ハウルの動く城
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「ハウル…」
「ソフィー…」
「おなかすいた」
恋人たちの甘い夜、ぶち壊したのは勿論彼女。
マイペース女王の突撃隣の晩御飯!
「ナマエ!」
普段は温和でへタレな彼も今夜はキレた。
結婚したての新婚夫婦、ハウルとソフィーはいつものように甘く熱い夜へ突入するはずだった。(少なくともハウルの予定では)
そこに「おなかすいた」である。
2人専用のキングサイズのベッド脇に、ネグリジェを着て、ぬいぐるみを抱えて、気配も無く立っていた彼女から「おなかすいた」である。
正直「知るか!」と叫んでも誰もハウルを責められないだろう。
「君という人は!だいたいなんでうちにいるんだ!」
すっかりムードも何もなくなってしまい、ハウルはずるずるとナマエを暖炉まで引き摺って、その前の椅子に座らせ、仁王立ちして手を腰に当て、上から目線で睨んだ。
ナマエは持参のぬいぐるみをきゅ、と抱きしめ、カル~…と暖炉のおともだちに助けを求めるが、頼りにすべく悪魔君はあまりのハウルの怒りに薪の隙間で小さくなっていた。
「あんまり怒るなよハウルーオイラ悪くないよまたナマエが勝手に入ってきたんだよぅ」
「なんで毎回毎回見つかるんだ!」
「え、隠れてるつもりなの?」
怒られているのは自分なのに火に油を注ぐナマエ。ハウルの髪が逆立ったのは決して幻覚ではない。
「だいたいなんでこんな早い時間から2人してベッドに潜り込んでるのよ、まだ夜じゃないわ」
「もう夜だ外をごらん真っ暗だ見えるかい?」
「あたしまだ晩御飯食べてないもの、だからまだ夜じゃないわ」
「君の食事によって朝昼晩が決まるわけじゃない!うちはもう食べた!風呂も済んだ!夜だ!」
あからさまな皮肉も、喚き散らされても、口を尖らせて「だっておなかすいたんだもの」でかわしてしまう。
ソフィーは苦く笑うと、まぁ結婚式であんなに助けてくれたのだから、とナマエの夕食を作り始めた。
「ハウルさんどうし…」
「マルクル!ほら見なさいマルクルが起きてるのよ夜じゃないわ」
「マルクル今すぐ寝て!」
「え、ええ?」
階段から顔を覗かしたマルクルは混乱して眉間に深く皺を寄せる。
スープ鍋をかき回すソフィーと目が合ったが、彼女も曖昧に笑うだけだった。
「だいたいいつも君は トントン シーというものがなくて トントン らが愛を育んでいるのに大事な時に湧いて出て トントントン らない私用で僕のかわい トントントントン ィーを扱き使ってホントにもう何様の ドンドンドンドン 誰だい僕が今喋ってるって言うのにさっきからどんどんどんどん!」
ノックに邪魔されて言いたいことがイマイチわからないハウルのスピーチは途中で打ち切られ、激しくノックされているドアを乱暴に開いた。
「やぁこんば「今日はもう店仕舞いしたんだサヨナラ」ちょ、ちょっと待っ」
ドア先に立っていたのは隣の国の王子で、にこやかにドアに手をかけて、華奢な割に結構な力でドアを開けようとしている。
対するハウルは全身を使ってドアを閉めようとするも、王子が足や帽子を挟んでドアが閉まらないように細工した上で全身でドアを押すので、中途半端な隙間を作ったままドアは微かに動くだけだった。
薄い板(ドア)を両側から大の男がへばりついて押し合っているという妙な図は、両の男が美男子だからか、妙に華があって少々滑稽だ。
スープを皿に注いで暖炉まで持ってきたソフィーに手を振り挨拶する王子の声を自らの奇声で打ち消すハウル。
全く低レベルな争いである。
「…ハウル、もう夜だし近所迷惑だから入れて差し上げたら…」
「さすがソフィーさん!ほら入れてください」
「何がほらなんだ帰れ!」
暖炉前に陣取って具沢山のスープをすするナマエはおもしろそうにそれを見ていたが、だんだんハウルの喚き声に嫌気が差してきたのか、ふい、とスプーンを持ったまま右手を動かした。
瞬間、ドアが大きく揺れ、ジャスティンとハウルは弧を描いて宙を舞い、ソファに落下した。
「ナマエさんすごい!」
「えへへでしょー」
宙を飛んだ師匠よりも突撃隣の晩御飯嬢に意識が向く弟子。
ばたん!と大きな音を立ててドアが閉まったのとソファからハウルが復活したのはほぼ同時で、ナマエ何するんだいこいつ入れてしまったじゃないか!という叫びとソファがひっくり返ったのもほぼ同時だった。
「ナマエ!いくらなんでもソファをひっくりかえすことないでしょう!」
「だってうるさいんだもの…」
口を尖らし、目線を逸らすナマエの耳に入ったのは、ハウルの非難ではなく、王子の痛みを訴える呟きで、慌ててパチンと指を鳴らすとソファを元に戻し、城主を跨いで、客人の元にしゃがみこんだ。
「ごめんなさい、大丈夫?」
「あ、クッションがあったので、はい」
怪我は無い?と更に近付いた彼女から少し距離をとると、にこりと笑って、大丈夫だと伝える王子。
そのにこり、がいつもと少し違うものだと気付くのは、間近にいるナマエではなく、ハウルの元にしゃがみこんだソフィーで、非難しようと口を開けたハウルの頭ごと引き寄せて手で覆い、黙らせた。
「むむむっ放してソフィー、あのカブ頭、僕らが結婚したっていうのにしつこくしつこく!」
「落ち着いてハウル…違うかもしれないわ」
スーツの埃を掃うナマエの顔には少しの罪悪感と幸福感が浮かんでいて、掃われているジャスティンの微笑みも若干恥じらいが見られて。
あらあら、と頬を綻ばせるソフィーにまだ頭を捕まれたままの城主には、この隣の国の王子様とマイペース女王の魔女ちゃんが恋に落ちるだなんて予想はできなかった。
「ソフィー…」
「おなかすいた」
恋人たちの甘い夜、ぶち壊したのは勿論彼女。
マイペース女王の突撃隣の晩御飯!
「ナマエ!」
普段は温和でへタレな彼も今夜はキレた。
結婚したての新婚夫婦、ハウルとソフィーはいつものように甘く熱い夜へ突入するはずだった。(少なくともハウルの予定では)
そこに「おなかすいた」である。
2人専用のキングサイズのベッド脇に、ネグリジェを着て、ぬいぐるみを抱えて、気配も無く立っていた彼女から「おなかすいた」である。
正直「知るか!」と叫んでも誰もハウルを責められないだろう。
「君という人は!だいたいなんでうちにいるんだ!」
すっかりムードも何もなくなってしまい、ハウルはずるずるとナマエを暖炉まで引き摺って、その前の椅子に座らせ、仁王立ちして手を腰に当て、上から目線で睨んだ。
ナマエは持参のぬいぐるみをきゅ、と抱きしめ、カル~…と暖炉のおともだちに助けを求めるが、頼りにすべく悪魔君はあまりのハウルの怒りに薪の隙間で小さくなっていた。
「あんまり怒るなよハウルーオイラ悪くないよまたナマエが勝手に入ってきたんだよぅ」
「なんで毎回毎回見つかるんだ!」
「え、隠れてるつもりなの?」
怒られているのは自分なのに火に油を注ぐナマエ。ハウルの髪が逆立ったのは決して幻覚ではない。
「だいたいなんでこんな早い時間から2人してベッドに潜り込んでるのよ、まだ夜じゃないわ」
「もう夜だ外をごらん真っ暗だ見えるかい?」
「あたしまだ晩御飯食べてないもの、だからまだ夜じゃないわ」
「君の食事によって朝昼晩が決まるわけじゃない!うちはもう食べた!風呂も済んだ!夜だ!」
あからさまな皮肉も、喚き散らされても、口を尖らせて「だっておなかすいたんだもの」でかわしてしまう。
ソフィーは苦く笑うと、まぁ結婚式であんなに助けてくれたのだから、とナマエの夕食を作り始めた。
「ハウルさんどうし…」
「マルクル!ほら見なさいマルクルが起きてるのよ夜じゃないわ」
「マルクル今すぐ寝て!」
「え、ええ?」
階段から顔を覗かしたマルクルは混乱して眉間に深く皺を寄せる。
スープ鍋をかき回すソフィーと目が合ったが、彼女も曖昧に笑うだけだった。
「だいたいいつも君は トントン シーというものがなくて トントン らが愛を育んでいるのに大事な時に湧いて出て トントントン らない私用で僕のかわい トントントントン ィーを扱き使ってホントにもう何様の ドンドンドンドン 誰だい僕が今喋ってるって言うのにさっきからどんどんどんどん!」
ノックに邪魔されて言いたいことがイマイチわからないハウルのスピーチは途中で打ち切られ、激しくノックされているドアを乱暴に開いた。
「やぁこんば「今日はもう店仕舞いしたんだサヨナラ」ちょ、ちょっと待っ」
ドア先に立っていたのは隣の国の王子で、にこやかにドアに手をかけて、華奢な割に結構な力でドアを開けようとしている。
対するハウルは全身を使ってドアを閉めようとするも、王子が足や帽子を挟んでドアが閉まらないように細工した上で全身でドアを押すので、中途半端な隙間を作ったままドアは微かに動くだけだった。
薄い板(ドア)を両側から大の男がへばりついて押し合っているという妙な図は、両の男が美男子だからか、妙に華があって少々滑稽だ。
スープを皿に注いで暖炉まで持ってきたソフィーに手を振り挨拶する王子の声を自らの奇声で打ち消すハウル。
全く低レベルな争いである。
「…ハウル、もう夜だし近所迷惑だから入れて差し上げたら…」
「さすがソフィーさん!ほら入れてください」
「何がほらなんだ帰れ!」
暖炉前に陣取って具沢山のスープをすするナマエはおもしろそうにそれを見ていたが、だんだんハウルの喚き声に嫌気が差してきたのか、ふい、とスプーンを持ったまま右手を動かした。
瞬間、ドアが大きく揺れ、ジャスティンとハウルは弧を描いて宙を舞い、ソファに落下した。
「ナマエさんすごい!」
「えへへでしょー」
宙を飛んだ師匠よりも突撃隣の晩御飯嬢に意識が向く弟子。
ばたん!と大きな音を立ててドアが閉まったのとソファからハウルが復活したのはほぼ同時で、ナマエ何するんだいこいつ入れてしまったじゃないか!という叫びとソファがひっくり返ったのもほぼ同時だった。
「ナマエ!いくらなんでもソファをひっくりかえすことないでしょう!」
「だってうるさいんだもの…」
口を尖らし、目線を逸らすナマエの耳に入ったのは、ハウルの非難ではなく、王子の痛みを訴える呟きで、慌ててパチンと指を鳴らすとソファを元に戻し、城主を跨いで、客人の元にしゃがみこんだ。
「ごめんなさい、大丈夫?」
「あ、クッションがあったので、はい」
怪我は無い?と更に近付いた彼女から少し距離をとると、にこりと笑って、大丈夫だと伝える王子。
そのにこり、がいつもと少し違うものだと気付くのは、間近にいるナマエではなく、ハウルの元にしゃがみこんだソフィーで、非難しようと口を開けたハウルの頭ごと引き寄せて手で覆い、黙らせた。
「むむむっ放してソフィー、あのカブ頭、僕らが結婚したっていうのにしつこくしつこく!」
「落ち着いてハウル…違うかもしれないわ」
スーツの埃を掃うナマエの顔には少しの罪悪感と幸福感が浮かんでいて、掃われているジャスティンの微笑みも若干恥じらいが見られて。
あらあら、と頬を綻ばせるソフィーにまだ頭を捕まれたままの城主には、この隣の国の王子様とマイペース女王の魔女ちゃんが恋に落ちるだなんて予想はできなかった。
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