆けて行かれたその赤い背中から、目が離せない。見つめていても、何も、良い事などないというのに。
視界の端に緑と蜜柑色が映ったけれど、やはり、小さくなっていく赤から目を逸らせない。
「大丈夫?」
「何が」
本当にそう思っているのか定かでない声色と口調で、その緑が問うた。
橙色がちらつく。赤だけを見ていたいのに、視界の端をちらつく。そちらに意識が向く。嗚呼、赤だけを見ていたいのに、
「何がとか言われちゃうとアレなんだけどね」
まぁ、慰めて欲しかったら言ってよ、なんて笑うから、忌々しくてしょうがなくて、
「忍の三禁は知っているでしょう」
「酒に溺れる者胆を損ない、女に溺れる者剛を削がれ、金に溺れる者情を失う、ね」
「そう」
「男に溺れる者も剛を削がれるのかな、って、あれ」
言いながら身構えた佐助は、何も起こらなかった事に少々拍子抜けしたようで、前を見据えたままじっとしている私を覗き込んだりして、 残念、怒りに任せて苦無を振るうなんて事はしない、したくて右手が微かに動いたけれど。
覗き込んでつまらなさそうに身を引いた佐助はわざとらしくやれやれと溜息をついて、でも、何処かへ行こうとはしなかった。
目尻は熱いのに、潤いの無い己の目は、もう見えない赤を探して、遠くを見据えたままで、その視界を忙しそうに走り回る侍女がひとり、ふたり、さんにん、
よみがえらないで、恋心
(あと、数日で嫁いでくるというのに、この気持ちを何度捨てても、いつのまにか、)