おお振り
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いつの間にか散ってしまって青々と揺れている桜を視界の端に感じつつもクリーム色に照らされた壁を見ていた。
「おーい泉ー?大丈夫かー?」
花井ののんびりした声が耳を左から右にすぅっと抜けていく。
のんびりとした時間の中、俺はゆっくりと顔を上げた。
「何が」
「ぼけらっとしてたから」
「ぼけ」に「ら」までつけられて、まぁ「ら」がついたらどう変わるのかはわからないけど、 なんとなく馬鹿にされた気がして、む、と口を尖らす。
「…何か嫌な事あったのか?」
渋い顔をした俺を見て、何を思ったか心配げに覗き込んでくる花井。
『嫌な事』は花井の『ぼけら』発言なのだが、わざわざ言うほどの事でもないから、「別に」と、適当に返す。
腑に落ちないらしい花井の顔を見ていたら、ふと、今朝のことを思い出した。
「なぁ」
「ん?」
「女子って間接キスとか気にしないのかな」
「間接キ…っ?!」
花も恥らう純情反応を片目で捉えながら、葉だけになってしまった桜を見やる。
いつの間に青くなったんだろう。
「…なんでそんな事聞くんだ?」
「朝ペットボトルのお茶貰った」
顔が赤い花井に答えると更に赤くして「飲みかけ?」と聞いてくるもんだから、正直に頷くと、大丈夫かよ、と心配になるほど赤くなって黙ってしまった。
「もしかして俺のこと好きなのかなーとか思ったり…しないけど」
「しないのかよ!!」
いつの間にか近くでキラキラ瞳を輝かせて楽しそうに聞いていた水谷の期待を裏切りたくて、思っていた事と逆のことを口にする。
でも、嫌いな奴に飲みかけなんか渡さない… 「まぁ、そういうのは友達相手だから出来るんだろうしな」 …ほら、阿部は嫌な奴だよ、 しきりに「誰?誰?」と聞いてくる水谷を押しやり、さわり、と揺れる葉桜が良く見える窓辺へと移動する。
目を瞑れば頬を柔らかい風がくすぐる。
『春ってぽかぽかしてふわふわしてパステルだよねー』
そう言ってころころ笑ったあいつが瞼の裏に浮かぶ。
パステル… 目を開ければ、飛び込んでくる花壇の花は黄や赤の原色で、校庭の木々は青々と揺れている。
「パステルじゃない、青いよ…」
ハァ、とため息をついて突っ伏した俺に気付いたのは春風だけだった。
春は青く
「おーい泉ー?大丈夫かー?」
花井ののんびりした声が耳を左から右にすぅっと抜けていく。
のんびりとした時間の中、俺はゆっくりと顔を上げた。
「何が」
「ぼけらっとしてたから」
「ぼけ」に「ら」までつけられて、まぁ「ら」がついたらどう変わるのかはわからないけど、 なんとなく馬鹿にされた気がして、む、と口を尖らす。
「…何か嫌な事あったのか?」
渋い顔をした俺を見て、何を思ったか心配げに覗き込んでくる花井。
『嫌な事』は花井の『ぼけら』発言なのだが、わざわざ言うほどの事でもないから、「別に」と、適当に返す。
腑に落ちないらしい花井の顔を見ていたら、ふと、今朝のことを思い出した。
「なぁ」
「ん?」
「女子って間接キスとか気にしないのかな」
「間接キ…っ?!」
花も恥らう純情反応を片目で捉えながら、葉だけになってしまった桜を見やる。
いつの間に青くなったんだろう。
「…なんでそんな事聞くんだ?」
「朝ペットボトルのお茶貰った」
顔が赤い花井に答えると更に赤くして「飲みかけ?」と聞いてくるもんだから、正直に頷くと、大丈夫かよ、と心配になるほど赤くなって黙ってしまった。
「もしかして俺のこと好きなのかなーとか思ったり…しないけど」
「しないのかよ!!」
いつの間にか近くでキラキラ瞳を輝かせて楽しそうに聞いていた水谷の期待を裏切りたくて、思っていた事と逆のことを口にする。
でも、嫌いな奴に飲みかけなんか渡さない… 「まぁ、そういうのは友達相手だから出来るんだろうしな」 …ほら、阿部は嫌な奴だよ、 しきりに「誰?誰?」と聞いてくる水谷を押しやり、さわり、と揺れる葉桜が良く見える窓辺へと移動する。
目を瞑れば頬を柔らかい風がくすぐる。
『春ってぽかぽかしてふわふわしてパステルだよねー』
そう言ってころころ笑ったあいつが瞼の裏に浮かぶ。
パステル… 目を開ければ、飛び込んでくる花壇の花は黄や赤の原色で、校庭の木々は青々と揺れている。
「パステルじゃない、青いよ…」
ハァ、とため息をついて突っ伏した俺に気付いたのは春風だけだった。
春は青く