銀魂
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「先生の書く「あ」が好きだよ」
「は?」
教室でひとり小テストの採点をしていた俺にいきなり話かけてきたこいつ
何でいるんだ ああ日直かだから残ってたのか
ちなみに俺が教室にいるのは断じて職員室に居場所がないんではなく職員室で不良が叱られててそれがうるさかったから静かな教室にいるだけだ
「先生が書く「あ」はね、ここがこうカーブになってるでしょ、このカーブが好きなんだぁ」
まだ話続いてたのか
カツカツ音がすると思って顔を上げれば黒板に俺の字の真似か、こいつらしからぬ汚い字で「あ」と書かれていた
「そりゃどーも」
「あとねぇ、「て」とかもこのぐにょーんとしたカーブが好き」
カツカツとチョークの音が響く
採点の赤ペンが紙を滑る音と不思議な感じに協和する(ちなみに赤ペンが奏でる音は円を描く音ではなくシャッという短いバツの音だ)(こいつら何でこんな悪いの先生泣いちゃう)
「ま」とか「す」とかの丸の感じが絶妙だよね、と誉めてんだから貶してんだかわからない事を言いながらカツカツと黒板を鳴らす
カツリとチョークが置かれ、ガタガタいったかと思うと先生またね、と声がして扉が開く音がした
おー、と生返事をして顔を上げた俺は一瞬呼吸を忘れた
黒板にはでかでかと俺似の汚い文字が並べられていた
(…一体全体何だって言うんだ)(これ、消した方が良いよな、良いよな、うん、でも消しにくいよな)(俺の字に見えるからやっぱり消そう、でも、消しにくいよな、ちくしょ)